夫が嫌いですか?というアンケートを実施したら、21%の妻がYESと答えたという。30歳~59歳1000人の既婚女性に聞いて、嫌いだと答えた人が21%というのは、男性からすると多いと思うことだろう。でも、女性にしたら以外に少ないなと感じたかもしれない。世の中の妻たちは、もっと夫のことを嫌っている人がいる筈なのに、不思議だと思っているに違いない。おそらく質問の仕方が良くなかったのではないだろうか。夫のことが今でも好きか?という質問だったら、7割以上の妻がNOと答えたことだろう。
様々な意識調査のアンケートをする際に、質問の語句選びによって結果が変わることが少なくない。特に、このような好きか嫌いかという設問においては、微妙なニュアンスよって結果が変わるのは当然だ。この夫が嫌いですか?という質問で何を明らかにしたかったのであろうか。嫌いと思う妻の割合を知って、何を狙ったのだろうか。嫌いかと聞かれたら、はっきりと嫌いだと答えるのは抵抗感があるだろう。嫌いかどうかの二者択一ならば、NOと答えるだろうが、どちらかというと嫌いという選択肢があれば、5割以上が選んだと思う。
夫婦の意識調査をする度に、妻と夫の意識に温度差がある結果となることが多い。夫は、妻との結婚生活に概ね満足していることが多い。一方、妻の方はと言うと、夫の生活態度やコミュニケーションに不満を持っていることが少なくない。イスキアの郷しらかわの活動で支援させてもらっている既婚女性の殆どの方が、夫に対する強い不満を持っている。不登校やひきこもりの子を持つ母親は、夫との家庭生活に大きな不信感と諦め感を持っている。夫のことが嫌いかと聞けば、間違いなく嫌いだと答えるに違いない。
不登校やひきこもりの子どもを持つ両親の夫婦関係は、もはや破綻していると言っても過言ではない。経済的に自立している妻のケースでは、離婚していることが多い。家庭崩壊を起こしている故に、子どもが不登校やひきこもりになっていると言えよう。勿論、父親だけが悪いとは言えないが、そもそも家庭崩壊を起こす要因は、大黒柱である父親にあることが多い。不登校やひきこもりを起こしている子どもの両親の夫婦関係は、100%冷え込んでいると断言できる。だから、妻が夫を嫌いだと言う家庭は、既に崩壊していると言える。
不登校やひこもりの子どもたちに共通しているのは、親の夫婦仲が良くないという点である。不登校やひきこもりの子どもたちは愛着障害であるケースが殆どであるが、その大きな要因は両親の不仲にあると言っても過言ではない。表面的には中良さそうに見えていても、関係性が壊れているケースが多い。不登校やひきこもりの子どもは、HSPであることが多い。常に不安と恐怖感を抱いている。HSPになる原因は、家庭の中に居場所がないからだ。それも、両親の不仲が遠因となっている。安全基地が存在しないのだ。
両親の夫婦仲が悪くて、いつも夫婦がバトルをして無視をし合っていると、母親の精神状態は不安定になるから、子どもとの豊かな愛着が結ばれない。つまり、妻が夫のことを心から敬愛していて、夫も心から妻を愛していないと、子どもの愛着が不安定になるし、HSPになって自尊心が育まれない。子どもは生涯に渡り、強烈な生きづらさを抱えて生きることになる。不登校やひきこもりになってしまう可能性が高くなる。妻が夫を敬愛できるかどうかで、子どもが幸せになるかどうかが決まるのである。夫のことが嫌いだというような家庭においては、子どもが不幸になるということだ。
妻が夫のことが嫌いなのか、それとも好きなのかは、単に夫婦間の問題だけではないのである。家族全体の問題であり、子どもの人生における非常に重要な問題なのである。両親の仲が良くて、お互いに敬愛する関係なら、子どもは健全に育つ。子どもの前だけでは良い夫婦を演じているというケースもある。こういう場合、子どもは両親の夫婦仲が本当は悪いんだということを直感的に認識している。経済的に自立出来るのなら、無理して夫婦を演じる必要はない。さっさと離婚して、精神的に安定して子育てをするほうが遥かに良い。『子はかすがい』なんていう諺は、もはや死語になり果てたのである。