チェ・ホソンがゴルフの常識を変える

先日開催されたゴルフのカシオワールドオープンで、韓国人プロゴルファーのチェ・ホソンが優勝した。このトーナメントには内外のトッププロが参加しているので、優勝するには非常にハードルが高い。この歴史ある大会で優勝して、優勝賞金4,000万円を獲得したのである。このチェ・ホソンプロの優勝を、TV各局のワイドショーでこぞって取り上げている。何故かというと、このチェ・ホソンのゴルフスィングが独特だからだ。まさしく踊るようなスィングをする。今までのゴルフ理論からすると、あり得ない姿なのである。

なにしろ、まずスタンスが独特である。とんでもない方向を向いてスタンスを取る。極端なクローズドスタンスだ。そのまま真っすぐボールが飛んで行ったら間違いなくOBになる。さらに、スィングをし終わってフォロースィングがとんでもない動きをする。左足1本でくるっと回るのである。しかも、1回転してから左に身体を傾けたり右に傾けたりして、飛んだボールを見守る姿は、ふざけているとしか見えない。左足で回転してクラブを振り回す姿は、まるで釣り人のよう。自らフィッシャーマンズスィングと命名する。

チェ・ホソンは、スィングも特徴的であるが、そのプロフィールも他のプロゴルファーと違っている。最近のプロゴルファーは、ジュニア時代から指導を受けている。小学生から英才教育を受け、ゴルフ部のある名門高校を卒業してプロになるか、または大学でゴルフ部を経てプロになるのが通例だ。そして、プロになってからも誰かに師事するケースが殆どである。一匹狼的なプロは皆無である。ところが、チェ・ホソンは誰にもコーチを受けずにプロになったのである。しかも、25歳からゴルフを始めたというから驚きだ。

彼は水産高校を卒業後、水産加工工場に就職し魚の解体と調理をしていたという。20歳の時にマグロを解体していた時に右の親指を切り落としてしまったという。移植手術を受けたものの親指は短くなり、微妙な業務が出来なくなり離職したらしい。それで、いろんな職業を転々として、ゴルフ場のアルバイト募集広告を見つけて、人生の転機が訪れた。最初はクラブ磨きなど下働きをしていたが、社長からゴルファーの気持ちを理解する為に全員ゴルフを覚えるようにという指示を受けて、彼のゴルフ人生が25歳から始まった。

実際にゴルフを始めると、水を得た魚のように生き生きとした生活になった。毎日ゴルフ場の営業終了後から午後11時まで、黙々と練習に励んだ。誰からもゴルフ理論を教えられなかったから、独学でゴルフを学んだ。めきめきとゴルフの腕前が上達して、あれよあれよという間にプロに転向した。ところが、若い頃からゴルフをしていた訳ではないこともあって身体が固くて、しかも年齢も盛りを過ぎていて、ボールの飛距離が他のプロよりも圧倒的に劣っていた。それを克服するために編み出したのが、あの独特なスィングだった。

このスィングをしてから、飛距離が飛躍的に伸びた。ましてや現在45歳なのだが、このスィングが進化した2年前から、以前と比較して15ヤード飛距離が伸びているのだ。このフィッシャーマンズスィングは、ゴルフの基本理論からするとあり得ない。解説者やコーチたちは、揃って言葉を失う。しかし、これだけの実績を残しているのだから、けっして間違っている訳ではない。飛距離が落ちてきたシニアゴルファーにとっては、このスィングを取り入れるのもありだと言わざるを得ない。科学的に考察すると、柔軟性がなくなり筋力の落ちたアマチュアにとって、実に理想的だということが判明したのである。

まず、ゴルフのスィングはなるべく真っすぐに振るほうが良いと思っているアマチュアが多いが、間違いである。スィングは円回転であるから、真っすぐに振れないのだ。そして、円回転だから回転軸がぶれると、スィングスピード(球速)は落ちて、ボールは飛ばなくなる。左ひざや左腰に壁を作って円回転をさせないと、ヘッドスピードは低下する。チェ・ホソンのスィングは、左足1本で回転するから軸がぶれない。しかも、フォロースルーがスムーズで大きくなる。極端なクローズドスタンスは、身体が固い人でもバックスィングで肩がスムーズに回るから、スィングアークも大きくなる。クローズドスタンスでも回転軸が左足だから回転がスムーズだ。自分でも試してみるとよく解る。私も試してみたが、距離が10ヤード以上伸びるし、飛ぶ方向も安定する。チェ・ホソンのスィング理論が多くのシニアゴルファーから受け入れられ、ゴルフの常識が変わることであろう。

 

※このチェ・ホソンのフィッシャーマンズスィングは、飛距離の落ちてしまった女性やシニアゴルファーには最適ですが、柔軟で筋力のある若いゴルファーにはお薦めできません。そして、身体は硬くても、心が柔軟で柔らかい感性を持ってないゴルファーには向かないと思います。さらに、このスィングは器用でないと真似できませんから、自分は不器用だと自認する人もマスターするのは難しいと思います。チェ・ホソンは、常識を疑い自分の柔軟な感性と直観を信じたからこそ、このスィングを開発できたのでしょう。彼の素晴らしいファンサービスにエールを送りたいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA