思想教育に対する誤解を解く

思想教育というと、アレルギー反応を起こす人が多いことだろう。思想という言葉が、全体主義、軍国主義という戦前の間違ったイデオロギー教育を連想させてしまう。また、北朝鮮や中国における共産主義だけを是とする原理主義の教育を思い浮かべるからであろう。確かに、思想教育というのは国家による国民の洗脳に使われた負の歴史があるから、どうしても危険なものとして取られてしまう。しかし、本来の思想教育とはそんなに危険なものではなく、むしろ青少年の健全なる精神の教育には必要不可欠なものなのである。

正しい思想教育を排除してしまったのは、明治維新から始まった。近代教育を西欧から輸入した明治新政府は、それまでの江戸時代までに行ってきた思想教育を徹底して排除した。富国強兵を進めて行くうえで、思想教育は反国家運動に繋がり、邪魔になるとして思想教育を学校教育から閉め出した。客観的合理性の価値観だけが正しいものとして、思想・哲学なんて富国強兵の邪魔になるからと、排除してしまったのである。この要素還元主義を重視した学校教育は、人が生きる上での大切な価値観の教育を不要としたのである。

戦後になり、軍国主義や全体主義に陥ったのは、思想教育に原因があると誤解してしまったGHQは、徹底して思想教育を学校教育から排除した。特に神道に関連した価値観や、家父長制度を槍玉にあげて、家族を思いやり、絆を大切にする思想を徹底して嫌ったのである。特に、個別最適主義を徹底して教育し、全体最適に貢献するという考え方を排除したのである。明治維新から始まり戦後にさらに強化された、この個人主義という考え方は、利己的で自己中心的な人間ばかりを増やしてしまったのである。これは、思想教育をないがしろにした悪影響によるものでしかない。

さらに問題なのは、思想教育を学校教育から排除したおかげで、家庭においても思想を教育することも止めてしまったことである。人間として必要な価値観を持ち、清く正しく生きるべき道を示す思想教育を、家庭でも除外したのである。本来は我が子に対して行うべき思想教育を、父親も出来なくなってしまったのであろう。この思想教育を排除する動きは、民間企業や官公庁にまでも波及してしまった。戦後しばらくは企業でも思想教育を実施していたが、高度成長以降はまったく実施しなくなった。それが企業におけるモラルハザードを起こし、コンプライアンス違反を数多く引き起こした要因であろう。

官公庁において、贈収賄事件や文書改ざん事件が起きているのは、思想教育を排除してしまった影響からであろう。単なるモラル教育だけでは、不祥事を防止できない。人間として何の為に生きるのか、誰の為に仕事をするのか、生きる意味や生まれてきた理由をしっかり認識してもらう思想教育をしてこなかったつけが現れた格好である。学校現場で起きているいじめ問題や不適切指導の問題も、思想教育を排除した悪影響であると思われる。不登校やひきこもりの問題も思想教育をしてこなかった為に起きていると考えられる。

原理主義などのイデオロギー教育と思想教育はまったくの別物である。おおいなる誤解である。全体主義や国家主義の教育と思想教育はまったく違うものである。ここにも大きな誤解がある。思想教育というのは、人間として正しく生きる上で必要な価値観、または仕事や公益活動を行う上で基本とする考え方を教えることである。企業内で思想教育がなくなり、劣悪な労働観が支配的になると、企業の生産性が低下するだけでなく収益が生まれなくなり、存続さえ危うくなる。東芝の業績低下、日産や神戸製鋼の不祥事、東電の原発事故は、思想教育をしなかった故に起きた悲しい事態である。

家庭内において、正しい思想教育ができる父親が居なくなった不幸がある。清く正しく生きる価値観を教え育てる思想教育は、本来父親の役目である。子どもというのは、思想教育を求めている。試しに子どもに思想教育をしてみれば解る。目を輝かして、父親の話に耳を傾ける。我が子たちに思想教育をすると、感動のあまり涙を流していたのを覚えている。特に、自らの自己組織化を促すような思想教育が大好きである。人間とは個別最適でなくて、全体最適を目指して生きるべきだと伝えると、子どもたちの魂まで響く。しかも関係性を大切にして生きるべきなんだと教えると、家族間の絆も深まるし、学校でのいじめもなくなる。勿論、不登校やひきこもりも起きることがない。思想教育を我が子にしっかりと出来るような父親でありたいものである。

 

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