ワクチン接種を拒否するのはエゴ

 新型コロナの予防ワクチン接種が進んでいるが、その危険性が高いと主張して、接種を拒んでいる人たちがいる。そして、自分の主張が正しいと接種反対運動を繰り広げている。SNS上では毎日のように、ワクチンが危険だとするまことしやかなデマを垂れ流し続けている。一見すると科学的に正しいように思えるエビデンスであるが、医学に詳しい専門家が見ればたわいのない非科学的で非論理的な根拠でしかいない。その出処は、米国のQアノンと呼ばれるトランプ支持者らしい。陰謀論を展開する困った人たちである。

 

 ワクチンについては、新型コロナだけでなく他のワクチンについてもリスクがまったくない訳ではない。自分も、インフルエンザワクチンは一度も接種していない。インフルエンザ感染によるリスクが低いし、他者に感染させるリスクも低いからである。子宮がん予防ワクチンの危険な副反応は、かなりの頻度で起きるという主張はある程度正しいと思われる。しかし、こと新型コロナワクチンのリスクと感染した際のリスクを天秤にかけたら、圧倒的に感染した時のリスクが高いのだ。重症化する確率も高いし死亡率も極端に高い。

 

 新型コロナの危険性は、それだけではない。感染した後に発症する、長く続く深刻な後遺症が存在する。倦怠感、呼吸困難、循環障害、筋痛症、味覚障害等により、感染前の正常な生活を取り戻せない人たちがかなりの高率で存在している。それだけではなく、重いメンタル障害で苦しむ人たちもいるのだ。特に、深刻な気分障害により職場復帰できない人たちも少なくない。ワクチン接種に反対する人たちは、新型コロナ感染症は単なる風邪みたいなもので、若い人や基礎疾患を持たない人は心配ないと強弁を繰り返している。

 

 困ったことに、何人かのドクターも新型コロナ陰謀論に同調してしまい、ワクチン接種不要論を展開している。しかし、そういう医師たちは、実際に新型コロナ患者の診療をしていないし、治療には携わっていない。新型コロナ感染症の患者を受け入れて診療に当たって苦労している医師や看護師たちは、陰謀論なんて絶対に信じないだろう。深刻な症状に苦しんでいる患者さんたちを目の前にしたら、単なる風邪だなんて言える訳がない。基礎疾患のない中高年者たちも、人工呼吸器やECMOを装着して生死の境を行き来している現実がある。

 

 新型コロナ感染症が単なる風邪のようなものであり、重症化する割合も少なく死亡例なんて本当はないんだと主張する人たちは、現実から目をそらしているだけであろう。新型コロナ感染症の治療をしている医師の主張に耳を傾けてほしい。その本当の恐ろしさを知ってほしい。そして、ワクチン接種に協力してほしいし、SNSで間違った危険性を広めないでほしいものだ。崩壊しようとしている医療を、何とか踏みとどまらせようともがき苦しんでいる医療関係者に敬意を払ってほしいと願っている。

 

 ワクチン接種をするかどうかは、自由意志である。確かにその通りである。強制すべきではないし、ワクチン接種をしないからとその人を差別したり阻害したりしてはならない。しかし、ワクチン接種しないために自分が感染してしまい、大切な家族や周りの人々を感染の危険にさらすのだけは止めてほしい。新型コロナ感染症を抑え込むためには少なくても50%、出来たら75%の国民が中和抗体を持たなくてはならないらしい。その為には、自然感染だけでは絶対に無理であろう。ワクチン接種が不可欠だ。

 

 ワクチン接種によってどんな副反応、または副作用が起きるか心配なのは誰でも同じだ。できれば、ワクチン接種なんてしないほうが良い。私だって、ワクチン接種にもろ手を挙げて賛成している訳ではない。自分の健康や生命を守るためだけなら、ワクチン接種を丁重にお断りする。しかし、自分のせいで妻子や孫たちを感染の危険にさらすことだけは避けたい。職場の仲間や周りの人々にウィルスをばらまく行為をしたくない。自分を犠牲にしても人々の命を守りたい。社会に暮らすのは自分だけではないのだ。自分がワクチンによって健康被害が起きるのを避けたいと、接種を拒否するのはエゴイズムの何物でもない。社会全体の幸福を願うなら、エゴを捨ててワクチン接種に協力すべきだろう。

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