ひきこもりやニート対策を営利事業に?

ひきこもりやニートと呼ばれる若者が、残念なことに年々増加している。そして、これからも増加の一途を辿る可能性が高い。親としてみれば、何とか社会復帰させたいと思うのは当然だ。ましてや、自分が生きているうちは何とか面倒をみられるが、もし先に他界してしまえば子どもが困るだろうと思い、あらゆる対応策を考えるようだ。そんな困りきって藁にもすがりたい親や当事者から、ひきこもりやニートを必ず社会復帰させますと謳い、高額の滞在費やセミナー費をむさぼる業者がいるらしい。

その殆どの業者は、数か月という長期間に渡り滞在させて、セミナー費用として請求するという。安くても月額30万円、酷いケースだと月額50万円以上にもなるという。そして、この滞在期間は、1ケ月では済まなくて、滞在を何度も繰り返させるケースも多いし、良くならないからと何か月も滞在させる例も多いらしい。食事も提供するのだから、そんなに高くないと考える親と当事者も多いらしい。しかし、食事内容も学生相手の食堂並みであるし、居住スペースも狭くて、研修や体験内容もお粗末な場合が多いという。

セラピストやカウンセラーも常駐して、個別に相談も受けるというが、果たして画一的な心理療法や研修内容で社会復帰できるものだろうか。ましてや、完全に営利を目的にした法人が運営している施設である。なるべくクライアントを多く集めたいし、せっかく集めた利用者を手放したくなるのは当然である。何やかやと手を尽くして完全復帰を先延ばしたくなるのは経営者として考えたくなることである。精神科病院が『固定資産』と称して、精神疾患の患者を囲い込んだ過去の不幸な歴史と、構図が似ている。

こきこもりやニート対策は、ビジネス(営利事業)として実行されてしまうと、クライアントを囲い込む傾向が強くなる。なにしろ利用対象者は大切な顧客なのである。せっかく得た顧客を無くしたくないし、長期に利用してもらえば収入も上がる。だから、このような福祉的な事業は公的機関が実施すべきなのである。しかし、障害者認定されてなければ、公的扶助や支援の対象ともならないし、公的機関が本格的な宿泊施設を活用したひきこもりやニート対策を取るにはハードルが高い。ひきこもりやニートに多額の公費をつぎ込むことに対しては、市民の理解を得られにくいであろう。

さらには、ひきこもりやニートをどのようにすれば解決できるのか、行政機関が明確な答を見つけられるとは思えない。ましてやひきこもりやニートの本当の原因を、行政側で認識していないように感じられる。となれば、民間の福祉関連施設がその役割を担うしかないだろう。しかし、民間の法人がひきこもりやニートの社会復帰訓練施設を公的援助なく運営するとなれば、相当に高額な利用料にならざるを得ない。ましてや、多くの職員を雇いビジネスとして事業経営するとなれば、収益を上げることに躍起となるのは当然である。

ひきこもりやニートを社会復帰させる研修は、一筋縄では行かない。乳幼児から十数年もの育児や家族との関わりから起きてきたことであり、そもそも社会に問題があるからこそひきこもりやニートに陥ったのである。単なるカウンセリングやセラピーだけで社会復帰が実現する訳がない。ひきこもりやニートの社会復帰支援は、家族療法や当事者の価値観教育なしには不可能である。ましてや、当事者の事情や人格は様々であるから、個別対応をきめ細かく実施しなければならない。だから、ビジネスとしては不似合いなのである。

完全復帰を目指したひきこもりやニート対策が出来るのは、限られた施設であろう。農業体験や自然体験を十分に行いながら、家族を呼んでミラノ型の家族療法をすることが出来る施設が望ましい。それも、オープンダイアローグの心理療法を駆使したセラピーができるような施設であればなおいいだろう。何十人も一緒に生活するような施設では、こういう対応は難しいし、ましてや収益の上がらないような対応策は取りたがらないであろう。こじんまりとした個別対応のできる農家民宿が、ひきこもりやニートの社会復帰訓練には一番ふさわしいと思われる。いずれにしても、ひきこもりやニート対策事業は営利企業にとっては荷が重すぎる。

※「イスキアの郷しらかわ」では、ひきこもりやニートの社会復帰支援をしています。農業体験や自然体験をしながら、オープンダイアローグ療法もします。何故生きるのか、働くという意味や意義についても、哲学を基本にしたレクチャーをしています。イスキアの事業は、理念にも書かれている通り、営利を目的にしたものではなく、社会貢献活動として実施しています。まずは問い合わせフォームからご相談ください。

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