愛に飢えたドラマ「明日の約束」

ゴールデンタイムの連続ドラマで、こんな重いドラマをするなんて!という驚きがまずあった。しかもテーマがまた暗い。視聴率を上げることを至上命題とする民放テレビで、見る人を暗い気分にさせてしまうこんなテーマを扱うなんて信じられない。でも、すごくいいドラマである。こんなにも素晴らしいドラマには、なかなかお目にかかれない。高校生がいじめに遭って自殺するというセンセーショナルな内容で、しかも親子のねじれた愛がテーマである。こういうドラマを放映するのが、本来テレビ界が果たす役割のひとつだと思う。

このドラマが開始されて数回を見た限りでは、学校でのいじめと不登校がテーマかと思っていたが、実はもっと深い闇が隠れていたのである。親子間の愛は、単純なようでいて実は難しい。何故ならば、親というのは子どものことが大好きだし、子もまた同じで親が大好きだからこそ、お互いに自分の思い通りの相手であってほしいと思うからである。そして、それ故にお互いを無意識下で支配しコントロールするような言動を思わずしてしまうのである。そして、時にはお互いが依存すると共に、お互いの自立を拒んでしまうのである。

こういう難しい親子の心理状況と微妙な表現を、この人じゃないと難しいだろうと思うような演技派の俳優が巧妙に演じている。主演のスクールカウンセラー役を井上真央が演じ、自殺した生徒の毒親を仲間由紀恵が好演している。さらに、主人公の母親役もまた毒親で、手塚理美が熱演している。このドラマは驚くことに、実際にあった自殺事件を題材にしたドキュメンタリーをドラマ化したとのこと。こんな親なんて居ないだろうと思いがちであるが、こういう毒親は思った以上に実際に存在する。少しドラマ用に誇張されているとしても、こういうモンスターペアレンツは結構いるものだ。

こんなにも丁寧に描いている秀作で素晴らしい内容なのに、残念ながら視聴率は低いという。多くの方々に視てもらいたいのに、やはり面白くないからであろうか。テレビドラマというのは、秀作であればあるほど視聴率が取れないようだ。このようなドラマが多くの人々から支持されてほしいのだが、こういう重いテーマを人々は避ける傾向にある。何故かというと、自分の心の闇が抉られるようで嫌がるのかもしれない。問題のある親子にこそ視てもらいたいのに、そういう人は視るのを避けるのではないだろうか。

人間というのは、自分の中に存在する嫌な自己をないことにしたいものである。身勝手な自分、自己中心的な自分、名誉や評価を求めがちの自分、自分を一番に愛してもらいたい自分、そんな恥ずかしい自分は奥深いところに仕舞い込んで、そんなそぶりを一切見せずにいい人を演じている人間がいかに多いことか。自分が可愛いから、周りの人から嫌われることを避けるのだ。特に、関係が深い親子だからこそ、子どもと親はそれぞれいい人を演じているケースが少なくない。特に、愛に飢えている親子ほどこのようないい人を演じさせられてしまうのである。

この明日の約束では、問題のある親子が三組も登場する。自殺した生徒とその毒親、スクールカウンセラーの親子、そして主演の井上真央の恋人男性の親子関係である。この三組は、かなりの問題ある親子である。自殺した子どもの親は、我が子の長男を溺愛し、支配してコントロールする。そして、その親はその下の子の長女を愛せなくて、愛に飢えた長女は非行に走る。主演のカウンセラーの親もまた毒親で、子どもを支配して制御したがる。その支配を嫌がり反発するが、そうすると親はキレる。主人公のフィアンセも複雑な親子関係にあり、次男でもあり期待されず、愛情をあまり注いでもらってないが故に、親からの承認欲求があり過ぎて、良い子を無理して演じてしまうのである。

この三組の親子関係を通して、親子の愛はどうあるべきかを視聴者は気付かせられる。このように問題ある親は、自分の親からもねじれた愛情を注がれている傾向が強い。そして、夫婦間の愛情も不足していることが多い。夫が寛容で受容性が高く、見返りを求めない無償の愛を妻にたっぷり注げるなら、母親は安心して我が子を無条件の愛である母性愛で包み込むことが出来る。愛は循環するものであり、世代間連鎖するものである。だからこそ、親子が適切で豊かな愛情を注げるよう、誰かがサポートする必要があるのかもしれない。こんなにも真実の愛に飢えている世の中は変えていかなければならない。そんなことを気付き学ばせてくれる、秀逸なドラマである。

 

※イスキアの郷しらかわでは、親子関係の愛情のかけ方に悩んでいらっしゃる方をサポートしています。特に、不登校や引きこもりの問題行動をする傾向のあるお子さんを抱えて悩み苦しまれている方を支援しています。相談だけでもしてみてください。さらに、毒親に対してどのような対応をすべきか困っている人も相談してください。無料で相談を承ります。問い合わせフォームからどうぞ。

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