インターネット上において、巧妙に世論の操作をするという卑劣な行為が横行している。米国の大統領選での世論操作が当選結果に影響したと言われている。その世論操作にロシアの関係者が関わっていたというニュースが流れている。また、韓国においても軍部が世論操作をしていたとして、元国防相が逮捕された。元々韓国という国は、世論の動向が政治に色濃く反映されるお国柄である。世論を操作して、自分たちの政治に利用したいと思うのも当然であろう。英国のEU離脱への国民投票結果に、世論操作が利用されたというニュースも報道されている。
このように、国の大事な政策決定や選挙結果に世論の動向が影響するのは仕方ないとしても、その世論が巧妙に操作されたものだとしたら、非常に危険な事だと言わざるを得ない。日本においては、世論操作が巧妙にされているという証拠はないものの、一切存在しないということも言い切れない。現在の政治体制や経済体制を守ることが、自分たちの権威や利益を守ることに繋がるというのなら、多大なコストを支払ってでも、世論操作をしたい人がいないとも限らない。昔ならばこんな心配は不要だったのに、ネット社会だからこそこういう危険性が増したと言える。
このように体制維持の為や選挙結果を変えるような意図的な世論操作は、絶対に許せない。とは言いながら、意図的で卑劣な世論操作に騙される人がいるのは確かだ。とすれば、このような世論操作に騙されない確かな見識と信念が必要であろう。このような卑劣な世論操作に左右されないようにする対策を取らなければならない。ましてや、フェイクニュースによって振り回されている人々が存在するのは確かである。インターネット上において、我々が実施した検索エンジンの入力は、すべてインターネット検索会社の有用な情報として蓄積される。そして、その有用な情報が売り買いされていると推測される。
このように、インターネットでどんな文言や記事を閲覧したのかという個人情報が、すべて把握されてしまうのである。したがって、この人はこのようなものに興味があるとか、この人物はこのような思想傾向があるとかがまるっきり解ってしまうのである。そうすると、このような思考の傾向がある人間を、同じような考え方に上手く誘導して、より過激な思考に洗脳するのは簡単である。この傾向にある記事やニュースを見つけたら必ず読むし、その考え方があたかも自分の考え方だと思い込みやすい。だから、世論操作が簡単に出来てしまうのである。
このような世論操作に抗うことが出来る人は、特定の傾向の意見だけに対して反応するのではなくて、すべての意見に対して興味を持つ人ではないだろうか。つまり、多様性の考え方を持つということである。固定観念や偏見に捉われることなく、柔軟性を持った思考性を持つことが大切なのである。そうすれば、特定の偏った世論に誘導されることもないし、さらには騙されることもない。思考の多様性を持った人というのは、巧妙な詐欺に引っかかることはまずないであろう。詐欺に騙されている人は、頑固で偏見を持つ人である。
さらに、巧妙な世論操作に騙されてしまう人は、低レベルでしかも愚劣な価値観を持った人である。公益性が低くて、自分の利益や名誉にこだわり、自己中心的な人間が騙されやすい。自分の損得で行動する人である。社会全体の幸福や豊かさを追求し、何よりも人間どうしの絆なつながりを大切にする人は、滅多に騙されることはない。だから、自己の利益を何よりも大切にするような身勝手な人ほど、巧妙な世論操作に惑わされるのである。
英国において、難民を排除するためにはEU離脱が必要だというように世論操作されて賛成の投票をしたのは、自国民だけの幸福を願うような身勝手な人である。米国において、難民や移民を排除し、自国民の平和だけを願うような人が世論操作をされて、投票に利用されたのである。つまり、自分の損得を何よりも重要視するような低劣な価値観を持つ人が騙されるのである。全体の幸福や平和の為に働いている人、言い換えると全体最適のために尽くすような人は、絶対に世論操作をされることはないのである。巧妙な世論操作をされたり、騙されたりしないように柔軟な思考性を持ち、しかも正しくて高い価値観を持ちたいものである。