パニック障害を克服する

パニック障害で苦しんでいらっしゃる方は少なくいと思われる。この障害の苦しみと辛さは、当の本人しか解らない。誰にも解らない不安や恐怖感を、何故かは知らないけれど感じてしまう。そして、動悸や絞めつけられ感などのパニック発作が起きる。そのパニック発作が起きるきっかけは、狭所で起きる人もいれば、広い環境で起きる人もいる。ほんのちょっとだけ高い処から下を見下ろすだけで起きることもあれば、人込みが苦手だという人もいる。自分が安心する環境ではない処に入り込んだだけで起きるのだから、厄介である。したがって、パニック障害はいつ起きるか解らず、さらに不安と恐怖が強化されてしまうのである。

 

パニック障害が重症化すると、家庭に引きこもるしかなくなる。なにしろパニック発作が何時起こるか解らないのだから、外に出るのが怖いのだ。したがって、日光を浴びることもなくなるし、運動からも遠ざかるので、益々パニック障害の固定化が起きるのである。薬物治療や心理療法などの医療を受けると、ある程度症状が緩和されることもある。特に、認知行動療法は効果があると言われている。しかし、薬物療法は副作用が起きるケースもあるし、認知行動療法の効果はあるものの、完全治癒までの道のりは遠い。

 

さてパニック障害になる原因は何かというと、様々である。以前は心の病気だと思われていたが、医学的研究が進み、脳の神経学的な誤作動によるものだと言われている。パニック障害を起こす人は、過剰なプレッシャーやストレスを抱えていることが多い。それも中途半端なプレッシャーではなくて、自分にとって乗り越えるのが困難なレベルである。ストレスもかなり大きいだけでなく、多重ストレスのケースが多い。そして、それらのプレッシャーやストレスがかかる課題に対して、頑張り過ぎてしまっている場合に起きやすい。

 

人間は過大過ぎるプレッシャーや加重なストレスに長い期間さらされると、自律神経のバランスを崩して、交感神経が過大に緊張してしまう。そうすると体内のネットワークが誤作動を起こしてしまい、大脳辺縁系の異常や前頭前野の機能低下も起きるらしい。それ故に、不幸感が大きくなると共に、不安や恐怖感が増大してしまうと言われている。さらには、脳の機能が低下してしまい、正常な認知が出来なくなりさらなる誤作動を起こすのであろう。これらの度重なる誤作動が、パニック発作を起こしてしまい、正常な判断ができなくなるのではないかと見られている。これがパニック障害の起きるシステムだというのが定説になりつつあるらしい。

 

したがって、これらの誤作動を正常に戻すことは、大きな困難を伴うことになり、薬物治療の効果も限定的であり、長期間の治療が必要になるのであろう。今までは、セロトニンの分泌が少なくなってこのようなパニック発作が起きると考えられ、セロトニンを増加させる薬物治療をしてきた。しかし、最近はセロトニン不足だけが原因ではなく、オキシトシンという脳内神経伝達物質の不足がパニック障害の発症に関わっているということが判明してきた。したがって、このオキシトシンというホルモンを正常に分泌させるようにすれば、パニック発作が抑えられることが証明されつつあるらしい。

 

このオキシトシンの分泌を増やして、パニック障害を乗り越えた人も実際にいる。諏訪中央病院の名誉院長で、『がんばらない』等多数の著書で有名な鎌田實医師である。先生は、若くして諏訪中央病院の院長に大抜擢された。過度の期待に応えようとして、多大なプレッシャーを感じてしまい、必要以上に頑張り過ぎてしまったという。そうすると、結果を出せないのではないかとの不安と恐怖から、パニック発作を起こしてしまい、かなり苦しんだという。それでも、彼は自分で工夫して何とかこのパニック障害を乗り越えた。その方法が、オキシトシンを増やす生活であり生き方であったという。

 

どんな方法かというと、自分の幸福や豊かさを求める生き方ではなくて、患者さんを含めた周りの人々の幸せや心の豊かさを追求する生き方を徹底したという。どうしたら、自分の全精力を地域の人々の幸福実現のために注げるかを考え、病院の大改革と職員の意識改革に臨んだのである。さらには、患者さんや地域とのふれあいを大事にして、関係性を豊かにすることを求めたのである。最初から結果を過度に求めず、自分を信頼し「がんばらない」生き方を実践したのである。オキシトシンを増やすヒントがここに隠れている。生きる上でのその人の価値観が大切だということである。

 

イスキアの郷しらかわは、この大切な価値観である、『システム思考』を学ぶ場である。パニック障害を克服することは可能である。イスキアでは、パニック障害が起きる仕組みとそもそもの原因、それを乗り越える方法を詳しく解説している。オキシトシンを増やす価値観とその方法を研修することが出来る。パニック障害に苦しんでいる方は、まずは問い合わせしてみてほしい。

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