夫の定年後に迎える妻の最悪の日々

夫が定年退職を迎えて自宅に居るようになると、二人で一緒に毎日過ごせるようになる。そうなれば二人で過ごす毎日が充実して、妻も喜ぶかと思っていた。しかし、そういう妻は殆どいなくて、毎日が地獄のように感じる妻が大半だという。信じられないことであるが、夫の定年後に一緒に居ることが、最悪だと思っている妻がとても多いのである。どういうことかというと、毎日のように夫が家にいると、妻はストレスが溜まる一方だという。夫がいない平日の昼間は自由気ままな暮らしだったのが、定年後は出来なくなるからである。

夫は、家族のために定年まで頑張って身を粉にして働いてきた。大企業や官公庁で働いた人は、年金も十分に支給されるし蓄えだってあるから、無理して働くこともないと再就職する人は少なくないらしい。それでも、趣味や市民活動に精を出す人ならまだ救われるというが、趣味や友達もなくて、毎日出かけず家にいて、テレビを観たりレンタルビデオを観たりして過ごす夫なら最悪である。どういう訳か、いつも妻と一緒に居たいと思うらしい。妻が一人で出かけるのを嫌がるし、外出する時は一緒に出掛けたいと主張するらしい。

一緒に買い物に行くと、夫に時間をせかされるしこんなものを買ってと批判される。外食をすると、家の食事のほうが旨いだの、この料理はどこそこのレストランと比べると格段に味が落ちるだのと批判的コメントを垂れ流す。食材や調理法の蘊蓄を、料理の前で延々と聞かされたら食べたくなってしまう。洒落たレストランの雰囲気だって壊されてしまう。男という生き物は、妻の気持ちを逆なですることに、実に長けているらしい。スーパーに買い物に行くと、食材を買うたびに細かく口出しをする。一緒に出掛けたくないと思うのも当然だ。

一緒に旅行すると、もっと最悪な雰囲気になる。妻がここに行きたいとか、こんな所を見学したいと言っても、夫はそんな所に行って何が面白いのか、何がいいんだと否定的発言をしがちだ。男と女の興味を持つことが違うし、どのように過ごすことで満足するかが、そもそも違うのである。女性は感性やイマジネーションを大事にしたいが、男性は何でも科学的に分析的に物事を見がちである。だから興味を持つ対象も違うことが多い。そういった際に、妻に寄り添い共感できる夫なら、妻の望むようにする。しかし、そんな夫はいない。

家に居る時だって、雰囲気は最悪である。テレビのチャンネル権は、殆ど夫が握る。妻は、韓流の恋愛ドラマが大好きである。または、人間ドラマやイケメンが出演するドラマを観たがる。ところが、夫はアクションドラマ、ビジネス番組、歴史ドラマ、スポーツ番組、SFものが大好きである。当然、自分の観たい番組しか観ない。たまには、妻の好きな番組に付き合うという優しい旦那はいない。少しは、家事を手伝う気持ちでもあれば嬉しいが、居間のソファーにでーんとふんぞり返って、何もしてくれない。家事の邪魔になるだけである。

夫が仕事で不在の時は、友達と女子会ランチに行って、おしゃべりしてストレス解消ができていた。しかし、夫が家にいると、もう年金生活なんだから、女子会ランチなんてそんな無駄なことは止めろと制限する。女性同士で旅行することも認めてくれない。自分と一緒に行けばいいのだから、妻だけで旅に出ることを認めようとしない。趣味の会やフィットネスクラブに外出しようとすると、もうそんな余裕はないんだと止められる。こんな奴隷のような生活を夫から強いられることが、実に多いというから最悪である。イプセンの人形の家という戯曲があるが、あの主人公ノラのような生き方をさせられる。たまったものではない。仕事をしている時なら、少しは自由があったのに、まったく自由がなくなるのである。

こういう生活を強いられたら、妻は間違いなく夫原病になってしまう。こんな夫であれば、妻はどうすれば良いのだろうか。こういう時は、夫に対してショック療法をするに限る。離婚を切り出すしかないであろう。なにしろ、こういう夫は、言って聞かせて態度が変わることは期待できない。勿論、本気ではない。一種の賭けでもあるが、安心して良い。離婚するしかないと言われて、夫は本当に離婚することはしない。一人になって困るのは、圧倒的に夫だからである。夫と妻の年金支給は合算して折半することが出来る。財産はどちらが稼いだとしても、不動産の名義が夫であってとしても、すべて折半なる。そうなれば、夫は離婚したら財産が半減するし、生活が困るのだから、離婚するのが惜しくなる。試しに、家裁に調停を受けたいと言って実際に相談するくらいの脅しをかけてみるのもよいだろう。

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