コミュニケーションが苦手な子どもが、異常な程増加している。子どもの時のコミュニケーション障害が若者になっても継続し、大学や職場においても継続しているケースが少なくない。コミュニケーションが苦手な子どもは、学校でいじめに遭ったり不適切指導の対象になったりするので、不登校になってしまう例も多い。友達も出来にくいので、不登校からひきこもりになってしまう一因にもなっていて、コミュニケーション障害は大きな社会問題にもなってきている。どうして、こんなにもコミュニケーション障害が増えたのだろうか。
コミュニケーションが苦手な子どもは、場面緘黙症や対人恐怖症を併発することが多い。コミュニケーション障害が根底にあると、見知らぬ人と会うことがとても不安になるし、外に出ることが恐くなる。読み書きは出来るし、試験は乗り越えられる。大学や就職の面接試験は、何度もトレーニングをするので擦り抜けられる。コミュニケーションが苦手な若者だって、同じ場面を何度も訓練して、予想質問を完璧にこなせるようになれば、面接試験をクリアしてしまう。しかし、実際に仕事をするようになれば、たちまち馬脚を現す。
決まり切ったやり方をするだけの定型の仕事なら、コミュニケーション障害を抱える若者でも問題なくこなせる。しかし、その仕事にイレギュラーの追加業務が発生したり、突発的な問題が発生したりすれば、コミュニケーションの苦手な社員はもうお手上げだ。一流大学を卒業して、優秀な成績で入社してきたエリート社員が、実際は使い物にならないポンコツだったというケースが多い。こういう社員は、すぐに辞職するが、自分で退社手続きさえできないので、退職代行にすべてお任せになる。実に困った事態である。
コミュニケーション障害の子どもや若者が、こんなにも増えてしまったのは何故なのだろうか。その根底には、自己肯定感や自尊感情の欠落が存在する。不安や恐怖感が自分を支配しているので、言葉にして発声することが出来ないのである。それは、小さい頃から言葉を発する度に叱られ批判・否定をされるような体験を何度も積み重ねたからである。元々、言葉を発するのが遅い為に、保護者が言葉を先取したり代替コミュニケーションをしてもらったりする影響も、おおいにある。次第に言葉を発するのが嫌になるのも当然である。
このように、不安や恐怖心がMAXになっている心を持つのは、HSPの影響であろう。自己肯定感や自尊感情を持てないのは、愛着障害のせいであると思われる。そして、HSPと愛着障害が根底にあると、心が傷つきやすくなる。安定型の愛着を持つ人なら心が傷つくような出来事にはならないのに、安易に傷ついてしまう体験になってしまう。そして、その心の傷がトラウマになっていく。そして、このトラウマが積み重なっていき、複雑性PTSDを抱えているが故に、コミュニケーション障害が起きていると考えられる。
複雑性PTSDは実に複雑であるし、症状も様々である。症状がごく弱い人なら、複雑なコミュニケーションが不必要な業務をこなすことが出来る。複雑性PTSDの症状が強い人は、二次的な症状として様々なメンタル症状を起こす。双極性障害や統合失調症と誤診されるし、単なるうつ病として誤った治療を受けている人も多い。複雑性PTSDによるコミュニケーション障害の強い人は、不登校やひきこもりの状況が固定化されることも少なくない。コミュニケーション障害だと認識され、次から次へと転職して退職を繰り返し、複雑性PTSDが強化されることにもなる。
何故コミュニケーションが苦手な子どもが増えているのか、結論を言えば愛着障害とHSPによる影響で、自己肯定感や自尊感情を持てないからである。その為に、不安と恐怖心がMAXになっているので、言葉を発するのが恐いのである。こんな子どもに育てようと思う保護者はいない。しかし、実際はコミュニケーションが苦手な子どもを育ててしまっている。『良い子に育てよう』という意識が強過ぎるのではなかろうか。その意識が強いので、あまりにも子どもに対して干渉や介入をしてしまうことで、愛着障害になるのであろう。子どもが本来持っている自己組織化をする能力を高める子育てに、大転換しなくてはならない。
