潰瘍性大腸炎の本当の原因

潰瘍性大腸炎という病名が、これほど世間に知られたことは今までなかった。安倍総理がこの潰瘍性大腸炎の悪化で、これ以上政権を担えないと退陣することを決めた。この潰瘍性大腸炎という疾病は、それほど深刻なんだと認識した人も多かったに違いない。潰瘍性大腸炎は難病として特定疾患に指定されている。原因不明であるし、その治療も主に投薬によるが、その効果もいまいちである。安倍総理のように、再発することも多い。原因が解らないのだから、治療効果も限定的だし、その予後も芳しくない。

 

原因不明だと言うことだが、潰瘍性大腸炎になる原因は遺伝的な要因にストレスや食習慣の問題が加わり発症すると推定されている。その発症メカニズムは免疫の異常によるものだとされ、最新の研究では大腸の表皮細胞における遺伝子の異常があるということが判明している。IL17(インターロイキン17)が多量に発生して、免疫の暴走が起きるのではないかと見られている。免疫の異常が何故起きてしまうのかが不明だが、その免疫の暴走が止められれば、潰瘍性大腸炎は完治するのではないかと推測されている。

 

それでは何故に免疫の暴走が起きてしまうのかというと、残念ながら解明されていない。新型コロナ感染症において、IL6(インターロイキン6)が多量に発生して免疫が暴走してしまい重症化してしまうメカニズムと良く似ている。そういう意味では、免疫系の仕組みは現代の医学でもまだまだ未知の部分が多い。膠原病などの自己免疫疾患が難病であるのは、免疫系のシステムがまだ完全に解明されていないからである。そういう意味では、おしなべて免疫系疾患は治療が難しいし、完治するのはごく稀であるのは当然であろう。

 

潰瘍性大腸炎が起きるのは免疫の異常だとしても、この免疫異常が起きてしまうのは、ストレスが大きな役割を果たしているというのは間違いなさそうだ。今回の安倍総理も、新型コロナ感染症への対応が後手に回ってしまい、批判が総理と官邸に集中していることが相当なストレスになっていたと思われる。連日、報道番組でアベノマスクと揶揄され、経済を優先するあまりゴートゥーキャンペーンを強行したことにも非難を受け続けた。国会や委員会の開催を避け続けたのは、総理のストレス耐性が低く、批判されるのを嫌ったのだと思われる。

 

安倍総理が以前にも潰瘍性大腸炎を悪化させて政権を投げ出して批判を受けた際にも、相当なストレスを受けていたと思われる。多大なストレスが潰瘍性大腸炎を発症させたり、症状を悪化させたりするというのは間違いない。それも、ひとつのストレスだけでなく多重ストレスが免疫系の異常を起こすような気がする。さらには、その多重ストレスが長い期間に渡り続いてしまうと、トラウマ化しやすい。このストレスからトラウマに変化した際に、免疫の異常が起きてしまうのではなかろうか。

 

この潰瘍性大腸炎は年々増加の一途を辿っていて、22万人の患者がいると推定されている。どうしてこんなにも増加したのかというと、ストレス過多の時代になったからであろう。もはやストレスの時代からトラウマの時代に移行しているのかもしれない。トラウマ化するとどうして免疫異常が起きるのかというと、最新の医学理論であるポリヴェーガル理論で説明ができる。免疫を支配するのは自律神経である。通常、自律神経は交感神経と副交感神経の2つで調整されていると思われていた。ところが、自律神経は3つの迷走神経で支配されていることが判明したのである。

 

副交感神経の約8割は迷走神経である。そしてこの迷走神経には、腹側迷走神経と背側迷走神経の2つがあるということが解ったのである。つまり、通常言われているような免疫を高める働きをするのは腹側迷走神経である。交感神経と腹側迷走神経のバランスが取れている時は、免疫も正常に働く。ところが、ストレスが度重なりどうしようもなくなってトラウマ化してしまった時に背側迷走神経のスイッチが入る。その際に背側迷走神経は免疫を暴走させるようなとんでもない働きをするのだ。あたかも遮断(シャットダウン)のような事態を引き起こす。こうなると免疫は古い免疫系に切り替わり、免疫異常が起きてしまい、免疫系の疾患が発症するのであろう。これが潰瘍性大腸炎の発症するメカニズムだと思われる。

※ポリヴェーガル理論とは?

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