何故女性だけが韓流ドラマにはまるのか

 女性は韓流ドラマが大好きである。男性でも韓流ドラマが好きだという人がいるが、ごくまれである。韓流ドラマにはまっているという男性はあまりいないが、女性は韓流ドラマにはまりやすい。一度韓流ドラマにはまってしまうと、ずっとはまり続けることが多い。次から次へと韓流ドラマをエアチェックしまくって、連続ドラマを見続けてしまう。どうして、韓流ドラマにはまるのは女性だけなのだろうか。そこには、何かの法則らしきものがあるのだろうか。還流ドラマ好きが高じて、韓国に旅行する女性も多いと聞く。

 日本の連続ドラマは、殆どが10話で完了する。大河ドラマや朝ドラ以外のドラマは、10話完結のドラマであるが、韓国で作られるドラマは30話~50話完結という長期間に渡る連続ドラマが実に多い。つまり1年間、または半年間に渡り放映されるのである。それも15分間や30分ではなくて、一話が1時間や1時間半という長さの連続ドラマなのである。そんな長いドラマを飽きもせず見られるのは、やはり女性特有の集中力のなせるわざなのかもしれない。連続ドラマに集中できないのは、男性特有の飽きっぽさかもしれない。

 それにしても、女性だけがそんな韓流ドラマにはまるのは、他にも理由があるのではないかと思われる。それは、韓流ドラマで描かれるのは恋愛ストーリーだからということも挙げられる。歴史ものにしても社会派ドラマにしても、その伏線として恋愛が必ずと言っていいほど描かれる。どちらかというと、恋愛が主でその脇役として社会的テーマや史実が盛り込まれているといっても過言ではない。あまりにも恋愛の部分が多いので、日本の男性は飽きやすいが、日本の女性にとってはそこが魅力なのではないかと推測される。

 何故、韓流ドラマに女性だけがはまってしまうのかを、心理学的にもっと詳しく考察してみたい。韓流ドラマを男性が見ていて詰まらないと思うのか、または飽きてしまうのかを先ずは明らかにするとしよう。韓流ドラマは、何となく結末を予想できるケースが多い。男性の脳は、どちらかというと合理性を追求しやすいし、論理的な考察をしがちなのである。韓流ドラマは実際にはあり得ないような設定が多いし、強引な展開をさせてしまうことが多い。つまり、男性は現実とあまりにもかけ離れた筋書きに嘘っぽさを感じて、感情移入できない。

 一方、女性の脳は、どちらかというと感情的な部分を大切にするし、ロマンチックな展開を求める傾向にある。言い換えると、韓流ドラマに自分では果たすことのできない夢を託しているのではなかろうか。自分の現実があまりにも夢とかけ離れているので、韓流ドラマの世界においてだけでも、理想を実現した気分を味わいたいのではないかと思うのである。韓流ドラマにはまる女性は、リアルの世界において果たせないロマンを韓流ドラマの世界で果たした気分になっているような気がする。つまり、女性の共感力が高いので、韓流ドラマに感情移入が可能なのだ。

 韓国の事情はよく知らないが、どのドラマを観るかという選択肢は女性が握っているのではあるまいか。そして、韓流ドラマは女性の視聴者をかなり意識して作成されているように思える。台詞やストーリー展開が、あまりにも女性が好みそうな作りになっている。そして、日本でも女性向けに作られた韓流ドラマなのだから、女性が大好きになるのであろう。男性にしてみると、強引でご都合主義で展開されるストーリーにリアリティを感じないものだから、韓流ドラマが好きになれないのだと思われる。

 日本人の高齢男性は、時代劇をこよなく愛する。水戸黄門や大岡越前のような勧善懲悪ものが大好きだ。心理学的に言うと、結末が分かっていて悪がやっつけられる展開が、安心して観ていられるのだろう。日本人の若い男性は、このような結末が予想できる時代劇を好まない。心理学的に考察すると、高齢男性は不安から保守的になっているし、変化を好まないのである。韓流ドラマにも、保守的で大胆な変化をしない傾向がある。日本の若い女性も中高年の女性も、自分でも気付かない強い不安感を持っていて、観ていて安心できる韓流ドラマにはまるのかもしれない。『不安の時代』が韓流ドラマ人気を支えているとも言える。

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