死に至る病~愛着障害~

「死に至る病」という衝撃的な題名の岡田尊司先生の最新刊は、内容的も実に大胆な理論を展開していて、とても素晴らしいものである。今までの医学界の定説とされていた理論を完全に覆すものであり、目からうろこの斬新な理論で構成されている。なにしろ、ADHD、アスペルガーなどの発達障害は、遺伝性の障害だとされていたのに、そうではなくて育児環境によって起きていると断言しているのだから驚きだ。それも、愛着障害による二次症状であるから、愛着障害を癒すことが出来たら、発達障害も治る可能性があると説いている。

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子どもの発達障害は、精神医学界においては長い期間に渡り、遺伝子性の障害だとされていた。故に、発達障害の子どもが異常に増えることはないと思われていた。ところが、1900年代の前半までには、発達障害の子どもがいたという記録が残っていないのである。それなのに、ここ30年くらいの間に、激増しているのである。それも年々増加の一方を辿っている。遺伝性の疾病であるならば、こんなことはあり得ない筈である。環境因子による影響としか考えられない。それも、偏った育児による影響が大きいと言わざるを得ない。

発達障害だけではない。うつ病、双極性障害、パニック障害、PTSD、境界性パーソナリティ障害、各種依存症、摂食障害、心因性疼痛、線維筋痛症、過敏性大腸症候群、などの現代における深刻な難病もまた、愛着障害が根底にあって起きる病だと指摘している。今までの医学理論からすると、あり得ないようなことであるが、岡田先生はその理論の正しさの根拠を示している。これらの深刻な難治性の疾病は、患者の生活を破綻させるだけでなく、生きづらさをもたらすし、時には自殺にも追い込む。まさに愛着障害は死に至る病なのである。

愛着障害という死に至る病は、本当に恐い病気である。なにしろ、親から子へ、そしてその子から孫へと世代間連鎖していくからである。愛着障害の親に育てられた子どもは、さらに深刻な愛着障害を持ってしまう。世代間連鎖するごとに愛着障害が強化されてしまうのである。ましてや、愛着障害の人は得てして愛着障害の伴侶を選ぶことが多い。愛着障害どうしの結婚生活は破綻しやすい。そして、その子どもの愛着は益々傷ついていくのだ。だから、愛着障害はパンデミックのような恐ろしい病気と言える。

当初、愛着障害というものは、親が虐待や育児放棄、またはネグレクトをして育てられた子どもにだけ起きるものだと考えられていた。ところが、ごく普通の親から愛情たっぷりに育てられているのにも関わらず、愛着障害を起こす例が実に多いことに岡田先生は気づいたという。どんなケースかというと、母親が子どもに対して母性愛(無条件の愛)でなくて、父性愛的な愛を注いだ時に起きると言われている。子どもに対して母親が条件付きの愛をかけて、繰り返して介入や干渉を続けた際に、子どもが深刻な愛着障害を起こすと言う。

特に、父親が仕事に没頭して家庭を顧みず、育児や家事のすべてを母親だけが負担することにより、あまりにも母親の精神的負担が大き過ぎるケースに愛着障害が起きやすい。大企業の高学歴社員、キャリア官僚、教師、医師などエリートのうち、ワーカーホリッカー的な働きをする父親の家庭で愛着障害が起きやすいのである。実際に、農水省の元事務次官や著名な医師の子どもが、愛着障害によってひきこもりになってDVを起こし、悲惨な事件を誘発したという報道がなされている。不登校やひきこもりは、愛着障害によって起きているのである。愛着障害は家庭に問題があるから発症している。

年々、愛着障害が増えているという。そりゃそうである。愛着障害のまま大人になり親になる人たちが結婚して子どもを産み育てるのだから、子どもが愛着障害になるのは当然である。鼠算式に増えることになる。そして、愛着障害が根底にあって、二次症状としての発達障害が起きているのだから、発達障害が激増しているのは当然の帰結である。さらに、難治性の各種疾患、気分障害、境界性パーソナリティ障害、依存症、摂食障害、原因不明のしびれ・疼痛、免疫疾患なども愛着障害によって増大していくだろう。しかし、適切な愛着アプローチによって愛着障害は癒すことができる。ということは、これらの発達障害も含めた難治性の疾患を治すことができるのだ。死に至る病であるが、治すことが可能である。

※愛着障害を癒す愛着アプローチについて、イスキアの郷しらかわでは懇切丁寧にレクチャーしています。また、個別のサポートもしていますし、オープンダイアローグ(ミラノ型家族カウンセリング)を駆使して、家庭の問題を解決して愛着障害を修復する活動を進めています。まずは、問い合わせフォームからご相談ください。電話番号をお知らせします。または、問い合わせフォームにLINEのQRコードが張り付けてありますので、LINEからご相談ください。

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