私の旦那様は宇宙人

 自分の夫が、まるで宇宙人のようだと感じている妻はすこぶる多いに違いない。何故、宇宙人のようだと言うと、夫婦なのにまともなコミュニケーションが成り立たないからである。いや、夫婦なのにという表現は適切でない。夫婦だからこそ、コミュニケーションが成り立たないのである。そして、その為に多くの妻たちが悩み苦しんでいるということさえ、宇宙人の夫は知らないのである。そんな馬鹿なと、世の中の男性は思うかもしれない。しかし、これは真実なのである。宇宙人のような旦那様の為にメンタルを病んでいる妻が多い。

 宇宙人のような夫というのは、どういう意味かと言うとこういうことだ。まずは、妻の話を聞いていないのである。『地図が読めない女、話を聞かない男』というベストセラーになった本がある。あの本で男性がいかに話を聞かないかということが脳科学的に説明されていたが、夫婦間においてはその傾向が益々強くなるのである。妻が言うことを夫は聞いているように見えるが、まったくその心には響いていない。夫のメンタルモデルが低劣な故に、妻の話を傾聴しないし共感できないのである。だから話が噛み合わないのだ。

 宇宙人の夫は、さらに困った言動をする。なにしろ、自己中心的な言動をするし、身勝手なのである。家族の為に頑張っていると言いながら、家族全体の幸福を目指しているとは思えないような行動を平気でする。確かに仕事は真面目にこなしているし、裕福な暮らしをさせてくれている。職場では高い地位や評価を得ているらしいし、物分かりの良い職員で通っているという。しかし、家庭では我がままだし、頑固なのである。さらに、アスペやADHDのような言動をする。まさしく、予想が出来ない困った行動をするのである。

 こんな分らず屋になったのは、結婚してからである。結婚前に付き合っていた頃は、至ってまともであった。おかしいなと思う部分はあったものの、話を真剣に聞いてくれたし解ってもくれた。優しくもしてくれたし、思いやりのある言動をしてくれていた。ところが、結婚して数か月過ぎた頃から様子が変わってきた。思い通りにならないと、面白くない表情や態度をするし、黙り込んでしまうことも度々ある。やがて、家族のことよりも自分の趣味や娯楽を最優先するようになる。仕事を言い訳に家事や育児も放棄する始末だ。

 こうなってしまった旦那様を、心から愛せる妻なんている訳ないだろう。こんなにも人が変わるなんて信じられないであろう。しかし、それは間違いである。結婚する前は仮の姿であり、今の宇宙人のような夫が本来の姿なのである。無理して猫を被っていただけであり、元々変な人だったのである。相手に気に入られようと必死で、本心を隠していただけなのであり、結婚して安心して本来の自分を現したのである。だから、結婚する前のような優しい夫に戻ることは期待できない。二度とあの思いやりのある旦那には戻らないのである。

 何故、結婚すると宇宙人のような夫になってしまうのかというと、元々彼は発達障害や自閉症スペクトラムの傾向があったのである。それでも、外では普通の社会生活や職場生活が営めるのである。外では気を張って過ごしているので、宇宙人のような性格や人格を出さない。ところが、家庭では気が緩んでしまい、本来の宇宙人のような性格や人格を現してしまうのである。こういう人間は、知能が高いし、学歴も高いケースが多い。医師、教師、行政職、技術者、政治家、法律家、科学者、文芸家、芸術家として成功している例が多い。

 発達障害や自閉症スペクトラムの傾向を持つ旦那様なんてそんなに多くないと思うだろうが、そんなことはない。日本人の旦那様の約7~8割は、宇宙人のような性格や人格を持つと言っても過言ではない。まともな旦那様なんて、世の中では圧倒的に少数なのである。自分の夫が宇宙人のようだと嘆くことはない。世の中の旦那様なんて、皆宇宙人のようなのである。東大の名誉教授で社会学者の上野千津子さんが、「あら、男性なんてみんな発達障害みたいなものよ」と言ったというのは有名な話である。宇宙人のような発達障害の夫を伴侶に持つ妻は、カサンドラ症候群になりやすいので注意が必要だ。夫は元々宇宙人なんだから正常なコミュニケーションは無理なんだと諦めてしまえば、気が楽になるに違いない。

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