自ら命を断つ前にすること

自殺をする人は、やや少なくなったとはいえ、年間3万人弱の数に上っている。しかしながら、実際は自殺者の数は3万人弱だけではない。この数は、あくまでも遺書を残していて、明らかに自殺としか思えないと確定した人数である。ましてや、自殺行為をしてから24時間以内に亡くなった人だけがカウントされていて、2日目以降に亡くなった人はこの人数に含まれない。また、発作的に電車に飛び込んでしまった方は事故死として処理され、自殺者としてはカウントされない。実際の自殺者数はこの倍以上に上ると推測される。

どうして政府は実際の自殺者を少なく見せているのかというと、これだけ多い自殺者を救う手立てをしていないのではないかと非難されるのを避けているからである。その証拠に、自殺者数が3万人を下回るようになったのは、厚労省や警察庁が自殺防止対策を講じたからだと自画自賛している。他の先進諸国と比較しても、こんなにも異常に多い自殺者を出している国はない。自殺をする人を救えない、無策な厚労省と言われても仕方ないであろう。自殺予防の対策をしているとは言いながら、効果を上げていないのは事実である。

自殺をする方をどうにかして救えないものであろうか。「こころの健康相談ダイアル」という自殺願望者の方が電話相談をするセンターがある。これは、あくまでも電話の相談だけであり、リアルに会ってカウンセリングをしてくれる訳ではなく、医療機関などを紹介されることが多い。『自殺サイト』と呼ばれる、自殺願望者や自殺に興味のある方が集うサイトがある。この自殺サイトは、自殺を思い止まらせてくれないばかりか、適切な自殺の方法を教えたり、背中を押したりするような不適切行為をする処もある。

自殺願望者を救ってくれるような処は、医療機関やカウンセラーしかなさそうである。自殺願望者を救うという高度な知識や技能というのは、専門家しか出来ないと思われている。しかしながら、自殺願望の方を思い止まらせてくれる民間の施設がある。佐藤初女さんが主宰していた『森のイスキア』という青森県の弘前にある宿泊施設である。この世に絶望してしまい、生きていても仕方ないと思い込み、自殺をしようと思っている方が、最後に訪れる施設である。この施設を訪れて、佐藤初女さんの温かいおもてなしを受けると自殺を思い止まるのである。

佐藤初女さんは、特別なカウンセリングやセラピーを実施する訳ではない。ただ、黙ってこの世に絶望した人の話を聞くだけである。けっして否定せず、ただ共感するだけである。じっと話を聞いて寄り添うのである。そして、佐藤初女さんの心尽くしの手料理を食べて、何日か宿泊すると元気になって社会に戻って行けるようになる。しかしながら、その佐藤初女さんは、2016年の2月に還らぬ人になってしまわれた。その後、この世に絶望してしまった人を救う『森のイスキア』の扉が二度と開かれることはなくなってしまった。

この佐藤初女さんの森のイスキアのような施設は、全国を探しても他にはない。佐藤初女さんのように偉大な方は、もう2度と現れないに違いない。日本のマザーテレサと呼ばれて、多くの方から慕われていたのだから、後を継げるような人はいないだろう。しかしながら、自殺をしようとしている方々を救う場所は必要である。例え佐藤初女さんには遠く及ばないとしても、10分の1でも100分の1でも佐藤初女さんに近づきたいと、森のイスキアと同じような施設を開設した。それが、福島県の塙町という田舎に開設した『イスキアの郷しらかわ』である。

この世に絶望してしまい、自らの命を断ってしまうしかないと思っていらっしゃる方がいたとしたら、もう一度思い止まって考えてほしい。自殺をするという決意は固いとしても、最後に『イスキアの郷しらかわ』で最後の時間を過ごしてみてからでも遅くはない。自殺をするにしても、最後の数日をイスキアの郷しらかわで愛情の籠った心尽くしの食事を食べて、自分を苦しめている悩み苦しみを一度手離して、もう一度生きる意味を考えてみてはどうだろうか。イスキアの郷しらかわでは、何も聞かず問い質すこともせず、けっして否定せず、何も強いるようなことはしない。ただそっと寄り添うだけであり、傾聴し共感するだけである。もう一度だけ、自分の悩み苦しみを話してみてはどうだろうか。

※イスキアの郷しらかわは、もう生きていても仕方ない、生きる希望もない、自分なんか生きる価値もない、死んでしまうしか他に方法がないと思っていらっしゃる方を受け入れています。もしかすると何かしらこの社会に生きる意味や、自分に課せられた使命に気付くことができるかもしれません。一縷の望みでもなんでもいいから、もう一度だけ数日だけでもイスキアで過ごしてからにしようと思ってくれたら有難いことです。下記の問い合わせフォームから、まずはご相談ください。

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