SNSで否定的コメントをする人が後を絶たない。または、より攻撃的なコメントで心を傷つける人も増えている。有名人に対する心無いコメントも寄せられていて、社会問題になっている。これだけマスコミや報道などで、SNSの攻撃的なコメントが人命さえも奪っていると警鐘を鳴らしているのに、一向に減らないのは何故であろうか。攻撃的な否定コメントをした人が特定されて、刑事告訴をされたり莫大な損害賠償請求をされたりしているにも関わらず、否定コメントが減らないのは不思議なことである。
つい先日は、TOTOクラシックというゴルフツアーで2位に入った桑木プロの容姿についての心無いコメントがあり、彼女が嘆いていた。そんなことまで、SNSのコメントをするのかと、桑木プロの心情を察するに憤りさえ感じた。女子プロレスラーに対するSNSの誹謗中傷が、本人を死に追いやってしまったことが問題になったのは記憶に新しい。芸能人に対する心無いSNSの誹謗中傷が、自死へのきっかけになったことは数知れずあるかと思われる。人殺しの道具とも言えるSNSの否定的書き込みは、何故なくならないのか。
SNSの否定的なコメントを繰り返す人物の人格や心理について分析してみよう。人を批判したり否定したりする人は、強烈な自己否定感を持っているのは間違いない。絶対的な自己肯定感を持ち自尊感情が高い人は、他人の言動を批判したり否定したりすることは絶対にしないものだ。自己否定感が強い人は、自分の評価や満足を高めることを無意識で求めているので、他人を蹴落として自己を正当化しがちである。他人を貶めることで自分の価値が高まるのだと、無意識下にて勘違いをしてしまっているのである。
否定的な書き込みをする人というのは、自己肯定感が低いが故に、職場や家庭でも問題行動を起こしがちである。職場においては部下や同僚に対して、パワハラやモラハラをすることが多い。家庭においても、配偶者や子に対してモラハラをしたり虐待をしたりするケースが少なくない。何故かと言うと、自己肯定感が極端に低くて、いつも周りの人々を否定したがる人物というのは、自己愛性のパーソナリティ障害を抱えているからである。正常な自己愛が育っていないが故に、自分を必要以上に過剰評価して、周りの人を蹴落とすのである。
この自己愛のパーソナリティ障害を抱えた人物は、ある意味恐ろしくもある。自分に反対する人や批判する人に対する攻撃性が異常に高く、自分に敵対する人を企業・組織・部局から手段を選ばず排除するのである。自分の地位や名誉を脅かす人を徹底的に攻撃するのだ。あのルドルフ・ヒットラーも自己愛性のパーソナリティ障害だったと伝えられる。自分の政敵になる人物を、秘密警察ゲシュタポを利用して暗殺した。ヒットラーも含めて、自己愛性のパーソナリティ障害を抱えている人物は、深刻な愛着障害であることが多い。否定的コメントをする人物も同様だと考えられる。
愛着障害の人が、すべて自己愛性のパーソナリティ障害になって、モラハラやパワハラをするという訳ではない。愛着障害だからといって、すべての人が攻撃性を持つ訳ではないのである。愛着障害の方々の中には、自尊感情が低くても他人を責めずに、自分自身を責めるような人もいる。どちらかというと女性は、自分自身を責めるタイプが多い。男性のほうが否定的なコメントをするケースが多いと言う事を考慮すると、自己愛性のパーソナリティ障害を起こすような愛着障害を抱える人は、男性が圧倒的に多いように感じる。
深刻な愛着障害によって強烈な自己否定感を持ち、自己愛性のパーソナリティ障害を抱えてしまうと推測される。その為に、自分の価値観や人生観、さらには考え方に合わない人のことが許せずに、SNS上で否定的な書き込みを繰り返すのではないだろうか。そういう意味では、受容性や寛容性が異常に低いと思われる。こういう人は多様性を受け入れようとしない。自分の価値観や生き方だけが正しくて、自分の考えに合致しないようなSNS上の書き込みは間違っているから排除しなくてはならないと思い込むのであろう。実は、こういう人はSNSの発信をしたがらない。何故なら、否定されることがとても苦手であるし、批判に極めて弱いのだ。小心者なのである。