ファーストフード店において、若いアルバイト店員が発する決まりきった質問に対して、突然予想外の質問やお願いをしてみると面白い。まずは、答に窮するに違いない。そして、自分で判断できず、誰かに応援を求めるか、もしくは黙り込んでしまうであろう。ファーストフード店で働く若いアルバイト店員は、細かいマニュアルに基づいて業務をこなしている。マニュアルで示された業務や受け答えは出来るものの、イレギュラーの対応ができる店員は殆どいない。そんな教育はされていなのだから当然だが、主体性がないのである。
他の会社でも、決まりきったルーチンの作業は出来るものの、何かイレギュラーな業務が発生すると遂行できない社員がいる。また、何かのトラブルが起きるとその対応や解決が出来なくて、おろおろしてしまう社員が存在する。上司や同僚から指示命令を受ければ動くが、自ら率先して動くことが出来ない社員も見受けられる。このような指示待ち社員は、想像以上に多いようだ。このような社員は、業務改善や問題解決に主体的に取り組むことはないし、問題に気付かないことも多い。このように主体性を持てない社員が増えている。
ひと昔前であっても、こういう困った社員がまったく居ない訳ではなく、僅かだがそれぞれの部署に少数だが在社していた。しかし、最近は自発性を発揮できない指示待ち人間が増えている。毎日決まりきった業務しかしないのであれば、何とか目の前の業務をこなすだけだからそれなりに役に立つ。しかし、日々の業務が臨機応変の対応が日々求められるような職場であれば、まったく役に立たない社員として烙印を押されてしまう。主体性や自発性だけでなく、自分の仕事に責任性を持たない社員が増えているのである。
このように主体性を持たない指示待ち人間が増えている原因は、教育における間違いであろう。学校教育では、知識や技能を詰め込むだけの教育であり、智慧を育てる教育をないがしろにしているからである。家庭教育では、子どもが行動を起こす前に親が先取りや先読みをしていて、子どもの行動を制御してしまうのである。親が事前に指示をしないと、行動できないし話せない子どもが増えているのである。しかし、知力だけは人並みに育つから、一定の学力は発揮して高校と大学は優秀な成績を残し、就職試験も突破する。
このように主体性を発揮できず指示待ち社員は、益々増えることになる。官公庁の職場で、マニュアル通りの業務しかしない特定の職場においては、何とか仕事は務まる。また、工場や現場作業において、マニュアル通りの業務しかしないケースならば、指示待ち社員でも困らない。しかし、複雑な顧客対応やイレギュラーな業務だらけの職場では、まったく使えない社員とされてしまう。上司からは毎日のように叱責されるし、同僚からは馬鹿にされる。自分がいじめにあっているように感じて、勤務できなくなり休職に追い込まれる。
主体性、自発性、自主性、責任性などを総称して『自己組織性』と呼ぶことにする。システム論において、ノーベル賞物理学者のイリヤ・プリゴジンが提唱した自己組織化の理論から導き出した説である。物体や生物など、そしてそれらの構成要素には、すべて自己組織性が存在する。当然、人間の構成要素である細胞にも自己組織性がある。誰からも指示命令しなくても、自己組織性を発揮して過不足なく全体である人間の最適化のために日々働いている。当然、人間は生まれつき自己組織性を発揮できるようになっている。ところが、間違った教育によって、不幸にも自己組織性を発揮できないようにされてしまっているのである。自己組織性が乏しく、主体性がなく指示待ち社員になっているのだ。
このように、間違った学校教育と家庭教育をされた為に、自己組織性を発揮できずマニュアル通りの業務しかできなくなった社員に、自己組織性を取り戻すことが可能なのであろうか。社員教育や職場指導で、自己組織性を取り戻すことは殆ど不可能であろうと思われる。何故なら、システム論を把握していて、本来人間の持つ自己組織性を引き出す術を知っている指導者・管理者はいない。ましてや、自己組織性を引き出すには当人に対して介入してはならないのに、知識や技能を強制的に植え付ける指導法を取るのだから、かえって逆効果なのである。ひとつだけ本来持つ自己組織性を引き出す教育指導の手法がある。それは、オープンダイアローグという心理療法を利用した指導教育である。
※オープンダイアローグを利用した最新の社員教育の技法を、「イスキアの郷しらかわ」ではレクチャーしています。指示待ち社員の教育で困っている管理者・指導者に、オープンダイアローグの社員教育手法をお教えします。また、主体性を持てず指示待ちの社員に対して、自己組織性を発揮できるように教育いたします。まずは問い合わせフォームからご相談ください。