月経前不快気分障害PMDDの原因

女性なら誰でも月経前の時期は、不快で憂鬱な気分になりがちである。月経前症候群(PMS)という、辛い心身の症状がある人がいる。そして、そういう月経前の困った精神症状が強く出る障害を月経前不快気分障害(PMDD)と呼んで、ひとつの疾病として取り扱い、治療を受けている人もいる。このような月経前の辛さは、我々男性には想像もつかないが、各種メンタル障害を起こすケースもあるし、強いうつ症状を呈する人も少なくないという。そして、医学的なアプローチをしても、症状が改善することは期待できないという。

PMDDは、複雑で実に不快な気分にさせてしまう。その中で一番困る症状は、怒りが爆発することである。家族の何気ない言動に我慢ならず、いきなりキレてしまい、怒りを相手にぶつける。当然、けんか腰で言い合いになるし、関係性を損なってしまいかねない。家庭だけではなく、職場でも同様のことが起きてしまう。さすがに上司には盾突くことはないものの、上司や同僚の言動に怒りを感じてしまう。それをじっと我慢しなければならないとストレスが溜まってしまい、しまいには職場で孤立してしまうこともある。

このPMDDの症状で困るのは、イライラが募ってしまうことである。必要以上にイライラして攻撃性が出るというのは、本当に困ったものである。怒りや憎しみの感情が沸騰してしまい、ついつい相手を攻撃しがちである。爆発しそうになる怒りをないことにしてしまわないと大変なことになるからと、ついつい感情を押し込んでしまう。そうすると、腰痛や肩こりなどの症状が出やすい。かと言って、怒りを相手にぶつけてしまうと、夫婦喧嘩や親子喧嘩になりやすい。職場で怒りを爆発させてしまうと、仕事が長続きしなくなる。

PMDDという辛い精神症状を、周りの人に理解してもらえないというのも苦しい。特に、男性はその不快な気持ちを理解できないから、家庭でも職場でも寛容に扱ってくれない。自分の努力次第で乗り越えられる筈なのに、そんなに怒りを爆発させるのは、人間が出来ていないからだと思われてしまうことが多い。男性はその深刻さを知らない故に、月経前の不快な気分なんて、気持ちの持ちようでいくらでも吹き飛ばせると考えがちである。ところが、これは自分の努力ではどうにもならない難治性の精神症状なのである。

PMDDの原因が、女性ホルモンの異常から起きると考えられることから、婦人科で治療を受けるケースが多い。あまりにも酷い症状には、経口避妊薬(ピル)を処方することもある。うつ病の症状が出る場合は、抗うつ剤の投与も考慮される。女性ホルモンの異常、またはセロトニンの不足によってPMDDが発症すると思い込んでいる医師が多い。しかし、ホルモン量の検査をしてみると、異常が発見されることは極めて少ない。ましてや、幼児期からの育成歴や親との関係性やパートナーとの関係性などを詳しく問診する医師がいないので、本当の原因を探り当てることはまずないであろう。

PMDDの患者さんに、HSP(神経学的過敏症)であるかどうかを問診すれば、おそらく多くの項目で当てはまるに違いない。そして、親との愛着について詳しく聞いてみれば、愛着障害であることに気づく筈である。つまり、PMDDの患者さんの多くは、愛着障害によって症状が現れていると推察される。したがって、PMDDはホルモン治療などの医学的なアプローチでは改善されないということである。適切な愛着アプローチをすれば、症状が軽減する可能性があるということでもある。

愛着障害の人は、オキシトシン・ホルモンの分泌量が極めて低いことが判明している。オキシトシン・ホルモンの分泌量が低いために、不安・恐怖感が強くて、いつも最悪の未来を予想してしまうと共に、パートナーを心から信頼することが出来ない。職場では上司や同僚の善意を感じることが出来なくて、悪意を感じてしまいがちになる。月経前には、何らかの理由によりホルモンバランスが崩れて、オキシトシン・ホルモンやセロトニンホルモンが欠乏すると思われる。その為に、PMDDの症状が強く出てしまうのだと推察するのが妥当であろう。PMDDの患者さんは症状改善を諦めているが、愛着アプローチによって症状が収まる可能性があるので、試してみてはどうだろうか。

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