陰謀論をネットに拡散する愚行

SNSなどで、陰謀論が盛んに流されている。それらの論理的根拠や科学的根拠は、実に希薄なものであるし、ねつ造されたものとしか思えないあやふやなものが殆どである。あくまでも、想像論でしかないし、陰謀を起こすべき動機が弱いし、実際にそれだけの陰謀が実行されたとしたら、それをマスメディアや善良な政治家や官僚に悟られない筈がない。全部が作り話だとは思わないが、殆どがデマとしか言えないものばかりだ。したがって、それが陰謀論を冷ややかな目で見ている人たちに、絶好の反論として利用されてしまっている。

陰謀は実際に行われているかもしれないし、単なるねつ造かもしれない。完全に否定できず信憑性が感じられるものもある。陰謀があると信じたい気持ちも解らないではないが、どうしてそんなに陰謀論が好きなのだろうか。また、陰謀論をどうしてネットに垂れ流すのであろうか。陰謀論がもし真実で、ましてやその陰謀が巨大な権力を持つ組織によるものだとしたら、ネット上で明らかにすることを妨害するに違いない。国家規模による陰謀なら、ネットの情報を操作するなんて朝飯前の筈である。

そう言えば、陰謀論を垂れ流している人間は、インターネットの繋がりが悪くなったとか、書き込みが出来なくなったと主張する人が多い。あたかもネット情報を拡散することを、闇の勢力から妨害されているかのように訴えている。もし、闇の勢力が実際に存在して、その闇の勢力とやらがインターネットの拡散妨害をするならば、そんなことをすることがないことは、少し賢い人間ならば誰だって理解できる。ネットの操作をするなら、本人に悟られない方法にするであろう。グーグルやヤフーの検索エンジンでヒットしないようにすればよいだけであろう。

エビデンスのない陰謀を自分で確認することなく、安易に信じてしまい、それをSNSで拡散してしまうのは何故であろうか。このように陰謀が大好きな人間は、社会的に認められている成功者とは言えず、どちらかというと不遇な生活をしている。職場でも冷遇されていて、社会的な評価や地位も低くて、いつも不満を持っている人間が多い。そして、家族や周りの人間からも愛されないばかりか、いつも愛に飢えている。人生のパートナーにも恵まれず、ずっと独身の生活を続けているとか、結婚生活が破綻してバツであることが多い。つまり、孤独な人生を送っているのである。

このような人間は、社会に対して強い生きづらさを抱えていると同時に、自分が不遇な生き方をしているのは、社会が悪いからだと思い込んでいる傾向がある。そして、社会に対する強烈な憎しみを抱えている。こういう状況に追い込まれて自分が這い上がれないのは、一部の権力者や権威者が良からぬ陰謀を張り巡らしているからだと思い込むのではないだろうか。つまり、社会に対する恨みつらみから、陰謀がある筈だと勘違いするのだと思われる。不遇な暮らしをしているのは、確かに社会そのものにも原因があったとしても、自分に原因があるということを認めたがらないのであろう。

陰謀論を信じるか信じないかは、それぞれ自由である。しかしながら、とんでもない陰謀を確認することなくネット上に垂れ流すのは止めて欲しいものである。何故なら、素直で善良な人間さえも信じかねないからである。面白おかしくねつ造された陰謀ほど、人々は飛びつきたがる。そんな陰謀を信じたいし、信じることで自己満足したいのであろう。陰謀を垂れ流して大騒ぎでリアクションをする人々を見て、自分自身の満たされない思いを解消しているのではなかろうか。愛に飢えている心を、陰謀論で癒しているに過ぎない。

陰謀は本当にあるのかもしれない。だとしても、とんでもない陰謀論をあまりにも拡散させてしまうと、デマが信じられるように陰謀論もあたかも真実のように一人歩きしかねない。そうすると、人々の心は益々疑心暗鬼になり、人間どうしの信頼関係は揺らいでいくし、関係性は劣悪化していく。つまり、人間どうしの繋がりや絆が希薄していくし、お互いの協力関係も薄らいでしまう。自分さえ良ければいいんだと思い込み、他人に対する思いやりや優しさもなくなってしまう。これこそが陰謀による取り返しのつかない悪影響であり、もしかすると陰謀論を流す本当の目的は、ここにあるのかもしれない。陰謀論というのは、人間どうしの分断を図る『悪魔のささやき』でしかないと心得るべきである。

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