熟年離婚は益々増えてくる

熟年離婚が急増している。夫が定年するまで待つという妻、子どもが自立するまで我慢するという妻が多い中、それまでも待てないと、40歳代から50歳代で離婚を決断する妻も少なくない。夫のほうから離婚を切り出すケースもあるが、圧倒的に多いのは妻からの申し出のほうである。そして、妻から離婚を切り出された夫は、離婚の原因について自分ではまったく心当たりがないというのである。一方妻のほうはというと、長年に渡り我慢に我慢を積み重ねてきて、もうこれ以上は無理だと決断しているという。

夫のほうは、身を粉にして働き、家族のために自分を犠牲にして努力してきたと思っている。連日の残業や顧客接待で深夜まで働き、土曜日曜だって接待ゴルフや休日残業で頑張ってきたと自負している。家族サービスだって不十分ながらしてきたし、家族のために持ち家やマンションを購入してあげた。経済的には、不自由な思いをさせたことはないと思っている。こんなにも家族の為に粉骨砕身働いてきたのに、離婚したいなんて、考えられない裏切りではないかと思う。妻を裏切るような行為をした覚えもないのである。

でも、妻は数えきれない不満を抱えている。妻をまるで家政婦やベビーシッターかのように扱う夫には、もう我慢がならないのだ。何時もではないが、時折妻を自分の所有者、支配者のようにふるまう夫。身勝手で、自己中の夫。モラハラやパワハラを平気で繰り返す夫。それを全く意識していないから、反省することもないし、改善することはない。経済的なこともあるから何とか我慢し続けてきたけれど、もはや一緒に生活する必要もないし、これからの人生を一緒に歩むという選択肢はないのだ。

家事や育児を分担してくれる夫がいない訳ではない。しかし、圧倒的に妻の負担が大きい。いくらパートやアルバイトだからと言っても、働いていることに変わりはない。それなのに、自分の仕事を最優先に考えていて、妻の仕事に理解を示さないし、非協力的である。子どもの教育の問題やトラブルが起きると、仕事に逃げてしまい妻任せにしてしまう。自分にとって損か得になるかで行動し、自分の評価や名誉ばかりを考え、妻に対する思いやりやいたわりの気持ちが感じられない。妻の気持ちを解ろうとしない夫に愛想尽かしをするのは当然だ。

とは言いながら、優しくない訳ではない。誕生日やクリスマスイブにはプレゼントをしてくれるし、嫌々ながらも買い物に付き合ってくれる。評判のレストランにも連れて行ってくれるし、旅行に誘ってくれることもある。しかし、自分の都合に無理に合わせようとするし、好きな処に行くけれど、妻の行きたい処は行きたがらない。なにしろ、自分の思い通りにならないと、とたんに機嫌悪くなる。妻から不適切な行動を指摘されると、黙り込んで不機嫌な表情をする。そうすると、妻は自分が不機嫌させてしまったと自分を責めてしまう。

妻は、夫が嫌いになって離婚しようとしている訳ではない。妻の気持ちに共感してくれようとしない夫に我慢がならないのだ。そして、黙って話を聞いてほしいだけなのに、トラブルの原因が妻にもあると指摘したうえに、解決法をくどくどと述べる、その傲慢な態度が気に入らないだけなのだ。何かというと、見下したような態度をとる夫には辟易している。結婚してから築いた財産はすべて折半できるし、婚姻後に積んだ夫の年金は自分が半分受け取れることが解ったから、経済的にも困らないと知った。人手不足で引く手あまたの社会だから、パートなら高齢でも雇ってくれる。離婚しても、経済面での不安がないから、決断するのだろう。

妻が熟年離婚しようしていないのか、気になって仕方ない夫がいるかもしれない。熟年離婚をしたくなかったら、夫は心を入れ替える必要がある。今までのように、妻の話をまるで聞かないような態度は改めなくてはならない。妻の話に耳を傾けて聞き、批判・否定せず妻の気持ちに共感することから始めることだ。妻とのスキンシップも含めた触れ合いを心がけると共に、妻の気持ちを自分のことのように感じることが求められる。そして、何よりも妻の主体性や自主性を重んじ、妻を支配したり制御したりしてはならない。人間としての尊厳を妻に対しても認めてあげることだ。まずは、家事の分担から見直してみてはどうだろうか。

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