洗脳されやすいのは自己肯定感が低いから

 変なカルト宗教に騙されたり、とんでもない占い師に高額な寄付をさせられたりする人がいる。または、自己啓発セミナーに誘われて、高額な研修を次から次へと受講させられる人が少なくない。これらは、ある意味マインドコントロールや洗脳をされていると言えよう。厳密に言うと洗脳とマインドコントロールは違うものだと言われているが、社会一般では同じ意味で使用されることが多い。著名な芸能人もよく洗脳されているという話を聞くことが多いが、想像以上に多くの人々がマインドコントローや洗脳をされていると言えよう。

 

 フェイクニュースに騙され続けたり、間違ったインターネット情報に操られたりするのも、ある意味ではマインドコントロールと言えよう。トランプの熱狂的な支持者たちは、とんでもない陰謀論を信じ込まされて、マインドコントロールされていると言えなくもない。日本でも、陰謀論を信じ込んでしまい、とんでもない非科学的な証拠を鵜呑みにして情報発信する人がいる。こういう人に、騙されているんだよと優しく諭しても、マインドコントロールされているから無駄である。洗脳というのは無理に解こうとしても、解けないのだ。

 

 洗脳またはマインドコントロールを受けやすい人がいる一方で、どんなに巧妙な罠をかけられても一切騙されずに洗脳やマインドコントロールをされない人がいるのも事実だ。その違いはどこから来るものなのであろうか。イスキアの郷しらかわという不登校やひきこもりの子どもたちや若者たちを支援していて気付いたのだが、彼らもまた洗脳やマインドコントロールを受けやすいのである。そして、彼らに共通なのが自尊心や自己肯定感が異常に低いことである。その為に、騙されやすいし妄想を持ちやすいという共通項がある。

 

 どうして自己肯定感や自尊心が低いと洗脳やマインドコントロールされやすいのかといと、こういう理由からだろうと想像できる。自尊心や自己肯定感というのは、自分で努力して良い成績や実績を上げても、地位や名誉を得たとしても、一切高くなることはない。絶対的な自尊心や自己肯定感を得るかどうかは、小さい頃(2歳~4歳)の自我が芽生える時期における育てられ方に起因している。『あるがままにまるごと愛される』という育てられ方をしないと、自己肯定感や自尊心は育まれることはないのである。

 

 あるがままにまるごと愛されず、親から強く支配されたり制御されたりして育てられると、どんな時にも揺るがない自己肯定感は生まれない。言い換えると、あまりにも親から介入や干渉をされ過ぎてしまうと、自己肯定感は育たないのである。さらに、母親がひとりで子育てをしてしまうと、母性愛と父性愛の両方を同時に注いでしまうことになる。これは、ダブルバインドのコミュニケーションと言って、絶対に避けなければならない子育てになってしまう。そうすると、摂食障害や妄想性の障害などを起こすことにもなる。

 

 あるがままにまるごと愛されるという無条件の愛を注がれる子育てをされないと、子どもと親の豊かな愛着が結ばれない。つまり『愛着障害』になってしまうのである。愛着障害になってしまうと、絶対的な自己肯定感が確立されないで成長してしまう。絶対的な『安全基地』が存在しなくなってしまう。生きる上で必要な安全と絆が存在しなくなるのである。そうなると、いつも不安と恐怖感を抱えて生きることになる。見捨てられ不安やいつか見離されてしまうという怖れを抱いてしまう。回避性や逃避性のパーソナリティを持ったり、何かに依存しないと生きていけなくなったりする。

 

 つまり、いつも強烈な生きづらさを抱えてしまい、何かに救いを求めたくなるのである。言い換えると、いつも心が満たされていないから、何か別のもので心を満足させようとしてしまうのであろう。何かにすがっていないと生きていけなくなってしまうのだ。そこに付け込まれてしまうのである。新興宗教やオカルト信仰に誘い込まれるのは、こういう愛着障害の人が多い。〇〇心理学を学ぶという自己啓発セミナーに騙されるのも同じ理由からだ。スピリチュアルなセラピーに誘惑されて、高いパワーストーンを買わされるとか、高額なアロマを購入させられるのも愛着障害の人が多い。洗脳やマインドコントロールから目覚めるには、誰からかあるがまままるごと愛されて、自尊心を高めるしか方法がない。

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