酔いどれパイロットと問題飲酒

飲酒をしていながら飲酒テストを不当にすり抜け、乗務しようと企んだパイロットが英国で逮捕された事件が起きた。このように飲酒して乗務しようとする事態はJALだけでなくANAでも度々起きているというから驚きだ。大勢の乗客を乗せて飛ぶ大型旅客機の操縦士が、飲酒しながら操縦かんを握るなんて考えられない。地上を走るバスの運転手だって許せないが、より高度な操作を要求される大型旅客機のパイロットが、飲酒してコクピットに座るなんて考えられない異常事態だ。

このパイロットは、今回が初めだったとは思えない。たまたまバスの運転手が気付いたから解ったのだろうが、今までは見過ごされてきたこともあったに違いない。同乗勤務していた他のパイロットたちも狭いコクピットなのだから、酒臭いのは感じていただろう。それなのに、見て見ぬふりをしていたものと推測される。ひどい会社があったものである。人命軽視も甚だしい。国内線では何度も飲酒パイロットのせいで遅延があったというのだから、そういう体質の会社だと思われても仕方ないだろう。

前の日に飲んだとの報道であるが、おそらく勤務数時間前まで飲んでいたものと思われる。12時間前までしか飲酒が認められていないというが、大量に飲酒したら12時間で完全に酔いが覚めないケースもあろう。また、そもそも乗務前12時間前だといっても、前日に大量飲酒をすること事態通常考えられないことである。普通の人の感覚なら、勤務の前日は酒を控えるだろう。おそらく、毎日のように大量飲酒していたと思われる。もしかすると、アルコール依存症に近い状態にあったのではないだろうか。

パイロットという職業は、多くの人命を預かる使命があるうえに、航空機という巨大な鉄の塊を安全に飛ばさなければならぬ大きなプレッシャーと共にストレスが伴うことだろう。前日、眠りが浅くなってしまうこともあろう。だから、アルコールの助けを借りて眠る気持ちも解らないでもない。しかし、このようなお酒の飲み方は、大変なリスクを伴うことぐらい百も承知であろう。会社にも専門の精神科医がいるに違いない。このようなアルコール摂取は習慣化するし、アルコール依存症になりやすいことを周知していた筈だ。

それなのに、パイロットのアルコール摂取による遅延事故が毎年複数件起きているというのは、自己管理できていない酔いどれパイロットが相当数存在している証でもある。そして、これらの状態を会社が見逃していたということになる。会社の人事管理や健康管理がおろそかになっている証拠でもある。パイロットというと、航空会社の中ではエリート中のエリートである。だから、自己管理が出来ている筈だと思い込んでいたに違いない。それは浅はかな考えであろう。教養が高くて分別があってもアルコール依存症になるのである。人事管理や業務管理が徹底されていなかったと言えよう。

これらの飲酒による遅延事故があまりにも多いので、12時間前までの飲酒を認めていたが、24時間前までという制約に変更した航空会社も増えてきたらしい。飲酒テストもより厳密になる傾向らしい。しかし、そもそもこんなに厳しくする必要があるのだろうか。飲酒するかどうかは、本人が選択するべきであり、そんな厳しい飲酒管理を会社がしないと飲酒運航事件が起きるというのは、分別ある大人の成熟社会ではありえないことである。自己管理が出来ない人間が、人々の生命や安全の鍵を握っているなんてことが許される訳がない。厳しいルールに縛られないと正しい飲酒が出来ないような人間に、自分の命を預けることは出来ないと思うに違いない。

実は、パイロットだけでなく医師や高級官僚たちにも、飲酒の自己管理できない人間が多いのである。また、企業の経営者や役員、著名な政治家や首長にも飲酒の自己管理が出来ない人間が少なくない。その証拠に、飲酒時にセクハラやパワハラ事件を起こす人間が多い。世間からすれば、立派な学歴や経歴を誇るような人間は、自己管理できているからこそ、業務が遂行できると思い込んでいる。しかし、飲酒の自己管理出来ないような人間には、重要な仕事は任せるべきではない。何故なら、問題飲酒をするような人間には、そもそも正しい理念や思想哲学がないからである。そして、その理念の基になる崇高な価値観を持たないのである。だから、いくら高い学歴や教養があっても、自己管理が出来ないのである。人の上に立つような人物には、価値観の学習こそが必要である所以である。

 

※「イスキアの郷しらかわ」では、飲酒の自己管理ができない役職員、または問題飲酒の傾向がある幹部の役職員のための、『問題飲酒を解決する価値観学習』という研修をしています。飲酒のために健康を損なってしまっているような社員も対象です。このような問題飲酒は、医療やカウンセリングでは完全治癒が難しいのです。価値観の学習と思想哲学、正しい理念を持つことでしか克服することはできません。まずは問い合わせフォームからご相談ください。

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