メンタル疾患が年々増加の一途を辿っている。代表的な気分障害である、うつ病や双極性障害(躁鬱病)の患者さんは、あまりにも増え続けていて社会問題にもなっている。そして、最近は単なるうつ病だと診断されてきたのに、実は双極性障害だったということが判明するケースが非常に多いことが注目されている。うつ病というのは誤診であって、別の心療内科で双極性障害だという確定診断がつく例が極めて多いのである。躁うつ病は、一昔なら珍しい精神疾患だったのに、現代では想像している以上に増加しているのである。
双極性障害は、重篤な精神疾患である。治療が難しいということもあるし、完治を迎えることが少なく、寛解さえも難しい。そして、より重篤な精神疾患である統合失調症も増えていることに戦慄を覚える。どうして、こんなにも難治性の精神疾患が増えてきているのであろうか。そして、一昔前のうつ病であれば、投薬治療によって症状がかなり抑えることが可能だったのに、現代のうつ病は投薬や各種精神療法を駆使しても、寛解しにくくなっている。つまり、メンタル疾患は年々増えているし、難治化しているのである。
そして、とても増加しているメンタル疾患がもうひとつある。複雑性PTSDという精神疾患が増えているのである。単純性のPTSDやパニック障害が増えていることもあるが、複雑性PTSDだけが異常に増加しているのである。複雑性PTSDというのは、トラウマ(心的外傷)を何度も積み重なって起きる疾患で、単純性のPTSDよりも治癒しにくい。今までのカウンセリングや精神療法では、良くならないばかりか却って重症化させてしまうことも多く、二次的症状としてより深刻な疾患を発症させるリスクもあるという。
今までの精神療法やカウンセリングは、過去のトラウマを聞き出して、そのトラウマを今は安全なものとして俯瞰できるように、右脳の記憶から左脳の記憶に移し替えをすることで、症状を緩和させていた。ところが、複雑性PTSDに限っては、下手にトラウマを暴露させてしまうと、その恐怖に耐えきれなくてさらなる深刻な二次的症状を引き起こすケースが非常に多いことが判明したのである。ASDやADHDなどの発達障害の症状や、双極性障害を起こすことが多くみられる。複雑性PTSDとは、怖い精神疾患なのである。
そして、複雑性PTSDによる二次的症状として、うつ病、双極性障害、統合失調症型パーソナリティ障害、妄想性障害、発達障害などの深刻なメンタル疾患や障害が起きていると考えられる専門家が増えてきた。それでは、何故に複雑性PTSDを発症してしまうのであろうか。いくら心的外傷を受けるような出来事を体験したと言っても、すべての人がトラウマ化する訳ではない。特別にトラウマを積み重ねやすい人と、まるっきり平気で受け流せる人がいるのだ。苦しくて悲しくて怖い体験をトラウマ化しやすい人が複雑性PTSDになる。
このトラウマを積み重ねて複雑性PTSDになりやすい人は、HSCやHSPの気質を持っている。特に聴覚過敏が強い傾向を持つ。聴覚神経が肥大化している。そして、脳の器質障害をも起こしている事が判明してきた。DLPFC(背外側前頭前野脳)と海馬が壊れて萎縮している事が解ったのである。一方では、偏桃体が肥大化していることも知られている。何故そんなことが起きているのかというと、不安、恐怖、苦しみ、怒りなどの強いマイナス感情が常に起きていると、偏桃体が異常興奮を起こしてコルチゾールが過大に分泌される。そうすると、偏桃体が肥大化すると共にDLPFCと海馬が破壊されてしまうのだ。
この海馬は記憶を司る大切な脳なので、記憶力や認知が正常に働かなくなるばかりか、記憶を変更してしまう。また、DLPFCはワーキングメモリー機能、正常判断や倫理観を司っているので、一時記憶や臨時的計算や判断が出来なくなるばかりか、反倫理行動や依存行動を取ってしまう危険もある。DLPFCと海馬が正常に働かないと、不安・恐怖・怒りを鎮めることが出来ず、メンタル疾患はさらに重症化して固定化してしまうのである。投薬治療も効果がなくなる。HSCやHSPになってしまう原因は安定したアタッチメント(愛着)が形成されず、不安型のアタッチメントを抱えてしまうからなのである。
※このように、今まではメンタル疾患はその人の性格や気質によって起きる心の病気だと考えられていましたが、まったく違っていて脳の器質的変化によってもたらされているということが判明しました。そして、複雑性PTSDが基礎疾患にあって、二次的症状としてうつ病や双極性障害などの気分障害が起きていて、幻聴・幻覚を起こす統合失調症性パーソナリティ障害や妄想性障害が起きるケースが多いのです。さらには、二次的症状として発達障害も起きる例が多いこと解りました。
