本物の医師、真弓定夫先生

先日、『蘇れ 生命(いのち)の力 ~小児科医 真弓定夫~』という映画の自主上映会に参加した。予想した以上の感動を受け、やはり観てよかったと心から思った。こんなにも素晴らしい先生がいるということが、いまだに信じられない。尊敬する本間真二郎先生も素晴らしいが、この真弓先生に影響を受けて今の診療スタイルになったというのだから、まさに真弓先生こそ本物の医師だと言える。今の医療界においては、まともな医師はごく一部を除き、殆どいないと思っている。言葉では患者中心の医療をすると言いながら、実際は患者の為の医療を実践しているとは思えないからである。

真弓先生は、薬と注射を原則として使用しない。先生の診療所には、薬と注射が置いていない。どうしても必要な場合は、院外処方の薬局で必要最小限の調剤してもらうという。あくまでも、子どもの診察とお母さんに対する生活指導だけで診療を行っていたのである。開業当初は、毎日50人から60人の子どもさんを診療していたが、その後患者は激減して、毎日数人の外来診療しかしなかったという。何故なら、診察と生活指導を受けた子どもさんたちは完全治癒すると共に、殆ど再発しなかったからである。

真弓先生は、現代の医療界の状況について、痛烈な批判をしている。ご自分が医師としてデビューした60年前、日本の総人口は6,400万人だったという。その時の総医療費は2,400億円。現在の総人口はその2倍になった。当然、総医療費はその2倍かそれ以下でなければならない筈だと。これだけ医療技術が発達して、医師も優秀になっているのだから、一人当たりの医療費は減少していなくてはならない。ところが実際には、日本の総医療費は当時の180倍になっているというのである。こんなことは本来あり得ないことだと言う。

真弓先生は、さらに世の中の医師たちを糾弾する。医療というのは、病気を根本的に治すのが本来の役目である。医師は完全治癒を目指すべきである。ところが、現代の医師たちは最初から完全治癒を諦めていて、対象療法に安穏としているというのだ。勿論例外もあり、一部の診療科や医師たちは完全治癒を目指し努力している。しかし、殆どの医師たちは、疾病の根本原因を突き止め完全に治癒させようとはしない。対症療法の投薬と注射をすることしか考えていないと主張する。だから、医療費は減らないばかりか、増大する一方だと言うのである。

人が病気になるのは、人間本来の生き方をせず、間違った生活習慣をしているからだと真弓先生は断定する。そこに大きなストレスが加わり、自律神経のアンバランスを生み、免疫力を著しく低下させてしまうことで、傷病を発症させているという。だから、日本人の体温は著しく低下していると言い切る。伝統的な和食が基本で、一汁一菜の質素な食事と、冷暖房の空調をしないで、なるべく自然のままに生きれば、低体温にならず病気にもならないと主張する。ご自分も、実に質素な食事を続けているし、冷暖房の空調のない生活をしている。

真弓先生は、50年前から小児科クリニックを開院して、理想とする医療を実践してきた。そうした努力をしていても、なかなか医学界は変わらず、残念ながら対症療法から根本治療への転換は出来なかったと嘆いていらした。しかし、真弓先生に続くドクターは確実に増えているように感じる。本間真二郎先生も同じ小児科医として、根本治療を続けていらしてる。他にも、統合医療や自然療法を標榜して、対症療法ではなく完全治癒を目指しているドクターも増加している。真弓先生が続けていらした努力はけっして無駄ではなかったと思っている。

日本の保険診療制度は、普通に対症療法だけをしていれば医療経営は上手く行く。完全治癒を目指して投薬や注射に頼らない治療をしていると、医療経営は行き詰るようになる。真弓先生のクリニックは、患者を完全治癒させて再発もしなかったので、経営的に厳しかったらしい。つまり、まともな医療を行えば行うほど、医療経営が成り立たなくなる保険診療制度になっているのである。日本の保険診療制度を抜本的に改革しなければ、真弓先生のようなまともな医師は育ちようがないのだ。心ある政治家は、保険診療制度の抜本改革に取り組んでほしいものである。そして、我々も本物の医師、真弓先生や本間先生のような医師を選びたいし、病気にならない生き方をしたいものである。

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