アンケートで交際経験(恋愛経験)がない20代の若者が、3割以上もいるということが明らかになったという。女性の3割近くの20代女性は付き合い経験が一度もなく、4割以上の20代男性が、デート経験を一度もしたことがないという。そして、6割以上の20代若者が特定のパートナーがいないというとんでもない実態が明らかになった。どうして恋愛相手がいないのかと問うと、そのようなチャンスがなかったという若者が多いが、中には時間とお金の無駄遣いだから、恋愛したくないと嘯く若者も結構いるらしい。
少子化が社会問題化になり、結婚できない若者がいるのは経済的貧困のせいだとか、政府の少子化対策に原因があると思っている大人たちが多いが、どうやらそれ以前の問題がありそうだ。非正規労働者や労働分配の問題とか、産み育てる環境が整備されていないことが原因ではなくて、そもそも若者たちが恋愛しようとしていないし、結婚しようとしていないから少子化が起きているのだ。だから、行政府による少子化対策は的外れであり、効果が出る訳がないのだ。若者本人が恋愛や結婚をしたがらないのだから、どうしようもないのだ。
それでは、どうして若者たちは交際をしたがらないのだろうか。または、若者たちは交際しようと願いながらも、実際に恋愛に踏み切れないでいるのであろうか。一昔ならば、若者の殆どが恋愛の対象者を求めるのが普通だった。中には結婚を望まない若者が居たが、ごく少数であった。今のようなスマホも持たされず、SNSはなかったが、学生たちはサークルや同好会などでの異性との出会いを求めていた。今から40年以上も前は、出会いの為に合同ハイキングや合コンに多くの学生がせっせと参加していたのである。
昔の学生たちは、ごく普通に異性との出会いを求め、出来たら交際に持ち込みたいと真剣に願っていたものである。そして、やがては交際から結婚することを夢見たものである。現代の若者は、画一的な人生プランを持ちたくないということもあろうが、異性との交際や結婚を望む人が少なくなってしまったようである。または、異性と交際したいと思うが、一歩踏み出す勇気がないという若者も多そうである。または、異性との交際にまで持ち込むまでの複雑なプロセスが面倒だと思い、避けてしまうのではなかろうか。
それにしても、こんなにも多くの若者が恋愛に対して消極的になったり、交際を拒否したりするのは、若者たちがメンタルに何かの問題を抱えているからとしか思えない。そのメンタルの問題とは、おそらく自己肯定感が育っていないということではないかと見られる。絶対的な自尊感情が育っていないと、何事にも臆病になって新たなことにチャレンジできなくなってしまうのである。恋愛というのは、自分のすべてを相手にさらけ出すということでもある。自分の恥ずかしいことや嫌らしいことさえも、相手に見せることになるのである。
絶対的な自己肯定感を持つことが出来れば、あるがままの自分を愛せるし、相手をあるがままにまるごと愛することが可能になる。自分の恥ずかしいマイナスの自己や醜い自己さえも愛することが出来なければ、相手にマイナスの自己を見せることが出来ない。交際すれば、どうしたって自分のマイナスの自己を知られることになる。または、相手のマイナスの自己さえも受け容れて許すことが必要になる。そういう覚悟がなければ、交際や恋愛は出来ないのである。一旦お付き合いしたとしても、長続きはしない。
さて、絶対的な自己肯定感を持てないから、恋愛や交際が出来ないということであるが、どうしてそんな状況に追い込まれてしまったのであろうか。間違いなく言えることは、親との関係性にその根本的原因があると言える。親が、乳幼児期の子どもをまるごとあるがままに、これでもかというくらいに愛し続けないと、絶対的な自己肯定感は確立できない。どちらかというと、若者たちの親たちは子どもを立派に育てようと思い過ぎて、幼児期の時から我が子に強過ぎる干渉と介入を繰り返してしまった。それ故に、現代の若者たちは不安型愛着スタイル(アタッチメント欠損)を抱えてしまったのである。だから、恋愛や交際に踏み切れなくなってしまったのだ。