不登校を見守るだけでいいのか

学校にどうしても行けなくなったら、無理して登校しなくても良いのだという考え方は一般に認識されてきたようだ。文科省も何がなんでも学校に登校させることがゴールだという考え方を、転換することにもなった。そのお陰で、これ以上の苦しみを子どもに与えなくて済むことになったし、いじめや不適切指導による自殺を防ぐという効果もあった。しかし、学校に行かなくてもいいのだという認識が広がることで、逆に不登校を乗り越える例が減ってしまい、やがて深刻なひきこもりに移行してしまうケースが急増している。

不登校に対する世間の認識が、まったく変化してしまったと言える。一昔前なら、どうしたら登校できるようになるのか、その原因を追究すると共に対策をあれこれと練っていた。ところが、不登校の状態が異常ではなくて、学校に行かないという状態になり続けてもいいのだと当事者と保護者も誤認してしまったのである。ましてや文科省や学校関係者も、不登校という現状を認めなくてはならないというような間違った認識を持ったが故に、解決策に本気で取り組むことをやめてしまったのである。

不登校という選択肢を選ぶのも大事だし、その状況にある子どもを批判したり否定したりしないことも必要である。無理して登校を強いるのは避けたいものである。しかし、不登校の状態を保護者が放置することは絶対にしてはならない。何故なら、そのような状況に追い込まれてしまった子どもは、不登校というSOSのサインを発して、助けを求めているからである。緊急避難的に不登校という選択を認めるのは正しいが、その状況を続けても是とする考え方は危険である。子どもとの絆を結び直す絶好のチャンスと捉えるべきである。

不登校になってしまう原因は、学校におけるいじめや不適切指導、または不登校当事者の資質や性格、成績不良、自己肯定感のなさ、発達障害などのメンタル障害などにあると思っている人が殆どであろう。当事者も家族も、そして学校関係者もそのように認識している。しかし、不登校になる真の原因はそんなものではない。不登校になる本当の原因は、家族どうしの不安定な愛着にある。家族の絆が希薄化、または劣悪化していて、機能不全家族の状態になっているのである。そのために、親子や夫婦どうしの愛着が不安定化、もしくは傷ついた愛着になっているのである。つまり、愛着障害を起こしているのだ。

このように不登校の原因は、不登校をしている当事者にあるのではなく、家族との関係性にあると認識すべきである。そして、家族の関係性が薄れていたり乱れていたりして、当事者と家族が愛着障害を起こしているが故に、不登校という状況に追い込まれているのである。その証拠に、不登校の原因であるいじめや不適切指導を止めさせても、すぐに登校できる訳ではない。不登校の子どもは家庭の中に安全で安心な居場所が提供されず、いつも不安や恐怖感を抱えている。母親も不安定な愛着を持つと、子どもにとっての安全基地となりえない。絶対的な安全基地を持たない子どもは、苦難困難から逃げてしまうのだ。

絶対的な安全基地は誰にでも必要である。子どもだけでなく、大人にとっても必要不可欠のものと言えよう。安全基地がないと、不安や恐怖感が先立ってしまい、苦難困難を乗り越える勇気が持てない。特に子どもは安全基地がないまま育つと、愛着障害を抱えてしまい、やがて苦難困難に向かい合うと回避してしまうのである。学校で嫌なことや恐怖に思うことに出会うと、不登校にならざるを得ない。特に母親との愛着が大切で、母親が子どもにとって安全基地となりえていない場合、不登校に逃げ込んでしまうしかないのだ。

不登校の状態をそっと見守るしかないと思い込むのは、まったく見当違いである。不登校というのは、機能不全家族を解決するチャンスでもあるのだ。崩壊家庭になっている状況を何とか解決すれば、不登校も乗り越えることができる。不登校という選択をしてもいいが、不登校をそのまま放置してはならないのである。母親が抱えている不安定な愛着を癒してあげれば、母親が子どもの安全基地となりえる。そうすると愛着障害を抱えている子どもは、愛着障害を癒すことが出来て、母親との愛着を再構築できる。不登校だって乗り越えられるし、機能不全家族も見事に解決するのである。

※不登校になっている子どもの家庭がすべて機能不全家族ではありませんが、殆どが家族関係に何らかの問題を抱えています。そして、そのことに自分たちも気づいていないケースが殆どです。だから、不登校が長い期間解決しないのです。愛着障害(傷ついた愛着・不安定な愛着)を親子共に癒すことができて、安定した愛着を再構築することが出来たら、劇的に問題は解決します。適切な愛着アプローチによって、愛着障害を乗り越えることが可能なのです。まずは問い合わせフォームからご相談ください。

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