痛みが和らぐ優しくなでる手当法

 原因不明の痛みやしびれで苦しんでいる人が意外と多い。骨や神経には特に目立った異常がなく、これと言った痛みの元となるような生活習慣も見当たらないという。メンタル面では気になることもあるが、それが痛みやしびれの原因になるとは到底思えない。医師からは、精神的なものかもしれないと診断を受けることもあるが、自分ではそんなに深刻な悩みを持っているとは感じないのである。医師からは、心因性疼痛とか線維筋痛症という診断を受けて投薬治療となるが、一時的には良くなっても再発を繰り返すことも少なくない。

 

 そんな原因不明の頑固な痛みやしびれを、いとも簡単に和らげる方法がある。それは、お母さんが痛みを訴える子どもに実施している方法である。「痛い痛いの飛んでけえー」というあのやり方である。優しく撫でたりさすったりしながら、あの魔法のような言葉「痛い痛いの飛んでいけえー」と言ってあげるのである。流石に、大人にはこのような台詞は似合わないから、「ここが痛いんでしょ、痛いよねえ、早く痛みがなくなりますように」というような言葉を掛けながら、心を込めて優しく撫でてあげると、不思議と痛みが和らぐのである。

 

 そんな馬鹿なことがあるかと思う人は多いかもしれない。そんな非科学的な方法でこんな深刻な痛みが和らぐことなんかないと思うことであろう。しかし、騙されたと思ってやってみるといい。ただし、施術を受ける人と実施する人との間に信頼関係があることが必要だ。また、施術をする人自身、痛みが和らぐと心から信じることが求められる。さらには、施術する相手を安心させて緊張を緩めるような言葉がけや態度を要する。つまりは、カウンセリングマインドが必要だということだ。そうすれば、魔法のように痛みが和らぐ。

 

 どうして、そんなことが起きるのかと言うと、原因が心因性の疼痛だからである。でも、実際に疼痛が起きているのは確かであり、痛みの原因物質が存在する。または、痛みを感じるように無意識の脳が痛みの神経を刺激して、疼痛があると意識させるのである。心因性の疼痛を起こしている方は、自分でも乗り越えることのできない大きなストレスまたは深刻なトラウマを抱えていることが多い。心がいつも緊張しているから、筋肉がいつも緊張していて凝り固まっているのである。故に血流障害が起きているし、神経系誤作動の暴走がある。

 

 痛みが起きている場所を、信頼する人に優しくゆっくりと撫でられると、筋肉が緩むし心も和らぐ。皮膚に存在する痛点よりも感触点を感じる力の方が優位であるから、軽く触られていることを感じると、痛点の感覚が少し麻痺してしまうらしい。ましてや、心を込めて優しく触られているという快感があるので、痛点が感じなくなるシステムだと考えられている。勿論、これで疼痛がすべて完治する訳ではない。しかしながら、心を込めて自分の為に優しくさすってくれることを繰り返しているうちに、症状が随分と軽くなるのは間違いないだろう。

 

 心因性疼痛や線維筋痛症で苦しんでいる人たちは、ストレスやトラウマだけでなく、得体の知れない不安や恐怖をも抱えていることが多い。それは、自分にとっての絶対的な安全基地がないからである。そして、この不安やお怖れが神経系統の誤作動を起こさせ、『痛み』を感じさせているのではないかと見られている。痛みの場所をゆっくりとなでられると、オキシトシンホルモンという安心ホルモン(愛情ホルモン)が放出される。これがオキシトシンタッチという不安を解消させる療法である。自分を安心させてくれる人が優しく撫でてくれることで不安が和らぎ、痛みも少なくなるのである。

 

 心因性の疼痛や線維筋痛症の症状は、優しく撫でたりさすられたりすることで和らぐ。そして、痛みの筋肉部分を揺らしたり筋膜をリリースしたりすることでも痛みが和らいでくる。筋肉を緩めることが心を緩めることにも繋がっているのかもしれない。メンタルが不調の方たちも、筋肉が過緊張になっていて原因不明の疼痛を抱えていることが多い。心が固まっていると言えなくもない。心が緊張して固まっていると、筋肉も強張っているから血流障害や神経系統の誤作動が起きて、疼痛が起きていると思われる。こういう症状にも、優しく撫でたりさすったりすることで疼痛を和らげられるだろう。

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