佐藤初女さんが人々を癒せた訳

 天国に召されてしまった森のイスキアの佐藤初女さんは、数多くの病める人々を癒した。こんなにも多くの人々の悩み苦しみを聞いて、そっと寄り添い勇気と元気を与えてくれた人は他にいない。どうして、佐藤初女さんは、どうしてこんなにも多くの人々の心身を癒せたのであろうか。その訳は、佐藤初女さんが専門家でなかったからだと言えば、それはおかしいと思う人がいるかもしれない。心身の病気になった人を治せるのは、その道の専門家にしか出来ないと思うであろう。でも、初女さんは専門家でなかった故に癒せたのである。

 どうして、人々の心身を癒すことが出来たのかと言うと、初女さんは医療の専門家じゃないから、診断や分析をしなかったし、治そうとしなかったからである。医療の専門家というのは、まず患者に対する問診や検査をして、分析して診断する。その診断に基づき診療計画を立てて、最善の投薬や治療をする。メンタルの疾患であれば、投薬だけでなく、カウンセリングや精神療法、各種療法を駆使して患者を治すのである。患者の精神を健全にしようとして、ドクターはカウンセラーやセラピストと協力しながら、治療をするのである。

 初女さんは、森のイスキアを訪れる心身を病んだ方々を、無理に治そうとはしなかったのである。勿論、医療の専門家でない初女さんだから、精神分析やカウンセリングもしなかったし、診断をする筈もなかった。治療計画なんて立てようもないし、実際に治療をしようともしなかったのである。それなのに、森のイスキアを訪れた多くのクライアントは、心身を癒されて元気になり、社会に復帰していったのである。初女さんは、クライアントに寄り添い、ただ話を聞くだけで無理に問い質したり助言をしたりすることはなかったのである。

 佐藤初女さんがクライアントの心身を癒して、勇気と元気を引き出せたのは、奇跡のおむすびや心の籠った食事のお陰だと思っている人が多い。確かに、それもひとつの重要な要因ではあるものの、単なるツールに過ぎない。同じようなおむすびや料理を提供したとしても、初女さんという存在がなければ、あれだけ多くのクライアントを元気にすることは出来なかったであろう。それだけ初女さんという存在は大きかったのである。彼女は、科学の専門家でもないのに、人体と精神の科学的な仕組みを上手に活用していたのである。

 どういうことかというと、まずは人体や精神がひとつのシステムだということを、初女さんは認識していたとしか思えないのである。人体は一つの全体であり、その人体を構成する要素どうしのネットワークがある。このネットワークシステムは、各々の構成要素どうしが『関係性』を持っており、それ故に『自己組織化』の働きがあるし、オートポイエーシス(自己産生)の機能を発揮できる。つまり、人間という生き物はひとつの完全なるシステムであり、このシステムのネットワークがエラーを起こして、心身の病気が起きるのである。

 そして、関係性が劣化したりお互いの互恵的つながりが破綻をしたりしてしまうと、自己組織化が働かず、自己成長や自己進化が止まってしまうだけでなく、後退してしまうのである。これが心身の病気という状態である。こうなってしまった人間に、治そうとしてこうしなさいああしなさいと指示をしたり強要したりすると、自己組織化が阻害され、さらに悪化してしまうのである。診断をして分析をして原因を特定して、その原因を無理やりに外的な力でつぶそうとすると、症状が改善することはないし、別の症状さえ起きてしまうのである。

 佐藤初女さんは、そのことを直感的・経験的に知っていたからこそ、クライアントの話に耳を傾け共感するだけだったのである。そして、心の籠った食事を提供してクライアントとの関係性を深めることに傾注したのである。クライアントが例え間違った考えを持ち誤った行動をしていても、その誤謬を指摘することも直させることもしなかった。ただ、クライアントが自分で気づき自ら治す力があるということを見抜き、信頼したのである。そして、見事にクライアントは自らを癒すことができたのである。自らの病気を自らの力で治した経験がある初女さんだからこそ可能なのだ。第二第三の佐藤初女さんが出てくれることを祈るだけである。

※イスキアの郷しらかわでは、佐藤初女さんを目指そうとする方々をサポートしています。どうやって、佐藤初女さんが多くの人々を癒すことが出来たのか、佐藤初女さんのような活動をするには、どうすれば良いのかの講義と研修を開催しています。極めて科学的な根拠を示しながら、納得の行くまで説明をしています。システム思考、オープンダイアローグ、ナラティブアプローチなどの最新の科学的な療法と、最新医学のポリヴェーガル理論なども伝えています。佐藤初女さんは、そういった最新の療法を誰にも習いもせず、自然と実施していました。問い合わせ・申し込みのフォームから申し込みください。直接、お電話をいただいても結構です。(プロフィールの名刺に電話番号とLINEアカウントが記載されています)

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