身体を動かさないと死へと向かう

 人間の寿命は『骨』で決まると言うと、びっくりする人が多いかもしれない。そして、身体を動かすかどうかで、長生きするかどうかが決まると聞いたら、そんなことがあるのかと驚く人も多いであろう。人間の身体が老化を迎えるかどうかは骨が決めていて、身体を動かすと骨が作られ、動かさないと骨は滅んで行く。ということは、身体をよく動かす人は老化しないで長生きするし、身体を動かさない人は早く老化してしまい、滅んでしまうということになる。それは身体だけではなく、脳の機能も滅ぶというから恐ろしい。

 人間の老化を促進させてしまうシステムは、骨に関連するホルモン(神経伝達物質)によって働いているという。そのホルモンとは、スクレロスチン、オステオカルシン、オステオポンチンという三つの神経伝達物質である。スクレロスチンは骨芽細胞を減らしてしまう。スクレロスチンが多く分泌されると破骨細胞を増やして骨芽細胞を減らし、逆に少ないと骨芽細胞が増加するのだ。そして、その骨芽細胞から人間の老化させるかどうかに関係するオステオカルシンとオステオポンチンというホルモンが作られているのである。

 骨芽細胞から産出されたオステオカルシンが、血液によって脳の海馬まで運ばれて、海馬を刺激する。そうすると海馬の働きが活性化するだけでなく、海馬の細胞も増加して大きくなる。反対に骨芽細胞が少なくてオステオカルシンが分泌されないと、海馬の働きは衰え、海馬の体積も縮小するという。極端に海馬が委縮すると、記憶力が極端に低下してしまい、認知症にもなりやすい。つまり、骨芽細胞の多い少ないが、脳の老化を進めるかどうかを決めているというのである。オステオカルシンが脳の機能を決めているのだ。

 それだけではない、オステオカルシンが筋肉組織に届くと、筋肉組織の細胞を増加させて、筋力アップにも寄与するらしい。さらに驚くのは、オステオカルシンが精巣に届くと、なんとテストステロンというホルモンを活性化させ、精子の生産力を向上させるというのである。また、骨細胞から分泌されるオステオポンチンというホルモンが、人体の各組織に送られて、免疫力を高めるのに役立っているというのだ。オステオポンチンが不足すると免疫力が低下して、ガンや生活習慣病、または重篤な感染症を引き起こすのである。

 どうして骨が人体の老化を決めているのかというと、骨の状況によって寿命を延ばすかどうかを決定するのではないかと推測される。どういうことかというと、骨の密度が低下してスカスカの状況になってくると、もう無理して長生きさせる必要がないと記憶力や免疫力を下げるものと思われる。さらには、筋力も低下させるし精力も必要ないと判断するとみられる。骨の状態を人体ネットワークが分析して、老化をさせて死に至らせる作用が働くのではないだろうか。ある意味、老人にとっては残酷なシステムとも言える。

 その際、オステオカルシンやオステオポンチンという若返りホルモンを分泌させる骨芽細胞を増やすかどうかをコントロールするのが、スクレロスチンというホルモンだ。このスクレロスチンが骨芽細胞を増やすかどうかを決めているのだ。運動をするとスクレロスチンが減少し、身体を動かさないとスクレロスチンが増える。スクレロスチンが多いと、骨をスカスカにさせて身を滅ぼすのである。その運動も、骨に対してショックを与えるような運動こそ効果が高いということが解った。つまり、ただ歩くだけでは駄目で、走る、ジャンプする等、骨に対して負荷をかけることで、スクレロスチンが少なくさせることが判明したのである。

 骨に強い衝撃を与える運動が老化と死を防止して、健康で長生きさせるのである。ということは、骨にあまりショックを与えない運動は、老化を止められないということだ。例えば、スイミングやサイクリングは筋肉に負荷をかけるが、骨にはあまりショックを与えないから、老化は進むということである。それじゃ、どんな運動がいいかというと、バスケット、バレー、テニス、野球、ジョギング等が良い。しかし、高齢者には過酷である。高齢者でも出来る老化を防ぐスポーツは何かというと、登山、ゴルフは骨に衝撃を与えるのでピッタリだ。特に登山は、下山する時にドンドンと踵にショックを与えるから、骨芽細胞を増やす。新型コロナも防ぐ。健康で長生きしたいなら、登山をすることをお勧めする。

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