オカルト宗教にはまった人を救うには

 安倍晋三元総理の銃撃事件から、にわかに旧統一教会に関わる政治家への糾弾が激しくなった。いまさらと思うが、マスコ・SNS上でも、それらの政治家批判が広がっている。それにも増して、旧統一教会の悪質な資金集めが注目を浴びると共に、えげつない会員勧誘の実態が明らかになり、教会員になった当人だけでなく、その家族の悲惨な状況が報道され始めている。一度旧統一教会のようなオカルト宗教に入信してしまうと、あまりにも巧妙な脱退引き止め工作もあるが、当人が洗脳されているので脱会が困難となる。

 入信してしまった当人の家族は、何とか脱会させようと説得を試みるのであるが、家族の話に聞く耳を持たない。オーム真理教の時もそうだったが、一度信じてしまうと頑なに脱会への説得に反抗する。自分が正しくて、入信しない人たちが騙されていると思い込んでいるのだ。逆に家族を説得しようとする始末で、手に負えない状況になっていることが多い。多額の寄付をさせられたり、高額な壺や教本、または書画などを買わされたりして、破産することも少なくない。信者二世は、貧困に喘ぐことになる。実に可哀そうなのである。

 オーム真理教事件の際にも、大きな社会問題になったのであるが、信者たちは巧妙に洗脳されてしまっているという事実である。強力なマインドコントロールを受けているから、どんなに説得しようとしても、効果がまったくないのである。まさしく、旧統一教会を初めとしたオカルト宗教は、強力なマインドコントロールを実施しているのである。心理学や脳科学に精通した科学者たちが助言しているのであろうが、実に巧妙な洗脳策なのである。一度マインドコントロールをされてしまうと、その制御から覚めることは、まずないのである。

 それでは、一度マインドコントロールをされると、絶対に覚醒することはないのかというと、そうではない。心から信頼をしている支援者から、適切できめ細やかなサポートを受ければ、洗脳から目覚めることが可能になる。しかし、その適切な支援方法を知っている人は少ないし、その技量を持ち合わせている人は極めて少ない。ましてや、その方法を知っていたとしても、長くて苦しいマインドコントロールからの脱却を支援するのは、並大抵の苦労ではない。自分自身も心身ともに疲弊するし、自分の生活を犠牲にする覚悟も必要だ。

 オカルト宗教にはまった人を助け出す方法を論じる前に、何故オカルト宗教にはまってしまうのかを明らかにしたい。オカルト宗教だけでなく、殆どの宗教において信者にする為に、今のままだと不幸から抜けきれないし、これからも不幸が続くと脅す。人々の持っている不安感を煽るのである。普通の感覚や感性を持っている人ならば、そんな言葉に騙されない。ところが、愛着障害を抱えていてHSP(ハイリィセンシティブパーソン)の人は、不安感や恐怖感を持っているので、簡単に引っかかってしまう。HSPは神経学的過敏と心理社会的過敏を持っているので、強烈な生きづらさを抱えているし、愛情に飢えている。

 そんな愛着障害とHSPを抱えているが故に、オカルト宗教に簡単に騙されて、マインドコントロールされてしまうのである。こうなってしまうと、どれ程「あなたは騙されているし洗脳されている」と説いても、聞く耳を持てないし反発するのである。歪んだメンタルモデルが一旦作られてしまうと、どんな言葉も受け入れない。宗教関係者の声にしか耳を傾けないのである。このような状況になってしまった人には、ナラティブアプローチかオープンダイアローグしか効果がない。出来れば、ナラティブアプローチの手法を用いたオープンダイアローグが必要である。

 ナラティブアプローチは、対象者をけっして否定しない。まずは、共感をするし傾聴するだけである。どんなに間違った価値観や哲学を持っていたとしても、それを批判したり否定したりしないのである。何度も何度も同じ話を聞いて、否定せず共感するのである。そうすると、セラピストを信頼するし安心するのである。そして、本人にいろんな質問をして行くうちに、自らの間違いに気付き始めるのである。オープンダイアローグ療法にて、家族と一緒に複数のセラピストと共にナラティブアプローチを活用した質問をして行き、時折適切なリフレクティングを活用していくと、より効果が高くなる。そうすれば、マインドコントロールから抜け出せるに違いない。

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