メンタル疾患は適切なケアで治る

 精神疾患は完全に治癒するのが難しいと思われている。患者さんもそう思っているが、それ以上に精神疾患は治らないものだと思っているのが、精神科の医師である。さらに治らないものだと医師が認識しているのが、精神障害である。発達障害などの自閉症スペクトラムやパーソナリティ障害(人格障害)、摂食障害、パニック障害、PTSD、各種依存症などの精神障害は、医師たちは難治性のものだからと、最初から及び腰になる。患者さんにも、最初から治りにくいものだからと告知してしまう。本人も家族もそれで諦めてしまうのだ。

 

 確かに、重症の統合失調症や双極性障害は治りにくいと言われている。まだ発症してすぐの期間(2週間以内)ならば、完全治癒もあり得なくはない。しかし、発症して数年経ってから病気だと気付くケースも少なくなく、そういう場合は非常に治りにくいのも確かであろう。対症療法しか打つ手がないので、投薬治療しかないのが実情である。身体疾患と比較しても、治療期間が異常に長いのがメンタル疾患の特徴である。一旦投薬治療が始まってしまうと、減薬や断薬をするどころか、逆に薬量が増えていき、副作用も増大していく。

 

 また、定期的なカウンセリングやセラピーを受けているケースでも、治療が長期間に渡るケースが殆どである。それでも、劇的に改善するなら良いが、あまり効果が見られないケースが多い。患者さんにとっての一時的な安心の提供、または恐怖を取り除くことは一時的には可能だが、その効果は長続きしない。その証拠に、カウンセラーを次から次へと変更する患者さんが多いことが挙げられる。何故、精神疾患が治りにくいのかと言うと、本当の原因を究明しようとしていないからであり、原因を解決しようとしていないからである。

 

 また、精神障害が最初から治らないものだと匙を投げるのも、本当の原因を探求しようしていないからであり、原因を解決する術を知ろうとしないからであろう。日本の精神医療というのは、実にお粗末であって、本当に治癒させようと思っているのか疑いたくなるようなドクターが多いように思う。勿論、ドクター、セラピスト、カウンセラーはどんどんクライアントを完全治癒させてしまうと、患者さん(お客さん)が減っていってしまい、経営が成り立たなくなってしまう。日本の医療制度とは、そんなパラドックスを抱えているのだから、病人がどんどん増えていくのは当然であろう。

 

 薬品会社だって、完全に治癒させてしまう医薬品をどんどん開発したら、おまんまの食い上げである。以前、『生かさず殺さず』という言葉が使われていた時代があるが、まさに日本の医療は、生かさず殺さずに患者を繋ぎとめて行ったほうが、経営が安定していくというジレンマに陥っていると言えよう。病気になる真の原因を究明して、その原因をつぶしていけば、どんな病気だって治らない筈がないのである。それは、精神疾患だって例外ではないし、精神障害だって完全治癒とは行かないまでも、社会復帰程度まで寛解するのも不可能ではない。

 

 精神疾患や精神障害が根底にあり、不登校・ひきこもりの状態に陥ってしまっている方々を、永年に渡りサポートして気付いたことがある。それは、精神疾患と精神障害を起こしている方々は、殆ど例外なく根底に『愛着障害』があるという事実である。そして、この愛着障害が強く影響を及ぼしてしまい、二次的症状として精神疾患や精神障害を起こしているのである。それは、単純なものではなくて、もっと複雑なシステムエラーでもあるから、精神科医がこの根底となる原因を探り出せないのも当然である。

 

 ただ一人、この愛着障害が根本的な原因になって精神疾患や精神障害を起こしていると気付いていらっしゃる精神科医が存在する。それが、岡田尊司先生である。岡田先生は、適切なケアを施して見事に精神疾患や精神障害の方々を寛解させていらっしゃる数少ない精神科医だ。メンタル疾患やメンタル障害は、適切にケアすれば治るのである。愛着障害を適切な愛着アプローチで癒してあげれば、難治性のメンタル疾患だって寛解するのである。ただ、この愛着アプローチはとても難しい。専門の研修を重ねてきたセラピストやカウンセラーであっても、手こずることが多い。でも、適切なケアがされれば、メンタル疾患は必ず治るのである。

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