休職者と中途離職がないのが良い職場

職場から休職者と中途離職者をゼロにするなんて、絶対に不可能であると思っている人が多い。しかし、戦前の会社や行政組織においては休職者なんて殆ど居なかったし、中途離職者は稀な存在であった。終身雇用が当たり前であり、男性職員は定年退職まで勤務していたし、女性だって結婚退社ぐらいしか中途離職はなかったのである。現在、どの職場でも休職者はかなりの人数に上っているし、中途離職者をする職員もかなりの人数である。これは企業や組織にとって多大なる損失であるし、本人にはかなりの不利益になる。

休職をする理由は、病気によるものが多く、そのうち殆どはメンタルが休職の原因であるようだ。そして、中途離職の理由もまたメンタルが多いと言われている。そして、メンタルを病むのは、本人にその原因もあろうが、職場の人間関係によることが多い。特に、上司に問題があるケースが殆どであると想像できる。特に中途離職者の離職理由は、本人が職場では明らかにしていないが、上司と折り合いが合わなくて辞める決断をしていると思われる。勿論、上司だけに人間関係悪化の原因を押し付けるのも乱暴ではあるが、それだけ問題上司が多いのも事実であるに違いない。

離職率50%であった会社が、数年後になんと10分の1の5%になった会社がある。オンデーズという眼鏡販売の会社がそれだ。販売不振で倒産寸前の会社に、その経営手腕を買われて社長になった際、離職率が50%だと聞かされて唖然とした。どうしてそんなに離職率が高いのだと一般の社員に聞くと、「社長は何も解らないんですね」と嘆かれたという。管理職は社長が選んでいたが、上にゴマすりをしているイエスマンばかりで、部下に対する態度がとても酷くて、職場環境が最悪だったらしい。

それで社長は一計を案じ、管理職は部下の社員による選挙で選ぶという制度を導入したのである。それから会社の職場環境は一変したと言う。管理職は立候補制であるから、部下から信頼されて支持を受ければ、実績や経験、能力に関係なく誰でもなれる。当然、若くて経験年数に関係なく管理職になれるのである。俄然、社員のやる気が出てきた。売り上げも鰻上りで、倒産の危機も乗り越えて、優良企業になってしまった。部下の話もよく聞いて、パワハラ、セクハラ、モラハラも皆無になった。当然、休職者もいなくなったし、メンタルを病む社員もいない。

投票制で管理職を選ぶなんて、なんという暴挙だと思う人も多いし、部下におべっかを使って、おもねる態度をする上司ばかりになり、強いリーダーシップが取れないだろうと危惧する人も多かったという。ところが、実際はそんなことがなかったという。投票で選ぶということは、自分たちが選んだ責任が生ずる。選ばれたほうも、投票で選ばれたという自信が持てるし、信頼されたという確信から思い切った決断も出来るようになったという。勿論、決断する前に部下全員から有用な情報が上がるようになったのは当然である。

殆どの会社や組織において、管理職は社長や上司に気に入られなければなれない。民間のそれもオーナー社長であれば、社長と気が合わないと管理職にはなれないのである。当然、社長には良い情報しか上げないし、マイナスの結果報告や自分のミスなどは絶対に伝えない。部下のミスを自分の責任だと捉えないし、余計な事をして怒られたくないと思ってしまい、主体性や自発性を喪失してしまう。つまり、主体性、自発性、責任性というリーダーに必要不可欠の人間力を失うのである。部下は、こういう上司に仕えたらモチベーションを失うし、自己成長しない。

本人にある程度の原因はあるものの、休職したり中途離職したりするのは、上司にその原因の大半があると言っても過言ではない。そして、そのような管理職を選んだのが社長であり、行政職であれば首長とその側近である。だから、休職者や中途離職者が多い職場をドラスティックに変革しようとするには、まずはトップの意識が変わらなければならない。休職者や中途離職者が出るのは、そしてメンタルを病む人が多いのは、その職員本人の気質や人間性にあると思い込んでいるうちは、休職者と中途離職者はなくならない。本人の再教育も必要であろうが、管理職の選び方と幹部研修のやり方を大胆に変革することが求められるのである。

 

※イスキアの郷しらかわでは、休職者と中途離職者をない職場にするためのサポートをしています。休職者の職場復帰するための教育研修を開催していますし、管理職の教育研修を実施しています。何故、部下がメンタルを病むのか、どうしたら職場復帰できるのか、メンタルを病む職員を出さないようにするにはどうしたら良いのかを、懇切丁寧にレクチャーさせてもらっています。

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