ポイズンマザー(毒親)になってしまう訳

 不登校やひきこもりの社会復帰支援としてイスキアの活動をしていると、その要支援者の親の殆どがポイズンマザー(毒親)である。ポイズンマザーというように、その毒親は母親であるケースがとても多い。父親が毒親であるケースはないかと言うと、そうではない。父親が子育てに無関心なので、毒親として目立たないだけである。一方、母親というのは優しくて思いやりがあるという固定観念があるために、母親が毒親であるというのは際立つのであろう。毒親である当の母親は、自分が毒親であるという認識はあまりなさそうである。

 

 しかし、母親の中には自分が毒親だから子どもが不登校やひきこもりになったのではと、苦しんでいるケースがある。または、もしかして自分は毒親ではないのだろうかと、悩んでいる母親も存在する。いずれにしても、自分が毒親だとは認めたくないが、もし本当に毒親だとしたら、どうしたら毒親から抜け出せるのであろうかと苦悩していることだろう。または、望んでいた訳ではないのに、どうして自分が毒親になってしまったのだろうかと、一人で悩み続けているに違いない。ましてや、我が子から毒親だと宣言されたらショックだ。

 

 メンタルを病んでしまい、不登校やひきこもりを起こしている子どもたちは、父親のことを毒親だとはあまり思わずに、母親のことを毒親だと信じ込み執拗に攻撃するケースが多い。本当は、父親がしっかりと父性愛を注いでくれたら、母親が毒親になんかならなくても済んだのに、子どもが母親だけを責めるのはあまりにも可哀想である。勿論、母親にまったくその責任がないとは言えないが、毒親になってしまったそもそもの原因は、父親にもおおいにありそうだ。母親たちは、毒親になりたくてなった訳ではないのだ。

 

 毒親というのは、子どもに対する親らしい優しさや思いやりがなく、子どもを無条件に愛せない親である。子どもの幸せよりも自分の利益や豊かさを優先してしまう親でもある。子どもをあるがままにまるごと愛せない親だ。でも、本人にしてみれば我が子を愛そうと努力しているし、子どもを立派にしたいと思っている。しかし、子どもの愛し方が解らないし、どう扱っていいのか解らないのである。母親なら我が子を目に入れても痛くないというが、そういう実感が湧かないのだ。我が子なのに寛容と受容の態度が取れないのだ。

 

 何故、そんなふうに母親が毒親化してしまったかというと、端的に言えば必然の流れとしてそうなってしまったのである。自ら希望して毒親になる母親はいない。多くの毒親は、自分の母親もまた毒親であることが殆どである。過保護の母親を持つと、子どもが駄目になると勘違いする人が多いが、そんなことはない。過保護は良いのである。駄目なのは、母親が過干渉のケースである。または、ネグレクト(育児放棄)や虐待をされると、子どもは100%駄目になる。例外がない訳ではないが、酷い愛着障害を起こすのである。

 

 過干渉、ネグレクト、虐待をされて育った子どもは愛着障害を起こす。そういう子育てをする母親は毒親と呼ばれるが、自分自身もまたそのような毒親に育てられた体験を持つ。しかし、明らかに毒親だと解るケースなら少しは救いもあろう。自分が毒親に育てられて嫌だったから、自分はそんな母親にはなるまいと、反面教師に出来るからだ。ところが、自分の母親が毒親だと気付かずに育ち、母親になってしまったケースは深刻である。例えば、ダブルバインド(二重拘束のコミュニケーション)で養育されケースや、過干渉での子育てである。

 

 こういう過干渉やダブルバインドで育てられた子どもは、自分の親が毒親だとは気づかずに大人になる。そして、思春期から強烈な『生きづらさ』を抱えながら生きる。何とか結婚して母親になったとしても、同じようにダブルバインドや過干渉の子育てをする毒親になる。毒親の拡大再生産をすることになる。そして不思議なことに、こういう母親は発達障害の夫を持つことが多い。あまりにも過干渉だった母親だから、その反動で干渉しない寡黙な男性を選ぶのかもしれない。こうして、この毒親である母親は、誰にも助けてもらえず毒親を演じ続けしまうことになるのだ。

 

※自分が毒親ではないだろうか。自分の母親はポイズンマザーではないだろうかと苦しみ悩んでいる方は、イスキアの郷しらかわにご相談ください。どうしたら、毒親を乗り越えることができるか。または、毒親からどのように逃れられるかをアドバイスいたします。

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