中高年のひきこもり

ひきこもりの実態調査を国は実施しているが、総数は減少しているという。そんな筈はないと思う人が多いに違いない。本人や家族に確認した訳ではないが、自宅周辺にも何人かのひきこもりがいることが何となく解っている。ひきこもりは増えているという実感があるのに、少なくなっている訳がないと思う人が多い筈である。ひきこもりの実態調査は対象者が若者だけである。ひこもりの若者が、その状態のまま中高年になっているから、調査結果のひきこもり該当者総数が減少しているだけであり、全体の総数は変わりないか増えていると思われる。

それで厚労省では、今回は中高年者のひきこもり実態調査をすることになったということである。今までは、10代から30代を対象とした調査であったが、今回の調査対象は40代から60代までの中高年にしたという。中高年のひきこもり者数が多いと感じた厚労省が、このまま見捨てておけないと、ようやく腰を上げた形である。若い頃にひきこもってしまって、その後ずっと社会復帰できずに中高年になってしまったケースが多いと思われる。このままでは、親が要介護になり施設に入所したり鬼籍に入ったりすれば、一人きりになってしまうひきこもりが多くなってしまう。

それでは、中高年のひきこもりの実態を明らかにして、それから国としてどうするのかというと、明確なビジョンはないらしい。とりあえず実態を調査してから、考えようとしているみたいだ。実態調査もそうだが、場当たり的な対応だとしか思えない。おそらく、正確な中高年のひきこもり者数の把握は難しいと思われる。それでなくても、子どもがひきこもりしていることを、恥ずかしいからと親はひた隠しにしていた。正直に子どもがひきこもりだとは、なかなか認めたがらないのではないだろうか。原因も解らず、その有効な対応策も見いだせないのだから、手の打ちようがないだろう。

中高年のひきこもりも含めて、何故そうなるのかという詳しい分析を、行政はまったくしていない。今までは、困った状況であるという認識はあったものの、原因の分析と解決策の検討はしていないのである。今回の中高年のひきこもり実態調査をしたとしても、有効な解決策を立てるのは難しいに違いない。何故ならば、ひきこもりの本当の原因を探り当てるのは到底出来そうもないからである。おそらく、ひきこもりの原因は、当事者の性格や気質、または何らかのメンタルの障害によるものだと結論付けるからである。そして、そうなったのは親の子育ての間違いだと考えているからである。

ひきこもりの原因は、当事者とその親にある訳ではない。全然責任がないとは言わないが、どちらかというと社会全体にあると見るべきであろう。つまり、社会システムの不備や不具合こそが、ひきこもりという社会問題を起こしていると考えなくてはならない。教育システムの誤謬、社会における間違った価値観、企業における経営哲学の不具合、そして各種コミュニティにおける関係性の劣化、そういう本来のあるべき姿からの乖離こそが、ひきこもりという問題を起こしているのである。不登校という問題も同様である。

とすれば、この社会システムにおける歪みを本来あるべき姿に正さなければ、ひきこもりや不登校が解決できないかと言うと、けっしてそうではない。間違ったり歪んでいたりする価値観や哲学によってこの社会が形成されていることを、まずはしっかりと認識することが必要である。そのうえで、社会に適応しにくくなっているのは、自分こそが正しいからだということを知ることである。自分の性格や気質が悪いからだとか、自分に適応能力がないからだという自己否定感を払拭しなければならない。そして、そのように育てた親に対する反発、恨みを持つことを止めることである。

明治維新以降に、富国強兵を進めるには欧米の近代教育が必要だと、客観的合理性の教育観を取り入れた。このあまりにも行き過ぎた客観的合理性の教育は、人々に個人主義、利益主義、競争意識を植え付けて、自分さえ良ければいいんだという利己主義を強化した。故に、他人に対する優しさや慈しみという感覚を捨てさせ、社会に対する貢献意識を無くしてしまった。当然、お互いの関係性を希薄化・劣悪化させ、家族・地域・企業などのコミュニティを崩壊させてしまった。この客観的合理性、言い換えると要素還元主義にシフトし過ぎた価値観の間違いを認め、正しい全体最適と関係性重視の価値観を認識することが必要である。この正しい価値観を親子ともども認識して、少なくても家族というコミュニティが再構築されれば、ひきこもりや不登校という問題は解決に向かうであろう。

 

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