山菜の食文化を後世に遺す

大好きな山菜シーズンが終わりを告げようとしている。とても残念であるが、また来年も山菜を採り食べる喜びを、おおいに享受したいと思っている。最近特に思うのであるが、山菜を採ること、そして食べる文化が衰退しているのではないかという危惧を抱いている。たかが山菜の食文化がなくなったからと言って、我々の生活に何の影響もないだろうと思う人が多いことだろう。確かに、他の野菜なども豊富だから、山菜がなくなったとしても、私たちの生活が大きく変わることはない。しかし、健康面では多大な影響があるように感じている。

山菜は、畑や栽培工場などでも栽培されるようになっている。だから、山菜なんか採らなくてもいいだろうと思っている人は少なくない。わざわざ危険な山に入り、苦労して山菜なんか採らなくていいだろうという意見があるのを承知している。危険な熊や毒蛇にも出会うこともあるし、実際に熊による被害や迷い遭難する人も少なくない。生命の危険まで冒して山菜を採る必要なんかないよと言われることもある。しかし、山菜を畑で栽培すれば、それは野菜であり山菜ではなくなるのである。

どちらも同じ山菜だろうと思う人が多いだろうが、畑や工場で生産された山菜は、もはや山菜とは呼べない。その理由は、山で採れた山菜は無農薬でオーガニックであるが、畑や工場で作られたものは農薬まみれで化学肥料により作られたものだということである。含まれる微量元素が不足するのは間違いない。もし自然栽培であったとしても、山と畑ではその土に含まれるミネラルとか微量元素の成分が大きく違うのである。当然、山菜に含有されている量もかなり違っている。

山菜を採って食べる慣習は、何故広まって長い期間続いてきたのであろうか。科学的な知識や正確な成分分析など無かった時代から、延々と続いてきた山菜を食べる食文化は廃れることなかったのであ。それは、経験から導き出された知恵であったと思われる。山菜を食べる住民は、体調を崩すことも少なく健康で長生きしたのだと推測される。山菜を食べない住民は体調を損なって長生き出来なかったのではなかろうか。だから、人伝えで山菜を食べると健康で長生きできると広まり、山菜の食文化が続いたのであろう。ただ美味しいからという理由だけではなさそうである。

特に、この山菜を食べる習慣は、春の季節に圧倒的に多い。山菜が春に採れるということもあったろうが、春に食べなければならない理由もあった筈である。山菜をまったく食べない習慣の現代人が、春に体調を崩すことが多い。冬が終わって春になり、気温も暖かくなって免疫力が上がる筈なのに、この時期にインフルエンザなど各種感染症になる人が多い。また、この時期に明らかに増えるのが、化膿性虫垂炎である。また、イレウスや化膿性の腸炎も不思議と多くなる。

これらの感染症が増加したり胃腸炎を起こしたりするのは、どうやら気圧の急激な変化によるものらしい。免疫学の大家である安保徹先生は、この時期に移動性の高気圧が頻繁に日本列島にやってくるので、自律神経のアンバランスが起きて免疫力が低下するという説を唱えていた。あまりにも急激に高気圧と低気圧がやってきて、交感神経が異常に興奮することで免疫力の低下が起きるし、ステロイドホルモンが過剰に分泌されることで、体調不良が起きるのではないかと説いていた。ところが、天然のミネラルや微量元素が多く踏まれる山菜、またはアクの強い山菜を食べることで、そのアンバランスが調整されるのではないかと思われるのである。それを証明するエビデンスはないが、自分と家族、提供した山菜を食べている親戚友人は、体調を崩すことが極めて少ないばかりか、アレルギー症状が緩和されて、感謝されている。

山菜を採りに山に入ると、熊・鹿・猪・猿などの野生動物が山菜を食べた跡を発見する。これも、山菜を食べると体調が良くなることを野生動物が知っているからに他ならない。こんなにも身体に良い山菜を食べる習慣が廃れるというのは、実にもったいないことである。山菜を採る人も少なくなってきて、どこに山菜が出るのかを子孫に伝えられる人も激減している。このままで行くと、山菜を採る文化も無くなってしまうし、勿論食べる文化も廃れてしまうと考えられる。全国各地で自然発生的に生まれてきた、山菜を採り食べる文化を後世にも残したいと願うのは、私だけではないと信じている。そして、山菜料理を造る文化も、ずっと遺していきたいと強く思う。

 

※イスキアの郷しらかわでは、山菜の安全な採り方と美味しい調理の仕方をレクチャーしています。ご希望の方がいらっしゃれば、お教えいたします。今年の山菜シーズンはもう盛りが過ぎてしまいましたが、会津の奥山に行けばまだ採れる場所があります。問い合わせフォームからお申込みください。

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