教師と言っても、経験が豊かで教える技能も確かな素晴らしい先生もいるし、経験が浅くて指導技術もまだまだの先生もいる。それぞれの先生は独立していて、学校内の先生どうしがそれぞれの指導について、注意し合う風土は醸成されていない。独立心が旺盛で、依存性がないと言えばそれまでだが、管理職でない先生が他の先生に対して助言したり意見したりすることは殆どないのである。児童生徒に対して、明らかに不適切な指導をしているのを目撃したとしても、まず注意することはない。先生どうしが指導面で協力し合うということも極めて少ないのである。
何か不適切な指導が問題になっても、それを隠したがる。ましてや、内部告発することはまずない。それだけ、閉鎖された空間でもあり、内部の事情が外に漏れにくい。その証拠に、これだけ多くの教師によるいじめ事件や指導死事件が起きていても、問題が大きくならないうちに、内部告発があって事なきを得たという事例は皆無である。自分たちの身内を守るという意識が強いのか、隠ぺい体質が強いのか、教師中心の環境が学校に存在する。問題があっても、見て見ないふりをしている先生が殆どなのである。だからこそ、いじめや不登校、そして悲惨な指導死がなくならないのであろう。
ただ、素晴らしい先生もいらっしゃるということも付け加えなければならない。本当に子ども中心の教育を徹底して、子どもたちからの信頼も厚く、保護者の尊敬を集めている先生も何人かいらしたのは事実である。ただ残念なのは、そういう先生は圧倒的に少数なのである。そういう素晴らしい先生が、昇任試験を突破して、校長や副校などの管理職になってくれたら嬉しいのだが、残念ながらそういうケースはけっして多くはない。これも不登校やいじめ、そして指導死が一向に減らない要因でもある。
ある教師が極めて不適切な指導をするのを、過去に実際に経験した。帰宅したら中学1年の息子が、「僕は明日から学校に行けなくなったから」と言うのである。どうしたんだと聞くと、薄暗くなった駐輪場で学友と談笑していたら、担任の先生が玄関先に見えたらしい。それを見かけた息子が、「あっ、〇〇だ」とその先生を呼び捨てにしたという。先生に向かって言った訳ではなく、あくまでも子どもどうしの会話である。ところが運悪く、その言葉がその先生に聞こえたらしい。しかし、その場で指導されたのなら理解できるが、帰宅した後でその先生が自宅に電話してきたのだという。
その先生が言うには、「先生に対して呼び捨てにするとは何事だ。絶対に許さない。謝りなさい。謝らなければ学校に来るな!」と激高して電話をしてきたらしい。息子は先生に対して直接呼び捨てにした訳ではない。したがって、謝らないと学校に来るなという理屈に合わない理不尽なことに納得できないので、謝ることができなかったという。その先生は、30代の男性で、どちらかというと体育系の頑健な身体を持ち、スポーツ系の部活の顧問をしていた。短気な性格であったと思うが、一度興奮してしまうと自分を抑えることが出来ず、体罰が常態化していたらしい。
翌朝、学校に行けないという息子を無理に登校させず、私が学校に向かった。校長と担任の先生と話がしたいと申し出た。先ずは昨日の息子からの話を伝えて、間違いはないかどうかを確認した。大きな違いはないとの返答であった。そのうえで、日本国憲法における教育を受ける権利という基本的人権の尊重に違反しているのではないか。教育基本法の趣旨にも反するのではないかと伝えた。どんな理由があるにせよ、学校に来るなという言葉は、教育上の指導として相応しいとは思えないと話した。校長は、謝罪すると共に、今からすぐに自宅に赴いて子どもに謝罪してきなさいと、その教師に指示した。その教師はその後に、体罰事件を起こして異動させられた。
このような不適切な指導に対して、子どもを守ってあげられるのは親しかいない。このような不適切な指導があったことを、親に対して素直に告げる信頼関係が必要である。親は自分の味方であり、必ず守ってくれるんだという子どもの確信がないと、親には話せない。親子の関係性は、努力しなければ深まらない。常日頃からの親子の触れ合いとコミュニケーションが必要だろう。そのうえで、どんなことがあったとしても、子どもを守る為に命を賭して行動することを宣言することが肝要だ。勿論、普段の行動においても、子どもを最優先で守り育てることを実感してもらうことが大切である。実際にこの例のように、どんな相手であっても臆せず対決して、問題解決する勇気も要求される。仕事や多忙を理由に、問題から逃避するような親では、子どもは不安になり不登校を選ばざるをえない。子どもが安心して学校に行けるのは、親からの絶対的守護が実感できるからだ。特に父親の役割は大きいのだと認識すべきである。
※イスキアしらかわの郷では、教師による不適切な指導やいじめがあった際に、親がどう対応すればよいのか、相談を承ります。親の役割も含めて、どうすれば問題が先鋭化せず、さらには長期化しないで問題解決できるのかを助言させてもらいます。ひとり親の場合、または父親が対応がしてくれないケースでも支援させてもらいます。遠慮なくご相談ください。
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