以前から起立性調節障害で苦しんでいる子どもは存在していたが、最近は特に多くなっていて、その症状が強く出ることが影響し、不登校の大きな要因になっているらしい。なんと、現代の中学生の約10%が起立性調節障害(OD)の症状があり、不登校の子どものうち3~4割がODだというから驚きである。どうして、こんなにも子どもたちにODが増えているのか、そして不登校の子どもにODの有病率が異常に高いのは何故か。現代医学においては、ODの原因が完全には解明されていないから、治療の効果もあまり上がっていない。
起立性調節障害ODは実に厄介な疾病である。立ち上がろうとすると、めまいが起きる。低血圧や低血糖が起きたように、身体がふらふらして立ち上がれないし、ぐるぐる感やふわふわ感で自分の周りの世界が回っているような感覚だと言う。とてもじゃないが、学校や職場には行けない状況になる。OD発症の原因は血流障害、自律神経系統における迷走神経の異常反射ではないかと推測されているが、医学的に確定していない。ひとつだけ共通している点がある。当事者がかなり大きなストレスやトラウマを抱えているという点である。
しかも、そのストレスやトラウマを家族や親近者に、ありのままに素直に吐露できていないことが多いと言われている。とすれば、ODはメンタル面の影響があっての症状ではないかと推測する医療関係者も多い。とは言いながら、診察を受ける医療機関の専門医は小児科であり、精神科医や心療内科医ではない。心を診るのは、どちらかというと不得意である。ODの症状がない不登校であれば、児童精神科医の診察を受けるが、ODの症状があれば小児科だけになり、メンタルの治療がされないという不幸を背負ってしまう。
ODの原因は完全には解明されておらず、手探りの治療がされる。投薬ぐらいしか小児科領域における治療は他に方法がない。対症療法に限定されかねない。もし、神経内科医や精神科医、または総合診療科などで複合的or統合的に診てくれる医師に出会えたなら、ODの治療効果は格段に上がるに違いない。もし、ポリヴェーガル理論について熟知している医師の診察を受けたならば、ODは回復する可能性はかなり高くなると想像できる。自律神経の不具合が起き、迷走神経の暴走が起きていると解れば、ODの症状が緩解しやすい。
ポリヴェーガル理論については医学界でも熟知している医師は極めて少ない。ポリヴェーガル理論とは、今までの自律神経理論をひっくり返すような発見であり、交感神経と副交感神経だけの関係だけでなく、副交感神経に二つの迷走神経が存在するという画期的理論である。二つの迷走神経のうち、ひとつは今までの副交感神経のように、休息と安寧を司る腹側迷走神経と、命に関わるような危険に出会い闘争も逃走も出来ない状況に追い込まれた時に働く背側迷走神経があるという理論である。この背側迷走神経の過活動により、ODが起きているという説だ。
ODが発症する原因は背側迷走神経だと特定は出来ないが、おおいに関連するのではないかと推測できる。ODから不登校になる子どもは、学校生活に大きな不安や恐怖感を抱えている。いじめ、無視、セクハラ&モラハラ、不適切指導など様々な要因があげられる。安定した愛着(アタッチメント)を持つ子どもならば、そのような目に遭ってもはねのけられるし、そもそも攻撃を受けないオーラを発しているからいじめの対象にならない。しかし、不安定な愛着or愛着障害を抱えていると、ハラスメントの対象になりやすいし、トラウマを抱えやすい。
元々ODになるような子どもは、不安型の愛着を持つが故に不安や怖れが強くHSPを発症している。トラウマを何度も積み重ねて複雑性PTSDを発症し、背側迷走神経の暴走によるフリーズ&シャットダウンが起きていると推測できる。おそらく、眼球の動きが定まらず泳いでいるような動きをしていよう。目線があちこち動いて、一定方向を見定めるのが不得意だと思われる。不安型の愛着を癒して、HSPを緩和し、背側迷走神経の暴走を止めることが出来たら、ODは回復に向かう。その際、ソマティックケアも併用すれば、なお効果があがる。
※ソマティックケアのひとつは、まずは座って安定した姿勢を保ち(寝てもよい)、左と右に交互に目線を精一杯それぞれ向けて数秒止めるのを繰り返します。今度は上と下、それから非常にゆっくり眼球を回すように視線を回します。これを毎日、数回繰り返すと効果があがってきます。ODの子どもは、迷走神経の過剰反応により、筋肉の硬直が起きていますので、肩こりや偏頭痛も起きているかもしれません。この症状の緩和にも、この目線のケアの効果がありますし、緊張を緩める筋膜リリースも効果が絶大です。これはお母さんが一緒にやってあげるのが最適です。
