休職による経済損失

最初に断っておくが、こんなブログの題名を見ると、休職者を責めているように感じることであろうが、そういうことはまったくない。休職をしてしまう要因は、本人にその責任がまったくないとは言えないが、企業・団体及び社会そのものに根本的な原因があるからだ。休職という選択肢を取らざるを得なかった事情があったことは、充分に理解しているつもりである。そのうえで、休職による企業・団体、および国家としての経済損失について、考察してみたい。

実に不思議な事であるが、現在休職している全国の総数を正確に把握している政府機関はないということである。マスメディアにおいて、これだけの数の休職者が存在しているというニュースを見た人がいるだろうか。おそらく皆無であろう。少なくても、教職員で休職している人数は文科省や都道府県の教育庁は把握しているであろうが、公開したという事実はない。行政職員も同様である。民間企業や各種団体もそれぞれの総務課・人事課は人数を把握しているに違いない。その数字を正確に把握して、何らかの対策を取ろうとしない厚労省の無策ぶりが情けない。

あくまでも想像でしかないが、休職している職員・社員・役員は相当な数にのぼるに違いない。身体的な疾病やケガなどで休職している数は変わらないとしても、メンタル的な原因による休職者数は鰻上りに増加しているということは間違いない。民間企業であっても、教職員を始めとした公務員、各種団体職員においても、メンタルによる休職者が増加していて、それぞれの企業・団体は苦慮している。これらの休職者の増加に対して、何らかの対策は取っているものの、抜本的対策は取られていない。したがって休職からの復帰はけっして多くないのである。

さて、どのくらいの人数が休職しているのかは後の考察にして、休職者一人当たり経済損失がどのくらいになるのかを考えてみたい。まずは企業団体側からみた経済損失を考察したい。休職者に支給される給料総額が年間600万円と仮定する。多くの大企業や中企業は、有給の休職期間を2年間としている。そして、さらに条件付きで1~2年の有給の休職を認めているケースが多い。有給での休職期間を3年とすれば、1,800万円となる。さらに、雇い主が負担する法定福利費を23%とすると、414万円になる。つまり、休職によって2,214万円の直接的な損失が雇い主側に生じるということである。

経済損失は、これだけではない。休職者がその部門に生じると、他の部署から異動させるか現在のマンパワーで無理して乗り切ることになる。当然、時間外勤務や休日出勤が増えたり、臨時職員や派遣職員を雇ったりするケースもある。休職した職員が、その部門で正常に勤務したら、とんでもない発明やイノベーションを起こしたかもしれないのである。官公庁であれば、給料以上の価値を生み出すということはあまりないと言われている。しかし、営利企業であれば、給料の1.2倍程度の利益を企業側に生み出すのは間違いない。

であるから、単純に計算すると、2214万円の2.2倍だから、営利企業だけで見れば休職者3年間のトータルで一人当たり4,870.8万円の損失になるのである。1年あたりで見ても、1,623.6万円という数字になるのである。これが上級管理者や執行役員クラスになると、おそらく年間3,000万円から4,000万円の損失になるのだ。こんな損失に対して、雇い主や管理者が何もせず傍観しているとしたら、とんでもない利益背反行為と言わざるを得ない。中企業であれば、常時2人から3人は休職している社員がいると思われるので、年間3,000万円から5,000万円の経済損失が見込まれる。大企業であれば数億円にも膨れ上がる。

官公庁職員の場合は、その経済損失を誰が負担しているかというと、我々国民である。官公庁職員だけでも、年間の経済損失は、数十億円から数百億円になると推測される。つまり、官公庁と民間企業団体の休職者による経済損失を全国規模で積算すると、おそらく数千億円にのぼると見られる。だから、厚労省が休職者の数を調査して、抜本的な対策を何も取らないというのが信じられないのである。民間化企業の経済損失だって、回りまわって国民にしわ寄せがきているのは間違いない。生産品や提供サービスの価格に転嫁されているからである。厚労省を動かすには、マスメディアが騒ぐか、政治家が働きかけるしかない。是非とも、このブログを多くの方々にシェアーしてもらいたい。

※休職されている方々を迎え入れて、社会復帰の手助けを「イスキアの郷しらかわ」は実施しています。休職者対策に苦慮されている企業や官公庁のご担当者は、是非ご相談ください。可能であれば、直接お邪魔してこの復帰支援システムについて詳しくご説明申し上げます。

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