ネットは単なるツールなのに

インターネットは現代ではなくてはならない情報ツールになっている。情報の収集と公開をする手段として、大変便利でありコミュニケーションツールとしても必要不可欠になっている。ビジネスの世界では、営業ツールのひとつとして殆どの企業がウェブサイトを活用している。個人間でも、フェイスブック、LINEなどのSNSに通信手段として多くのユーザーが登録している。ネットがなくては、人々の経済や生活が成り立たなくなっていると言えよう。

そんなネットを、ビジネスにしている人がいる。ウェブサイト作成やウェブデザイナー、またはソフトウェアーやアプリ作成をしている企業と個人ではなくて、ネットそのものを収入源にしている人である。アフィリエイターとかユーチューバーと呼ばれる人たちである。アフィリエイターとは、ネット上の自分のサイトでアフィリエイト広告をクリックするだけで、収入を得る人たちである。ユーチューバーとは、動画をユーチューブにアップして、その広告で収入を得る人たちである。他に定職もなく、これだけで生活しているというのだから驚きである。

その年収たるや、1000万円を超える人たちも沢山いるらしい。小学生の憧れる職業のトップ5にも入っているというのだから、びっくりするばかりだ。楽しいこと、気楽なことをして収入を得ることが出来るからという、実に情けない理由で憧れの職業にしているというのだから、実に困ったものである。労働に対する考え方が軽薄というか、何の為に働くかという基本的な労働価値観を育てられていないのであろう。自分の利益のためにだけ働くという、実に愚かで低劣な価値観である。

ネットをすることそのものを目的にしている人間が、増えているように思えて仕方ない。SNSやブログをやっている人の多くは、アクセス数がとれだけあるか、どれだけ『いいね』をもらったかに心血を注いでいるのだ。当然、いかに面白い動画や写真を撮って載せるか、センセーショナルで人目を引く題名をつけるかに苦労している。確かに、ビジネスに活用するというなら、それはひとつの戦略として有効である。しかし、インスタ映えという言葉のように、単なる友達への自慢や自己満足の為でしかないように感じる。

SNSはコミュニケーションのツールとして、とても有効である。またブログは情報発信ツールとして、誰でも簡単に利用できるので便利だ。しかし、ネットというのはあくまでも、コミュニケーションや情報発信のための単なるツールでしかない筈である。または、ビジネスを成功させる手段でしかない。いくら素晴らしく魅力的なウェブサイトであったとしても、売るものやサービスの価値が認められなければ売れない。ところが、どれだけネットでアクセスされたかに一喜一憂しているネットユーザーが多いのである。本末転倒であろう。

今日は何を食べたのか、どこに行ったのかという個人情報を日常的にアップして、『いいね』を求めているSNSユーザーがいる。何の役にも立たないくだらない情報のアップを見て、リアクションするほうも問題であるが、ネットを自分の人生の重要なアイテムにしてしまっている人がいる。ネット依存とも言える状況になっているし、ネットを人生の目的にしてしまっているようである。毎日、どれだけのリアクションがあったかで、その日の満足になっているし、ブログのアクセス件数を上げることを目標にしている愚か者がいるのだ。繰り返し言うが、ネットとは目的ではなくて、単なるコミュニケーションのツールでしかないのである。

SNSやブログは、自己満足や自己表現のひとつであっても一向にかまわないが、人生の目的にしてはならないであろう。あくまでも、ネットは本来ビジネスや公益活動のひとつの手段でしかない。コミュニケーションツールのひとつとしてネットがあるのであって、対面でのコミュニケーション(リアルコミュニケーション)を基本に据えるべきである。SNSやツィッターは、お互いの関係性を豊かにするためのひとつのツールでしかない。あくまでも、リアルの世界で相手の目をみながら対話をして、付き合うのが基本になる。ネットは単なるツールでしかないことを、深く認識したいものである。

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