我が子に愚母と蔑まれ殴られて

農水省事務次官にまで昇りつめた元エリート官僚が、我が子を殺してまったという事件は、世間に衝撃を与えた。しかも、その息子はひきこもりで家庭内暴力を振るっていたというから驚きである。そして、その長男は自分の母親をインターネット上で愚母と書き込んで、殴り倒していたというのだ。自分が生み育てた我が子からこんな仕打ちを受けていたこの母親が、不憫で哀れでもある。さらに、その息子を自分の夫が殺してしまう事態にまで追い詰められてしまったというのは、実に悲しくてやりきれない思いであろう。

このひきこもりの長男は、ゲーム障害の依存症でもあったと伝えられている。家庭内暴力は、中学生の頃から始まったらしいが、その背景には学校での深刻ないじめがあったとも伝えられている。また、作りあげて大事にしていたプラモデルを母親が壊したことをきっかけにして、母親への憎しみから暴力が始まったと言うが、間違って壊したのか敢えて壊したのかは不明である。ともあれ、父親に憎しみや怒りが向かわないで、母親に向いてしまったというのは不思議でもある。思春期の男性は、同性の父親に憎しみが向かうことが多い筈だ。

どうして父親に対して憎しみが向かわなかったのかというと、ひとつは父親が圧倒的な社会的ステータスを持っていて、立派過ぎて立ち向かう勇気が持てなかったのかもしれない。そして、もうひとつの理由は父親が育児や教育に対して無頓着であったか、仕事が超多忙であり我が子と関わる時間的余裕がなかったのではなかろうか。おそらくは、後者の理由が大きいような気がする。東大法学部卒のキャリア官僚であり、入省時から将来は農水省のトップまで到達すると目されていた逸材で、エリート中のエリートであったであろう。当然、エリートコースを歩んだのだから、土日もなく必死に働き、父親不在の家庭だったに違いない。

キャリア官僚の妻というのは、殆どが専業主婦である。良妻賢母として、子育てや家事に専念する。勿論、良家の才媛であったと思われるし、教養学歴も高いであったろうと想像する。父親不在の家庭で、しっかりと家を守り、立派に子どもを育てようと必死に頑張ったと思われる。そして、この育児環境に落とし穴があったのではないかと推測されるのだ。全部が全部そうなる訳ではないが、父親が仕事で忙しくて専業主婦の母親にすべての育児と教育の負担と責任が押し付けられてしまうと、子どもが愛着障害を起こしてしまうケースが多い。

父親が仕事を優先せざるを得ない状況に陥り、子育てのすべてを母親に押し付けざるを得なくなり、母親が育児を頑張り過ぎてしまうと、子どもはいろんな不具合を起こしやすい。本来、父親は条件付きの愛である父性愛を注ぎ、母親は無条件の愛である母性愛を豊かに注ぐという役割分担をするのが通例である。つまり、条件付きの愛である『しつけ』を父親が担当し、厳しく子どもを指導する。母親は、危ないことだけを厳しく教えるが、それ以外については無条件に子どもを否定せず批判せずまるごと愛する。あるがままの子どもを愛し受け容れるのである。

この父性愛と母性愛をかける順序が大切で、まずはたっぷりと母性愛を注いであげて、自我を満足させてあげて、自分がどんなにわがままを言っても甘えても許してくれる存在があるのだと認識することが大事なのである。そして、どんな自分であっても許し受け容れられ、けっして見捨てられることがないという安心感を持つことが肝要である。そのうえで、しつけを厳しく行うのであれば、子どもは素直に聞き入れることができるのだ。そして、どんな苦難困難に遭おうとも、乗り越えられる勇気が持てるようになるのである。さらに、父親は子どもと妻の安全基地であらねばならないし、守護神の役割が求められる。

母親ひとりで子育てをすると、ついつい母親一人で父性愛と母性愛を注いでしまうケースが多い。当然、子どもの正常な自我が育たないばかりか、甘え下手になるしわがままが言えず、インナーチャイルドが虐げられてしまうことになる。母親との豊かな愛着が結ばれず、愛着障害を抱えることが多い。オキシトシンホルモンという安心ホルモンの分泌が阻害されて、いつも不安や恐怖感を抱えて生きることになる。子どもは強烈な生きづらさを抱えてしまい、その捌け口をゲームや食べ物などに求めやすい。依存症や強迫性障害、パニック障害、摂食障害、妄想性障害などの症状や境界性のパーソナリティ障害の症状も抱えやすい。愛着障害は統合失調症や発達障害の症状が出現しやすい。父親が仕事にのめりこみ過ぎて、母親だけで子育てをしてしまい、あまりにも干渉し過ぎると、このような愛着障害が起こるので注意が必要である。

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