女性管理者が多い企業は収益率が高い

 女性管理者が企業全体でどの程度の割合を占めているのかを、女性活躍推進法は公表することを求めている。ただし、それは社員数301名以上の大企業だけであり、中小企業は義務化されていない。ましてや、この公表義務に違反しても罰則規定はないので、どれだけの企業が公表するか疑問視されている。なにしろ、中小企業よりも大企業のほうが女性管理職の占める割合が低いのである。元々、女性管理職を登用することに消極的な大企業が、公表に積極的になるかどうかは不透明である。

 日本の企業は、女性の企業進出に対して、極めて消極的である。それは、企業の男性側もそうだが、女性側でも女性進出に積極的でないという事情もあるみたいである。男性としてみれば、女性管理職が増えてくれば、自分たちの昇進も制限されてしまうと思うのは当然だろう。女性管理職に仕えることを、生理的に嫌だと感じる男性職員もいる筈だ。または、変なプライドで、女性よりも男性のほうが優秀だと勘違いしている人も少なくない。特に、日本の大企業の役員や管理職は、女性社員は使えないと思い込んでいる節がある。

 つまり、男性は女性よりも沢山働けるし優秀であるという思い込みである、ジェンダーバイアスがあるのだ。そして、女性自身にもそのジェンダーバイアスがかかっていることが多い。だから、女性自身も男性よりも劣っていると勘違いしていて、最初から管理職を望まない職員が多いのである。このジェンダーバイアスは、完全な間違いである。女性よりも男性のほうがリーダーとして相応しいなんて、単なる思い込みである。事実は男女同等であるし、ある意味男性よりも女性のほうがリーダーとして適任であることが少なくない。

 日本の企業では、女性に対する偏見が多い。しかし、西欧の企業や職域においては女性管理職を積極的に登用しているし、そのことにより生産効率を高めているという実態がある。だからこそ、西欧の企業では政府から指示・指導されずとも、女性管理職の割合を積極的に公表している。そういう企業のほうが、株価が高くなり企業価値が高められているのである。つまり、女性管理職が多い企業ほど生産効率が高くて、収益率も高いということが広く認識されているのである。そう聞いて、日本では驚く人が多いと思うが、事実なのである。

 何故、女性管理職が多いほど生産効率と収益率が高くなるかというと、女性が働きやすい職場というのは、男性にとっても働きやすいからである。仕事が定時に終わるように割り当てられているし、休日残業をしなくてもよいように業務分担がされている。女性が子育てしながらも働ける職場環境になっているというのは、男性がイクメンをできるということでもある。不思議なことだが、残業をしないようにと企業側で指示徹底すれば、残業をしなくても定時で帰れるのである。それによって仕事が滞ることは絶対にない。

 定時で業務を完了させると決めれば、残業しなくても可能になる。もし、定時に終わらなくても翌日に持ち越しできるように計画すればよい。顧客から無理な納品期日を指定されたら、事情を丁寧に説明して了解を得ればよい。日本の商慣習では、下請けや納品業者に無理を言って納品期日を厳しくすることが常態化している。しかし、西欧においては無理な納品期日を守らせるような横暴をする企業は、誰からも相手にされなくなり、衰退してしまう。日本でも、そのような横暴をすべての企業が許さないような商慣習にすべきであり、公取が積極的に動いて止めさせるべきである。法的な規制をかけることが望まれる。

 女性管理職が多くなると、生産効率と収益率が高くなる理由が他にもある。それは多様性である。多様性が認められる企業や職場では、社員の自己成長がとてつもなく高まる。男性だけが活躍する職場では、考え方や発想の『違い』を実感できないし、思考の柔軟性が発揮できない。女性管理職の発想力や柔軟思考が女性社員だけでなく男性社員をも成長させるし進化を遂げさせる。つまり、社員の自己組織化が起きるし、大胆なイノベーションが実現するのである。イノベーションは、多様性と社員の自己組織化が発揮されないと起きないのである。女性管理職が増えると、間違いなくイノベーションが起きて、企業の収益率が高くなるのである。

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