育児パパは優秀な人材になる

イクメンという言葉がもてはやされている。何となくファッショナブルなワードで、格好よく聞こえることもあり、育児に参加する父親が増えてきそうにも感じる。しかしながら、イクメンと呼ばれる父親はごく一部であり、世の中の大多数の子育て夫婦では、母親に育児の負担が重くのしかかっているのが現状であろう。運動会や学習発表会、保護者参観には昔と違って大勢の父親が来ている姿を見かけるので、父親の育児参加が進んでいるように見えるが、実態は違うようである。

確かに父親が学校行事に、大勢参加してくれるようになってきた。でも、大事なのは日常における育児参加であり、特別な日だけカメラを持って子どもの姿を記念に収める良いパパぶりを発揮するのは、育児参加とは呼べない。そもそも、育児参加という言葉が頂けない。あくまでも育児は母親が主体であり、父親はそのお手伝いだから『参加』だという意識がありありである。育児の責任は、父親と母親の両方にある筈である。その責任を、父親が放棄して母親に押し付けるのは問題であろう。育児とは両親が協力し合いながら行う共同作業であるべきだ。

世の中には、共働き家庭で父親が育児の多くを担っているケースがある。残業を極力控えて、家庭中心のシフトを敷いて、家事育児に奮闘している父親がいる。そういう父親は会社や組織ではあまり使えない人材かというと、けっしてそうではなく優秀な人材であることが多い。時間を有効に使うので時間効率がとても高くて、発想力や企画力でも他にはないような高い能力を発揮する。さらに、部下や女性社員からも人気があり、とても信頼されている。顧客からも好かれるし、驚くような成績も上げている。

一方、育児には興味を示さないばかりか、妻に育児を押し付けて家事育児には手も出さない口も出さないというような社員・職員は、実は仕事が出来ないというケースが少なくない。決められたルーチン作業はこなすが、何か微妙な調整や根回しが必要な仕事は無理なことが多い。さらに、他の社員・職員との良好な関係性が築けないし、部下からの信頼もなく嫌われるケースが多い。女性社員からは好かれていないことが多い。つまり、空気が読めないのである。顧客からもあまり好かれない。

何故、そんなことになるかというと、育児をするというのは実は非常に高い能力を要求されるからである。赤ちゃんと共に過ごすと、言葉を話せない赤ちゃんが何を要求しているのか、何をして欲しいのかを、常に想像しなくてはならない。微妙な態度や表情から、赤ちゃんの心を読み取らなければならないのである。つまり、赤ちゃんの気持ちになりきって感情を共有しなければ育児は出来ないのである。現代の若い男性にとって、一番苦手なのが感情共有である。空気が読めない男性が多いというのは、こういう理由からである。

そもそも女性の脳梁が太いので、右脳と左脳の情報交換がスムーズであることから、育児や家事を上手にこなすことが出来る。赤ちゃんの感情を読み取る力も高いのは、脳梁が太いからである。男性は生まれつき脳梁が細いので、右脳と左脳の情報交換が苦手であり、周りの人々の感情に対して共感できないことが多い。だからこそ、周りの人々の気持ちを推し量る能力を高める努力をしなければ、空気が読めなくて使えない社員・職員になるのである。家事・育児を積極的に、しかも楽しみながら実行していると、脳梁の機能が徐々に高まってくるのである。料理なんて、同時進行の作業が出来なければ、時間がかかり過ぎてしまい、美味しく出来ないばかりか失敗をする。育児は常に複数のことを同時にこなさなければ、出来ない複雑な作業である。これらのことを何度も繰り返すことで、脳梁の機能が亢進して、仕事の能力も高まるのである。

父親が育児をし始めるのは、かなりハードルが高い。小さくて弱くて壊れそうな赤ちゃんを抱くのも怖いし、おしめの交換だって最初は勇気がいる。小学生高学年や中学生の頃に、育児参加をした経験があれば、男性でも育児をすんなり出来る。甥や姪の育児をした経験がある男性ならば、育児にすんなり入り込める。そういう経験がない中学生や高校生に育児経験を積ませるような学習カリキュラムを組むのがよいと思われる。親戚に赤ちゃんが生まれたら、是非とも子どもに育児を経験させてもらうとよい。赤ちゃんが好きになるに違いない。そうすれば、将来には育児パパになり、優秀な社員・職員になれると確信している。

※イスキアの郷しらかわでは、男性のために育児の研修講座を開催しています。料理教室もご希望により行います。優秀な人材を育成するには家事・育児を学ぶことが有効です。是非、お試しください。

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