新型コロナ感染症はその勢いがなかなか止まらない。オミクロン株は感染力が強いものの重症化することは少ないと言われていた。ところがここに来て重症者が増加の一途を辿り、死亡者も急増しているのである。そんな状況にあるにも関わらず、SNSの世界では新型コロナ感染症なんて風邪のようなものであり、インフルエンザよりも怖くないという誤った情報が発信され続けている。誤った情報を発信している人々は、会合の場でマスクもしないし、ワクチン接種を拒んでいる。実に困った人々である。
新型コロナなんて怖くないという情報を発信している人々の中には、現役の医師もいるので信じてしまう人も少なくない。しかし、こういう間違った情報を発信しているドクターは、臨床をしていない医師であるし、新型コロナ感染症の治療をしていない医師なのである。つまり、新型コロナ感染症を受け入れている医療機関で働いているドクターではないという事実である。また間違った情報を発信している看護師もいるが、新型コロナ感染症の治療をしている病院で働いているナースではないということに注目すべきだ。
新型コロナ感染症の入院治療をしている病院で働いている医療従事者の方々は、新型コロナ感染症が風邪と同じだなんていうことは、絶対に言わない。ましてや、重症者を治療していて現場において、治ることなく最期を看取っている悲惨な日常を過ごしている医療従事者は、風邪と同じだと嘯いている人々をけっして許せない筈である。風邪によって亡くなる患者さんは皆無に等しい。インフルエンザによる国内の致死率は0.02~0.03%である。一方、新型コロナ感染症による国内の致死率は1.4%に昇る。約70倍の致死率だ。
客観的な科学的データをまともに考察すれば、新型コロナ感染症の恐ろしさは一目瞭然である。とんでもない間違った情報を信じる人々というのは、物事を客観的に見ることが出来ない。こういう人達は、元々恣意的なバイアスをかけて物事を判断する傾向がある。新型コロナ感染症で亡くなる人は実際に居なくて、基礎疾患の悪化で死亡したのであり、直接死因ではないと主張している人がいる。そういうケースもあるが、インフルエンザで亡くなる人だって、合併症で亡くなる例も多い。まったく同じことが言えるのである。
ワクチンをしないのも自由だし、マスクをかけるのを拒否するのも法的には問題ない。誰にも会わないし、買い物や仕事にも行かず、他人に感染させる恐れが100%ないというのなら、それでもまったく問題ない。しかし、この社会で生きて行くうえで、誰とも会わないなんて出来ないのだから、自分が感染して他人に移す可能性がゼロではない。感染しても軽症とか無症状ということもあり、風邪と同じだから心配ないと感染予防策も取らず、知らず知らずのうちに高齢者に感染させる可能性もあるのだ。
新型コロナ感染症の情報をSNSなどで流すことは、自分の使命であり世の中の不正を明らかにすることで、自分は正義の使者なんだと信じて疑わない人がいる。自分が騙されていることを知らないし、言わば洗脳されてしまっているのである。洗脳されてしまっている人たちというのは、極端な認知的バイアスがかかっているから、正しい情報を正しく読み取れないでいる。間違った情報でさえ正しいと判断してしまうのである。逆に正しい情報を排除してしまう。ワクチンを接種すると死亡してしまうと信じている。
ワクチン接種後の死亡例は、約1300人と報告されているが、それはワクチンが直接原因ではなくて自分の病気によるものである。例え死亡原因がワクチンであったとしても、新型コロナの死亡者数に比べると約その0.6%でしかない。ワクチン接種をしたほうが、致死率の低下をもたらすのは間違いない。新型コロナ感染症は、風邪とはまったく違うしインフルエンザより数十倍も致死率が高くて危険なのである。ましてや感染後の後遺症で、4人に1人が苦しんでいる。新型コロナ感染症が風邪と同じだという情報は、完全に間違っている。こういう間違った情報を流すのは、殺人ほう助罪と同じだと心得てほしい。