新型コロナは風邪と同じだと言うが

 新型コロナ感染症はその勢いがなかなか止まらない。オミクロン株は感染力が強いものの重症化することは少ないと言われていた。ところがここに来て重症者が増加の一途を辿り、死亡者も急増しているのである。そんな状況にあるにも関わらず、SNSの世界では新型コロナ感染症なんて風邪のようなものであり、インフルエンザよりも怖くないという誤った情報が発信され続けている。誤った情報を発信している人々は、会合の場でマスクもしないし、ワクチン接種を拒んでいる。実に困った人々である。

 新型コロナなんて怖くないという情報を発信している人々の中には、現役の医師もいるので信じてしまう人も少なくない。しかし、こういう間違った情報を発信しているドクターは、臨床をしていない医師であるし、新型コロナ感染症の治療をしていない医師なのである。つまり、新型コロナ感染症を受け入れている医療機関で働いているドクターではないという事実である。また間違った情報を発信している看護師もいるが、新型コロナ感染症の治療をしている病院で働いているナースではないということに注目すべきだ。

 新型コロナ感染症の入院治療をしている病院で働いている医療従事者の方々は、新型コロナ感染症が風邪と同じだなんていうことは、絶対に言わない。ましてや、重症者を治療していて現場において、治ることなく最期を看取っている悲惨な日常を過ごしている医療従事者は、風邪と同じだと嘯いている人々をけっして許せない筈である。風邪によって亡くなる患者さんは皆無に等しい。インフルエンザによる国内の致死率は0.02~0.03%である。一方、新型コロナ感染症による国内の致死率は1.4%に昇る。約70倍の致死率だ。

 客観的な科学的データをまともに考察すれば、新型コロナ感染症の恐ろしさは一目瞭然である。とんでもない間違った情報を信じる人々というのは、物事を客観的に見ることが出来ない。こういう人達は、元々恣意的なバイアスをかけて物事を判断する傾向がある。新型コロナ感染症で亡くなる人は実際に居なくて、基礎疾患の悪化で死亡したのであり、直接死因ではないと主張している人がいる。そういうケースもあるが、インフルエンザで亡くなる人だって、合併症で亡くなる例も多い。まったく同じことが言えるのである。

 ワクチンをしないのも自由だし、マスクをかけるのを拒否するのも法的には問題ない。誰にも会わないし、買い物や仕事にも行かず、他人に感染させる恐れが100%ないというのなら、それでもまったく問題ない。しかし、この社会で生きて行くうえで、誰とも会わないなんて出来ないのだから、自分が感染して他人に移す可能性がゼロではない。感染しても軽症とか無症状ということもあり、風邪と同じだから心配ないと感染予防策も取らず、知らず知らずのうちに高齢者に感染させる可能性もあるのだ。

 新型コロナ感染症の情報をSNSなどで流すことは、自分の使命であり世の中の不正を明らかにすることで、自分は正義の使者なんだと信じて疑わない人がいる。自分が騙されていることを知らないし、言わば洗脳されてしまっているのである。洗脳されてしまっている人たちというのは、極端な認知的バイアスがかかっているから、正しい情報を正しく読み取れないでいる。間違った情報でさえ正しいと判断してしまうのである。逆に正しい情報を排除してしまう。ワクチンを接種すると死亡してしまうと信じている。

 ワクチン接種後の死亡例は、約1300人と報告されているが、それはワクチンが直接原因ではなくて自分の病気によるものである。例え死亡原因がワクチンであったとしても、新型コロナの死亡者数に比べると約その0.6%でしかない。ワクチン接種をしたほうが、致死率の低下をもたらすのは間違いない。新型コロナ感染症は、風邪とはまったく違うしインフルエンザより数十倍も致死率が高くて危険なのである。ましてや感染後の後遺症で、4人に1人が苦しんでいる。新型コロナ感染症が風邪と同じだという情報は、完全に間違っている。こういう間違った情報を流すのは、殺人ほう助罪と同じだと心得てほしい。

新型コロナ感染症の後遺症が癒えるには

 新型コロナ感染症の第5派は、どういう訳か解らないが収まりつつある。今後、第6派が起きるのではないかと予想されている。ワクチン接種が進んだお陰なのか、感染者が激減しているし、重症化する人が著しく少なくなっている。もしかすると、このまま新型コロナ感染症は収束するのではないかと、楽観的な見方をしている人も少なくない。その一方で、新型コロナ感染症の後遺症で苦しんでいる人が大勢いるという。なかなか治らなくて、長期間の休職、または退職をせざるを得ない人も少なくないと言われている。

 新型コロナ感染症は風邪のようなもので、そんなに恐れることはないと嘯く人は少なくない。また、インフルエンザよりも怖くないし死亡率も変わらないと主張する人も多いらしい。さらには、ワクチンを打つと逆に感染が収まらないし、変異株ウィルスがどんどん生まれてきて、より深刻になるから接種しないほうが良いと信じ込み、SNSで発信している人も少なくない。しかし、それは新型コロナ感染症の患者を受け入れている病院の実態を知らないからである。後遺症で苦しんでいる人の辛さを知らないから、無責任に言えるのである。

 新型コロナ感染症の入院患者を受け入れる病院で働いている医師や看護師は、その悲惨な症状を見ているからその恐ろしさを実感している。特に、重症患者を治療している看護師や医師は、どうやっても治癒することなく目の前で亡くなっている患者を見て、今までの感染症とはまったく違う恐ろしさを味わっている。だから、新型コロナ感染症が風邪と同じだとSNSで発信している人間の軽薄さと無責任さを許せないに違いない。ましてや、新型コロナ感染症の後遺症を治療している医師は、この感染症の恐ろしさを誰よりも知っている。

 新型コロナ感染症の後遺症を専門的に治療しているクリニックは、数多くないということもあるが、来年の4月まで予約が詰まっているという。後遺症で苦しむ患者さんがそれだけ多くいるという証しでもある。風邪でこんな深刻な後遺症を起こす人がいるであろうか。インフルエンザの後遺症で半年から1年も苦しむ人がいるとは思えない。深刻な後遺症により、仕事が出来る状況まで戻れない人も少なくない。息苦しさ、倦怠感、不定愁訴、頭痛、身体の痛み、無気力、不安感、凍り付き、ひきこもり等の後遺症で悩んでいる人が多い。

 新型コロナの感染症は、背側迷走神経の暴走によって起きるというブログ記事を以前書いている。後遺症は感染者すべてに起きる訳ではない。安全と絆である「安全基地」を持たない人、または愛着障害を抱えている人が、新型コロナ感染症に罹患した後に後遺症を起こしやすい。それは、不安感や恐怖感を持ちやすいことから、背側迷走神経が暴走しやすいのだと思われる。それでは、新型コロナ感染症の後遺症を、どうしたら治せるのであろう。抗不安薬を投与するとか、地道にリハビリをするしか方法がないのであろうか。

 新型コロナ感染症の後遺症に苦しんでいる人に朗報がある。背側迷走神経が活性化してしまい、自律神経が異常を起こしているケースに対して、有効な方法が見つかったのである。それも実に簡単な方法で、しかもセルフケアーなので繰り返し何度も出来るのだ。背側迷走神経の活性化は、一度だけでなく何度も繰り返すことも少なくない。一度良くなっても、ぶり返すことも多い。したがって、何時でも繰り返せるケアーが必要なのだ。そして、そのケアーを何度でも繰り返せるという安心感が、背側迷走神経の活性化を鎮めて、腹側迷走神経が活性化させてコロナの後遺症が良くなるに違いない。

 背側迷走神経の活性化を抑えて、社会的交流を実現する腹側迷走神経が働き、新型コロナ感染症の後遺症を克服するには、ソマティック(身体的)セラピーが有効である。この方法を開発したのは、スタンレー・ローゼンバーグというボディ・セラピストである。ポージェス博士が提唱したポリヴェーガル理論を活用したソマティツクセラピーを開発したのである。セルフケアーとしての基本的エクササイズとそれを発展させたサラマンダー・エクササイズを利用する方法である。さらに、神経筋膜リリース・テクニックも利用すると、もっと効果がある。詳しく知りたい方には「からだのためのポリヴェーガル理論」春秋社刊を読むことを勧めたい。

コロナワクチン接種で女性に副反応が多い訳

 新型コロナ感染症の切り札になるワクチン接種が始まった。まだ医療従事者に対する接種だが、来月からは65歳以上の高齢者への接種が始まる予定だ。それで、問題になっているのが接種後の副反応である。国内では他国よりも高率の副反応が起きている。しかも、副反応が起きた人のうち、殆どが女性だと言うのである。どうして、男性には副反応が起きず女性に起きてしまうのであろうか。女性ホルモンが多いせいではないかとか、女性特有の免疫システムが影響しているのではという仮説があるが、明確なエビデンスは存在しない。

 

 ある医療関係者は、女性特有のメンタル性が影響を及ぼしているのではないかと主張するものの、その明確なシステムは説明できない。確かに、精神的な不安や恐怖感が影響しているのではというのは想像できるものの、それがどのように免疫系に働いているのかを明らかにできていないみたいである。ワクチンの副反応は迷走神経の過剰反応ではないかと見ている医師もいるが、それでは何故その反応が女性にだけ多く起きるのかは、説明でき得ていない。いずれにしても、免疫系の異常反応だとは言えそうだ。

 

 あくまでも仮説ではあるが、女性にだけ高率で副反応が起きるのは、メンタル面による影響と免疫系が暴走することによるものだというのは間違いなさそうである。免疫系の異常で起きる膠原病の発症が、女性に圧倒的に多いと言う点からも明らかだろう。コロナ感染による重症化と死亡例は男性のほうが多いのだが、後遺症が深刻になるのはどうやら女性のほうがかなり多いらしい。免疫の異常や暴走が起きるのが女性に多いのは、女性特有の精神的な敏感さによるのではなかろうか。迷走神経の過剰反応が多いのも女性に多いらしい。

 

 それでは、どのような女性にワクチン接種時の副反応が起きるのかと言うと、HSP(ハイリィセンシティブパーソン)の傾向が強い人ではないかと思われる。つまり、神経学的過敏症、そして心理社会学的過敏症の女性に副反応が起きやすいのではないだろうか。いつも何かしら得体の知れない不安や恐怖感を抱えながら生きていて、生きづらさを覚えながら生活を送っている人である。ワクチンの副反応が起きるのではないかという怖れを強く抱いていながらワクチン接種を受けるものだから、迷走神経の暴走が起きてしまう気がする。

 

 迷走神経というのは、簡単に言うと自律神経の副交感神経を支配する神経である。迷走神経というのは、大きく分けると延髄から背中側へと分かれていく背側迷走神経と、腹側へと別れていく背側迷走神経がある。腹側迷走神経というのは、安息や休眠する時など穏やかな気持ちになれる副交感神経であり、免疫を高めてくれるしウィルスへの抵抗力を向上させてくれる有難い存在だ。ところが同じ迷走神経でも、背側迷走神経というのは絶体絶命のピンチの時に働く副交感神経で、心身を守るために自らの身体と心をシャットダウン(遮断)させてしまう働きをしてしまう厄介者である。

 

 どういうことかと言うと、背側迷走神経は自分の心身が破綻しそうな時に働いて、破綻を防ぐ為に免疫の暴走を起こすという意味である。例えば、重症の感染症を起こして命を脅かすような事態に陥った際に、免疫の過剰反応を起こすのである。新型コロナウィルスも、そんな生命に関わるような事態を引き起こすウィルスだという認識をするのではないかと思われる。そして、HSPの傾向が強い女性は、元々不安が強いために、背側迷走神経のスイッチが入りやすいのだと思われる。だからワクチン接種の副反応が起きやすいのだろう。

 

 自分が不安や恐怖感を抱きやすい傾向が強いと認識している女性は、ワクチン接種の時に留意が必要であろう。自分がHSPの傾向があると思う女性は、特に注意が求められる。副反応を抑えるためには、ワクチンの副反応は不安定な気持ちがあるから起きるのであり、自分の精神が安定していれば起きないのだと自分を信じ込ませるとよい。前の日から、「大丈夫、大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせるとよいだろう。PMDDやPMSの症状がある女性は、月経前10日前ぐらいの期間はワックス接種を控えたほうが良いと思われる。オキシトシンホルモンが出やすいような行動をするのも効果がある筈だ。

Covid19の後遺症が起きる訳

 新型コロナ感染症がまだ収まらず、重症者や累計死者数は増え続けているし、医療体制のひっ迫は改善していない。ようやく医療関係者へのワクチン接種が始まり、来月からは65歳以上の高齢者への接種も開始される。ただ、ワクチンの十分な数量確保も不透明であり、接種を望む国民すべてへの接種は、ワクチン接種が順調に進んだとしても、次年度内に完了する見込みはないという。とすれば、新型コロナ感染症が終息するのは、当分見込めないと言うことだ。となれば、まだ新型コロナ感染症予防策は緩められないだろう。

 

 新型コロナ感染症は、高齢者や基礎疾患がある人ほど重症化するし、健康で若い人は感染しても軽症か無症状で済んでしまう。ましてや、ネットの情報おいては、新型コロナ感染症なんて風邪みたいなものだから、恐れるに足らない病気だと喧伝されている。こういう情報を信じてしまった若者は、感染予防に真剣に向き合おうとしないし、どうせたいしたことないだろうと甘く見ている。ところが、新型コロナ感染症の恐ろしい後遺症の実態が明らかになりつつある。若者だろうと軽症だろうと関係なく、誰にも後遺症が起きてしまうのだ。

 

 新型コロナ感染症そのものも恐ろしいが、後遺症も深刻である。感染による症状が無症状または軽症であっても、後遺症が起きてしまう。本人が感染したことを自覚しなくても、数か月後に後遺症が出たことから陽性になっていたことを認識することもあるらしい。息切れ、倦怠感、易疲労性、脱毛、筋肉痛、味覚障害などの後遺症が起きると言う。さらには、メンタルもやられてしまうことも多い。全身の激痛に悩まされることもある。そして、これらの後遺症が長引いてしまい、ひきこもりや寝たきりの状態になり、職場を失う人も多いのである。

 

 新型コロナ感染症の実態がまだ解らないこともあるが、それ以上に解らないのが後遺症のことである。どうして後遺症が起きてしまうのか、明確に説明できる人は殆どいない。今までの感染症の中で、こんなにも深刻な後遺症が起きるケースはないのだから当然である。後遺症が起きるメカニズムは、今までの医学理論では説明がつかない。ひとつの仮説ではあるが、おそらくは免疫系の異常(暴走)ではないかとみられる。その免疫系等のうちでも、迷走神経が過剰反応を起こすのであろうと想像できる。

 

 免疫はご存知のように、自律神経の交感神経と副交感神経がバランスを取り合い働いている。今までの医学理論では、副交感神経は単独の迷走神経が支配していると思われてきた。ところが最新の医学理論である『ポリヴェーガル理論』によれば、副交感神経は複数の迷走神経によって支配されているということが判明したのである。ひとつは腹側迷走神経である。これは今まで明らかになっている副交感神経の働きをする。さらに、背側迷走神経という緊急事態に陥った際に働く副交感神経があることが解ったのである。新型コロナ感染症による後遺症は、この背側迷走神経が働いてしまうのではなかろうか。

 

 この背側迷走神経は、人間が絶体絶命の危機に陥った時に、自分の心身を守るためにスイッチが入り働く。心身の破綻を防ぐ為に、心身の一時的なシャットダウンが起きてしまう。ところが、生命を脅かすような重大な感染症を起こした場合にも、背側迷走神経が働くのであるまいか。以前から、新しく獲得した免疫システムが重症感染症に罹患した後に破綻してしまい、古い免疫システムに切り替わるということは解明されていた。免疫異常が起きてしまい、膠原病などを発症するのはこの免疫システムの異常によるものだ。

 

 背側迷走神経のスイッチが一旦入ってしまうと、人間の免疫ネットワークシステムは暴走してしまう。まさしく、新型コロナ感染症における後遺症は、この背側迷走神経による仕業ではなかろうか。背側迷走神経が暴走し、心身の遮断(シャットダウン)が起きてしまい、身体の症状だけでなく、メンタルの不具合が起きていると思われる。厄介なことに、一旦背側迷走神経のスイッチが入り免疫の暴走が起きてしまうと、現代の最新医学をもってしても止めることは非常に難しいから、完治するのは困難だ。だからこそ、新型コロナ感染症に罹患するのを、絶対に防がなければならない。若者であっても、不要不急の外出と三密の飲食を控えよう。

新型コロナ感染症の後遺症が恐ろしい

新型コロナウィルス感染症が止まらない。コロナ感染症は、風邪みたいなものであって、インフルエンザよりも怖くないと主張する一部の専門家もいる。確かに日本での感染症は重篤になる人の割合も少ないし、死亡率も世界からみると極めて低い。若年層においては、重症化することがないからと、平気で夜の街関連のお店に行く人も多い。ところが、ここに来てこのコロナ感染症の怖い後遺症についての報告が相次いでされている。重い後遺症で長く苦しんでいる若者が少なくないし、社会復帰できない人もかなり多くいるという。

 

新型コロナウィルス感染症の実態については、まだまだ解らない部分が多い。特効薬も見つかっていないし、ワクチンだって開発が極めて難しいし、実用化には程遠い。そんな中で、感染して治癒した人の中から、後遺症で苦しんでいる人たちの声が、ようやくマスコミで取り上げられてきている。日本の厚労省もようやく重い腰を上げ初め、来月から後遺症の実態調査に着手するというニュースが流れた。疲労感、息苦しさ、咳、頭痛、胸部痛、味覚障害、嗅覚障害、食不振、筋肉痛などの深刻な症状が長く残存すると報告されている。

 

ではどのくらいの感染後の後遺症が残るのかというと、残念ながら日本ではまだ統計調査実績がない。イタリアでの調査によると、まったく後遺症が残らないと回答した人は、わずか12.6%に過ぎないという調査結果がある。つまり、87%もの割合で後遺症があるという恐ろしい調査結果が出ているのである。新型コロナ感染症は単なる風邪やインフルエンザみたいなものだと強弁する専門家がいるが、風邪やインフルエンザでこれだけの後遺症が残るケースはあり得ない。つまり、この新型コロナ感染症は、後遺症という点で極めて危険な疾病なのである。

 

それでは何故、この新型コロナウィルス感染症の後遺症がこんなにも多いのかというと、いろんな原因が考えられている。新型コロナウィルスが、治った後も体内に残存していて、それが後遺症を引き起こしていると考えられている。また、この重症感染症に対応して免疫システムが暴走した為に、免疫システムが変化してしまったと考える専門家もいる。ウィルスが残存しているという説は考えにくいし、免疫系の暴走説が正しいのではないかとみられる。副交感神経系(免疫系)の暴走が影響していると考えられる。

 

自律神経というのは、交感神経と副交感神経の二つから出来ていて、このバランスが崩れることで病気になると考えられている。交感神経が活性化し過ぎて、副交感神経が後退してしまい、免疫力が落ちるというように以前は考えられていた。ところが、そのように単純ではないということが判明した。免疫学で著名な安保徹先生は、副交感神経のうち、獲得した新免疫システムが働いているうちは、免疫は正常に働くと主張されている。ところが重症の感染症を起こすと、新免疫システムは破綻して、古い免疫システムが働いてしまうらしい。これが、免疫の暴走と考えられている。自己免疫疾患の発症も同様である。

 

最新の医学理論が、この免疫システムの証明を後押ししてくれている。それは、ポリヴェーガル理論である。副交感神経の約8割は、迷走神経である。この迷走神経には、背側迷走神経と腹側迷走神経がある。獲得した新免疫システムというのは、腹側迷走神経がその役割を担っている。暴走してしまう旧免疫システムは、背側迷走神経が関係している。命の危険に関わるような重症感染症に陥ると、腹側迷走神経の働きを抑えて、背側迷走神経が暴走してしまい、免疫システムが正常に働かくなってしまうと考えられている。

 

故に大事なのは、新型コロナ感染症に感染しないことである。もし感染したとしても、重症化しないようにすることが大切である。その際に、感染しやすい人かしにくい人、または重症化する人かしない人かは、メンタル面が大きく影響しているのではないだろうか。病は気からというように、元々病気になりやすいかどうかも、メンタル面の影響が大きい。それは、その人の物事に対する認知や考え方が影響を及ぼしている。いつもくよくよしたり自分を責めたりする人、自分を犠牲者とか被害者にしたがる傾向の人は、コロナに感染しやすいし重症化して後遺症になりやすい。つまり、コロナを寄せ付けない為には、自尊感情を高め、自己否定しない生き方をしなくてはならないということだ。

 

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コロナが重症化するのは免疫の暴走

新型コロナウィルスに感染して、重症肺炎を起こして重篤な症状を起こす人がいる。一方では感染しても、軽症で済む人や無症状のまま抗体を持つ人がいる。その違いはどうして起きるかというと、どうやら免疫の暴走が原因らしい。免疫システムが誤作動を起こし、重症肺炎が起きてしまうことが判明した。コロナウィルスを打ち負かそうと免疫が過剰に働いて、免疫がまるで暴走したかのように働き、正常な細胞にまで攻撃して、肺の炎症が広範囲に起きて重篤化するというのだ。免疫システムの異常が起きるというのである。

免疫の働きを高める「インターロイキン(IL)6」という特殊なタンパク質が体内で過剰に分泌されると、免疫細胞はウィルスに感染した細胞だけでなく、正常な細胞も攻撃してしまうという。感染が起きた初期では、このIL6というタンパク質が分泌されて、ウィルスに感染した細胞を叩くことで回復に向かう。ところが、感染が進んでしまい重症化すると、このIL6が回復するのを逆に邪魔してしまうらしい。これが免疫を暴走させるらしい。軽症時と重症時とで、免疫システムが切り替わって、まるで逆の働きをするというのだ。

この免疫システムの誤作動というか、重症感染症をきっかけにして免疫が切り替わるということを、免疫の大家として著名な安保徹先生も主張されていた。副交感神経における新しく獲得した免疫システムが、生命を脅かすような重症感染症によって退化してしまい、抑え込んでいた古い免疫システムが働いてしまうと。実は米国の神経学の権威であるポージェス博士も、ポリヴェーガル理論で同じようなことを提唱している。生命を脅かすような精神的ショック(トラウマ化)により、古い免疫システムが働いてしまうのだと。

これはあくまでも仮説の話であり自分の私見なので、エビデンスは取れていないと断ったうえで提唱してみる。コロナ感染によって重症化してしまう人は、そもそも免疫システムが脆弱であり、精神的ショックに極めて弱い人ではなのではないか。反対に感染しても症状がないか軽症で済む人は、新しい免疫システムが警固だから、誤作動を起こさないのではないかと思うのである。だから、軽症で済む人は普段から日常的な運動をするし、健康的な食生活を心がけ、酒やタバコに依存することなく、ストレス解消も上手にできる人であろう。

免疫の暴走を起こしやすい人と起こしにくい人がいて、それが生死の分かれ目になっているように思えて仕方ない。心疾患、呼吸器疾患、糖尿病、高血圧、喫煙者、肥満者などが重症化しやすいし、男性のほうが重症化しやすいのも特徴である。喫煙者と慢性呼吸器疾患を持つ割合の高いのが男性であることも影響していると思われる。もちろん巷で言われているように、持病がある高齢者のコロナによる致死率は極めて高い。特に、寝たきりや要介護者、QOLが著しく低下した入院患者は重症化しやすい。元々、免疫力に問題がある生活なのだから当然だと言えよう。

コロナ感染によって新免疫システムが破綻して、旧免疫システムに切り替わり、IL6が正常な細胞にまで攻撃してしまう免疫の暴走が起きるのは、食生活などの生活習慣に問題があるからだけではない。それよりも、精神状態に問題があると思われる。食習慣などに問題があるのも、実は不安定な精神状態に原因があると言える。さらに、ギャンブル依存症やニコチン・アルコール依存症になってしまうのは、そもそもメンタルに問題があるからと言えよう。つまり不安定な精神になるのは、その人の価値観や哲学に問題があると思われる。

それでは精神的に問題があり、食習慣や生活習慣が乱れ免疫系に異常が出るのは、どんな価値観かというとこういうものだ。自分の損得や利害を優先し、欲望に流されてしまうような利己的で自己中の価値観である。言い換えると自分本位で、個別最適を目指す価値観であろう。一方、精神的に安定して食習慣や生活習慣が乱れることなく、免疫系が暴走しないのは、常に個別最適よりも全体最適を目指す価値観を持つ人である。人々の幸福や豊かさを心から願い行動するような価値観、他人の幸福に貢献することを喜びとするような哲学を持つ人だ。コロナ感染は、高い価値観を持つ人だけをノアの箱舟に乗船させる仕組みかもしれない。

サプリや漢方薬でも長期飲用は避けたい

サプリメントや栄養補助食品が巷では大人気である。医薬品は絶対に飲まない主義の人たちでも、あまり抵抗感がなくてサプリや栄養補助食品だけは飲む人が多い。また、西洋薬品は飲まないが漢方薬なら副作用も少ないからと、安心して飲んでいる人も少なくない。さらに、ホメオパシーやバッチフラワーなどで用いられるレメディなら安心安全だとして、飲んでいる女性も多く存在する。その場合、気を付けなければならないことがある。これらの薬もまた、西洋薬と同じように長期連用することは、副作用等の危険性があるという点である。

サプリや栄養補助食品、漢方薬、レメディなどは、副作用がない、または極めて少ないと思われている。しかし、そんなことはけっしてない。漢方薬による深刻な副作用で苦しんでいる人だって少なくない。または、サプリや栄養補助食品を長期連用した副反応によって、人間本来の機能を低下させてしまった人も多い。レメディに依存し過ぎてしまい、毎日のように使用しないと不安になって過ごせないような人もいる。そもそも人間または人体というのは、完全な自己完結のシステムである。外部から介入や干渉をしてはならないのである。

人体というシステムは、本来は自然に添った生き方や生活習慣をしていれば、健康で長生きする。病院に行く必要もないし、薬も飲む必要もない。勿論、正しい食生活をしていれば、サプリや栄養補助食品だって摂取しなくてもよい筈だ。ところが、日本人の食習慣も含めた生活習慣全体が乱れている。運動不足もあるし、ストレス解消もあまり上手でない。生活環境も悪化しているし、農薬や化学肥料を多用した農産物が多い。食品添加物が大量に含まれている食品を食べているのだから、健康を損なうのも当然なのかもしれない。

正しい食生活や生活習慣をしていれば病気にはならないのに、間違った生活習慣という身体に対する悪い介入をやり続けていると、人間は病気になる。その際に、臨時的に薬やサプリなどを使用して、緊急避難的に健康を取り戻すのは必要なことであろう。しかし、それはあくまでも臨時的な措置であり、長期間に渡り投薬を受けたりサプリを長期飲用したりするのは避けたいものである。それよりも、食生活を含めた生活習慣を見直したほうがLOHASだと言える。適切な運動と休養を取り入れ、そしてストレス解消をすれば、健康を保てる。

ただし、このストレス解消という点が難しそうである。現代社会は高ストレス社会である。家庭でも職場でも対人関係ストレスが多大である。しかも、ストレスが積み重なってしまい、もはやトラウマ化しているのである。ストレスからトラウマ化してしまうと、いくら医学的アプローチをしても治癒することは期待できない。漢方薬やサプリメントを使用しても、トラウマは解決できない。さらにアロマエッセンスやレメディを使用しても、トラウマを乗り越えるのは極めて難しい。トラウマによって迷走神経が暴走して、シャットダウンを起こしているのだから、どんな医薬品やサプリを飲んでも治ることはないのである。

原因不明の疼痛やしびれに対して、サプリメントや漢方薬を長期間に渡り飲用している人がいる。これは、とても危険なことだと思われる。これも迷走神経のシャットダウンで起きている症状なので、どんなに飲み続けても変わることはないし、副作用や副反応が益々強くなってしまうだけである。また、臨時的に飲んで一時的に症状が改善したとしても、元のシャットダウンが解けていないので、すぐに戻ってしまうのである。さらに、整体やマッサージに行っても、一時的に症状は改善したとしても、すぐに元に戻ってしまう。

深刻なメンタル疾患などに対して、いろんなサプリや漢方薬を長期間飲んでいるケースが多く見られる。一時的に多少なりとも症状が緩和されることがあっても、効果は極めて限定的だ。ましてや完治しないのだから、漫然と飲んでしまうことが多い。人間は、自己免疫力や自己治癒力が生まれつき備わっているのだから、漫然と薬を飲んでいると免疫力や治癒力が阻害されてしまうのは言うまでもない。そして、迷走神経のシャットダウンによる症状なのだから、投薬によって完治することはありえない。どんな薬であっても、長期投与は避けたいものである。

病院という環境が治癒を阻害する

病気やケガをしたら、ほとんどの人は病院や診療所に行って診察と治療をしてもらうだろう。自分で治すというのは、ごく軽い風邪や傷ならあり得るが、まずは医療機関に行くに違いない。そして、傷病が重い場合は入院治療となる。その際に、入院した部屋には鍵がかからないし、個室であってもプライバシーを守る術がないというのはご存じだろう。看護師や医師が入室しようとするのを拒むことは不可能である。そして、誰かが無理に入室しようとしても防ぐ手立てはない。つまり、病室というのは防犯上、とても脆弱なのである。

入院して着用が義務付けられる病衣であるが、あれは中身が見えてしまうのではないかと思われる素材と作られ方である。また、病室で聞こえてくるあの雑音には、神経が疲れてくる。他の患者さんのうめき声や話し声、医療関係者の騒々しく走り回る音、エアコンなどの機械音、ストレッチャーや車いすの車輪の回転音、これらの音が24時間聞こえてくるのである。大部屋なんて最悪である。カーテンひとつ隔てた空間で、裸の状態にされることもしばしばある。医療関係者は患者の羞恥心に対する配慮などあまりしない。

さらに、入院すると大量の確約書や承諾書にサインをさせられる。検査や手術の際にも、承諾書が用意される。あたかも、失敗することもあるのが当然だと言わんばかりの事前対応である。これでは患者は安心するどころか、益々不安をかき立てられるに違いない。ホテルと病院を同列に扱うことは出来ないが、ホテルよりも高い入院費をもらいながら、事前のオリエンテーションはいかにもお粗末だ。トイレや洗面所、各種検査や処置室の場所、ナースステーションとナースコールの扱い方、電話や見舞者への対応について詳しく案内されない。

そして、一番我慢がならないのは、医師や看護師の態度である。医師や看護師との信頼関係を築けなければ、安心して治療を任せることなんてできやしない。まずは信頼関係を築くためには、笑顔での十分なコミュニケーションが必要であろう。ところが、病名、病状や治療方針についての紙ベースでの伝達はあるが、言葉で丁寧に患者が安心するように、十分な説明などしてくれない。特に医師は、患者の目を見ずに、PCの画面を見て入力をしながら話している。患者がどんな表情やリアクションをするかなんて、医師には関係ないらしい。

つまり、与えられた入院環境はまったく安心できなくて、不安になる要素ばかりがいっぱい詰まった環境なのである。心が休まる環境ではないのは確かである。これでは、いつも不安感や恐怖感を持ちながら治療を受け続けなければならないのである。しかも、医療関係者と患者との信頼関係は築けないばかりか、不信感ばかりが募るだけである。そもそも、病気になるのは迷走神経がニューロセプションを起こしてしまい、身体が自己防衛反応を引き起こしたからなのである。ニューロセプションという神経による勝手な身体反応は、安全と絆がないばかりに起きた反応だ。安全と絆がない病院環境で良くなる訳がないのだ。

ポリヴェーガル理論という多重迷走神経を基盤にした神経生理学の考え方によると、ほとんどの病気(精神的な疾病も含む)は、古い迷走神経がニューロセプションの働きによって暴走し、引き起こされたものであると言える。その際に、ニューロセプションを起こすかどうかは、安全と絆が確保されているかどうかにかかっているのである。生命が危険にさらされるような緊急事態に陥っても、安全と絆がしっかりと担保されていれば、ニューロセプションは起こらない。ところが、安全と絆がなくていつも不安や恐怖を抱えている人は、容易にニューロセプションが起きて、心身のシャットダウン化を来し病気になってしまう。

一度でも心身にシャットダウン化が起きてしまうと、この状態から抜け出すのは至難の業である。唯一このシャットダウンから抜け出す方法は、絶対的な安全と豊かで信頼できる絆が確保できた時だけである。勿論、一時的に投薬治療や手術・セラピーが必要なのは言うまでもない。安全と絆が確保できなければ、どんな医学的アプローチも無駄になる。だから、病院環境は先ずもって安全であり患者との絆づくりが大事なのである。ここの部分を大事にせず、いくら高度な医療を提供したとしても、病気は完治しない。一時的に寛解したとしても、必ずと言っていいほど再発するのである。病院は安全と絆が確保される環境づくりに邁進することが求められると言える。

ポリヴェーガル理論が医学の常識変える

ポリヴェーガル理論という神経学における画期的な大発見が、今までの医学的な常識を大転換しようとしている。この多重迷走神経理論と日本語訳されている理論は、1994年に米国で発表されて、医学界において圧倒的に支持を受けているが、日本の医学界ではあまり知られていない。既に一部の大学の研究室では認識されているものの、文科省や厚労省は敢えて認めたくないから、無視をしているのかもしれない。なにしろ、今までの医学界の常識を覆す大発見だし、医学的アプローチでは病気が治らないことを証明しているのだから、医療界が認めたくないのも当然だ。

ポリヴェーガル理論とは、米国のイリノイ大学名誉教授のステファン・W・ポージェス博士が提唱した理論である。この世紀的な大発見によって、精神医学界の変革は勿論のこと、医療のイノベーションが起きるかもしれないのである。今までは難治性の精神疾患とされてきたPTSDやパニック障害などが、医学的アプローチではなくても完治するし、自閉症の子どもたちの症状が見事に改善したという実績を上げている。この理論がいろんな症状に応用されたら、糖尿病・高血圧症という生活習慣病も投薬せずに完治するかもしれないのである。

ポリヴェーガル理論の概略について述べたい。今までの医学的常識では、自律神経というのは交感神経と副交感神経があって、それぞれが調整し合いバランスを取って、人体の健康を保っていると考えられてきた。ところが、副交感神経には二つの迷走神経が存在して、まったく別の働きをしていることが判明したのである。ひとつは今まで考えられてきた、腹側迷走神経の働きである健康・調整・交流を司っている神経系統である。ところが、これ以外にある背側迷走神経は、これとはまったく違う驚きの働きをしていることが解ったのである。

交感神経は、生命が危険な状況に陥った際に、闘争するかそれとも逃走するのかを選択する神経である。ところが、闘争も逃走も出来ない状況に追い込まれた動物は、背側迷走神経のスイッチを入れる。すると、死んだように気絶または失神するのである。死んだふりをするとか狸寝入りとか言われている同じ状態である。死んだように気絶した動物を、肉食動物は食べない。死んでいる動物の肉は腐敗しているかもしれないので食べないのだ。何故、動物は気絶するのかというと、失神すると助かるというDNAの記憶がそうさせるのか、それとも気絶していると痛みを感じないから、そうするのかもしれない。

背側迷走神経のスイッチが入って気絶・失神した小動物は、危険な状態が過ぎると体をぶるぶるっと震わせて目覚め、何事もなかったように走り去る。つまり、背側迷走神経のスイッチを入れたり切ったりするのである。ところが人間は、それが出来ない生き物なのである。勿論、危険を察知しての気絶や失神からは抜け出せるが、過大なストレスや生命の危険を感じるような状態に置かれると、自分を守るためにニューロセプションが起きて、背側迷走神経が働き、心身の不動化(シャットダウン)が起きてしまう。そして、そのニューロセプションは自分の意思では止められない。心身の遮断が長い期間続いてしまうのだ。

自分の命の危険を感じて、心身の遮断状態に陥ってしまうと、PTSDやパニック障害などを引き起こす。または、現実と想像の世界が混濁したり意識の解離が起きたりする。妄想性障害、強迫性障害、パーソナリティ障害、統合失調症、うつ病、双極性障害などの症状が起きることもある。神経過敏による身体症状として、三叉神経麻痺、眼瞼下垂、顎関節症、聴覚過敏、しびれ、痛み、めまい、難聴などの症状が起きてしまう。不登校やひきこもりが長い期間に渡り続くのは、この心身のシャットダウンによる影響である。

それでは、どんな人にでもこれらの症状が起きるのかというと、けっしてそうではない。愛着障害が根底にあると、この心身の遮断が起きやすいと言われている。つまり、絶対的に安全な場所や環境があって逃げる処があり、良好で豊かな絆(関係性)があれば、シャットダウンは起きないのである。誰も助けてくれないし守ってもくれなくて、孤独感にさいなまれていると、心身の遮断が起きてしまうのである。一旦スイッチが入ってしまった背側迷走神経が回復したり修復したりすることはないかというと、けっしてそうではない。絶対的な安全と絆が確保されて、愛着アプローチが適切に受けることが出来たら遮断から完治できる。

※この難解で理解しにくいポリヴェーガル理論を、イスキアの郷しらかわでは懇切丁寧に分かりやすく説明します。メンタル疾患に苦しんでいる方やひきこもりの方には、心身のシャットダウンから抜け出す方法をお伝えしています。音楽療法、簡単で長続きする運動療法、ボディーワーク、簡単で優しいヨーガ、等を実際に実施して学びます。

介護されない老後を目指す

介護施設において、短期間で多くの利用者が死傷する事件が起きている。それも、特定の男性介護職員が関わっているのではないかという疑惑に発展している。それにしても、介護施設では高齢者虐待や窃盗事件が多発するようになっている。介護施設で働く職員が過重労働の割に待遇も悪く、評価されないという特有の事情もあると言われているが、明らかになっていない虐待や殺人事件も他にもあるのではないかと想像されている。日本の介護制度に、大きな欠陥や制度設計のミスがあるから、こんな事件が起きるのだろう。

介護される対象者が増え過ぎてしまい、介護に携わる職員が絶対的に足りなくなってしまっているという問題がある。介護職員の定着率が非常に悪く、介護施設や介護組織を渡り歩く転職組が多いし、介護職から離職する人が少なくない。よく言われていることだが、あまりにも介護職員が足りないので、どんな人間でも採用してしまうことから、介護職員の質が低下しているという。介護という職業を自ら希望して選ぶのではなく、消極的な選択として介護職を選ぶしかない人間が多いと聞いている。日本の介護制度が根本的に間違っているから、こんなミスマッチが起きてしまっているに違いない。

そもそも、厚労省が介護保険制度を設計する際に、寝たきりになってしまう高齢者を皆無することが目標だった筈である。ましてや、介護施設で高齢者を介護させる為に介護保険制度を作ったのではなく、自宅で自らの老後を自分の力で健康で暮らすために作った制度である。施設で介護するのは、緊急避難的な措置として必要なケースだけだった筈だ。ところが、実際は本来介護されなくてもいい高齢者を自宅から施設へという流れが起きてしまった。それも、QOLが改善して自宅に帰る人は皆無で、亡くなって退所する人が殆どである。厚労省が予想した介護制度とは、まるっきり正反対になっている。

厚労省だけが悪い訳ではない。高齢者とその家族が、大きな誤解をしているからである。そんなふうに誤解させてしまった厚労省にも責任があるが、国民が勘違いしているのである。高齢者になってしまうと、何らかの障害を持ったり認知症になったりするのは、当然だと思い込んでいるのである。厚労省の役人だって、介護される高齢者、寝たきりの高齢者をゼロにするのは難しいと諦観さえしている。しかし、自分の生活を抜本的に見直せば、要介護や寝たきりになることは予防できるのである。

それでは、介護されない老後を目指すには、どんな生活をすれば良いかというと実に簡単である。まずは、食生活を抜本的に見直すことである。腸内細菌を健康にするような食事にすることが肝要である。出来る限り添加物、農薬、化学肥料の少ない野菜中心の食事にすると、腸内フローラが実現する。さらに、脂肪分、糖分、乳製品、牛肉や豚肉を控えると共に、バランスの良い食事を心がけることが求められる。過食もよくないし、インスタント食品やスナック菓子、ジャンクフードやファストフードを食べないようにするべきだ。

介護されない老後を実現するには、休養や運動などの生活習慣も大切である。特に良質な睡眠を取ることは、認知症予防や高齢者のメンタル障害を防ぐのに有効である。良好な睡眠には、昼間に太陽光を浴びて運動をするのが必要である。認知症を防ぐには、骨に負荷をかける運動が必要不可欠だ。骨に衝撃を加える運動を日常的に実施すると、骨粗しょう症を防止するだけでなく、認知症を予防し、筋肉増強もするし、免疫力を高めることが判明している。つまり、骨にとって少しハードな運動を続けることが寝たきりを予防するのだ。介護されない老後を続けるには、アウトドアのスポーツが最適である。

さらに、介護されず寝たきりにならない大事な予防策がある。それは、精神的なタフさであり、しなやかな心である。つまり、プレッシャーに打ち勝てる心と、ストレスを乗り越えることができる精神の柔軟性である。このような健全な精神性を発揮することが可能になるには、高齢者になってもボランティア活動や市民活動を心から楽しめる価値観を持つことである。他人の幸福を心から願うことが出来て、豊かな社会の実現に自らが進んで尽力できる精神性があれば、身体が健康で元気な老後を過ごせるのである。介護をされずに老後を生きることは、自分の努力次第なのだと認識するべきであろう。