発達障害の児童生徒が8.88%

 発達障害の児童生徒の割合が、8.88%だったという調査結果が出たという。これは、専門医の診断ではなくて、教師たちが発達障害だと確信した数字であり、果たしてこの割合が正しいかどうかは、はっきりとは解らないらしい。とは言いながら、学校で子どもたちと関わっている先生たちが直感でそのように思うのであれば、ある程度は的を射ているのかもしれない。ここでいう発達障害とは、ADHD、学習障害、高機能自閉症等を指している。また、この調査は特別支援学校や教室の子どもは含まれず、普通学級の子どもだけの調査だという。

 この数字は、以前の調査よりも高くなっているものの、文科省ではこの調査を担う教師たちの発達障害への認識が高まった結果であり、発達障害の子どもたちが増えている訳ではないと結論付けている。こういう認識こそが、文科省が抱えている極めて悪質なバイアスではないかと思われる。実際に子どもたちと接していない文科省の役人が、軽々しく発達障害の子どもたちは増えていないと断定しても良いのであろうか。そのような結論を出してしまうと、発達障害の子どもをこれ以上増やさない為の方策を取らないのではないだろうか。

 子どもたちと現場で向き合っている教師たちに質問すれば、正反対の返答が返ってくるに違いない。発達障害の子どもたちは、年々増えているという返答である。しかも、発達障害の子どもたちの扱いに困っているという先生は非常に多い筈だ。8.88%という割合は、明らかに発達障害だと確信した数字であり、グレーゾーンはその数倍になる筈である。文科省に申し上げたいのは、グレーゾーンの調査もすべきであり、グレーゾーンの子どもも含めた、抜本的な対策を早急に打たないと、とんでもない禍根を残すということである。

 ちなみに米国の最新の調査によると、子どもの6人に1人が発達障害であり、18%の割合で見られるという。そして、この20年間で確実に増えているとの見解である。日本の発達障害の子どもの割合が、9%未満だと言うのは信用できない。不登校やひきこもりのサポートを実際にしている者としての実感では、3割以上の子どもが発達障害であり、グレーゾーンを含めると、その割合は半数を優に超えていると思われる。そして、大人の発達障害の割合も、同じく3割を超えているという実感を持っている。

 さらに大事なことは、発達障害と推測される子どもと大人たちは、単なる発達障害ではなくて、愛着障害の二次的症状として表れている割合が非常に高いことである。発達障害は、脳の器質的な障害によるものであり、生まれつきの障害だとされている。当人に関わる人の対応の仕方で、症状が強く出たり弱く出たりはするが、完全に治癒することは見込めないとされている。しかし、愛着障害の二次的症状であるならば、親子の愛着が改善されると、驚くように症状が良くなる。実際に、親子の愛着が改善されて、発達障害の症状が軽くなった症例をいくつも経験している。

 発達障害だと診断したのは、ある程度の基礎知識を得た教師だとしても、その判断が間違っているケースも少なくない筈である。しかも、誤解を恐れずに申し上げれば、先生の約3割はグレーゾーンの発達障害という二次的症状を抱えていると思われる。つまり、教師の約3割以上は愛着の問題を抱えていると言っても過言ではない。そのような教師が自信を持って発達障害の診断が出来るとは到底思えないのである。障害者に同じ種類の障害者を診断せよというのは、あまりにも乱暴なのである。おそらく、無意識で見逃している例が多いに違いない。

 ということからも、8.88%という数字がいかに信用ならないかと言うことが解るであろう。こんないい加減な数字を基にして、文科省が教育方針や指針を作成しているとすれば、あまりにも子どもたちと先生が可哀そうである。発達障害や愛着障害が一向に改善されないのだから、不登校や苛めがなくならないのは当然である。ましてや、愛着に問題を抱えた教師は不適切指導を起こしやすいし、うつ病などの気分障害を起こして、休職や退職に追い込まれやすい。日本の教育が成果を残せず、世界から取り残されるのは当然であろう。文科省の抜本的な改革(イノベーション)が望まれる。

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