食の嗜好と心の状態

生活習慣病のうち、食事の偏りから起きる疾病は少なくない。代表的なものに、糖尿病や高脂血症があげられる。さらに、動脈硬化症とそれによる心筋梗塞や脳疾患も食習慣によって多大な影響がある。最近の医学研究によると、特定のガンもやはり食習慣にかなり左右されることも判明している。さらには、食事によって腸内環境が変化して、いろんな疾病の発症にも関わってくるということが判明している。生活習慣病ではないが、うつ病などの気分障害やパニック障害などにも腸内環境が影響しているらしいから、食習慣や食の嗜好が心身の健康に多大な影響を与えているということは間違いなさそうである。

 

食習慣が人間の性格にまで影響を及ぼしているのではないかとの研究をされている学者もいる。これはエビデンスを得ることが難しいことから、あくまでも観察した事象や類推によるものでしかない。でも、説得力のある仮説のような気がする。野菜を中心にした食事や自然食を好んで食している人間は、心が穏やかになり周りに対する思いやりや配慮が出来るし、優しい性格になるという。一方、肉食を中心にして野菜をあまり摂取しない人は、攻撃性が増してしまい、好戦的な性格になりやすいというものである。勿論、例外はあるものの、野生動物も同じような傾向にあるから、この仮説を信じる人は多い。

 

ところで、肉食動物は瞬発力があるが持久力がないから、狩りをしていても諦めが早い。草食動物は、瞬発力は肉食動物よりは劣るが、持久力は非常に高いことが知られている。おそらく精神的にも、なかなか諦めず持続性があるように感じる。人間もまた、肉食系は攻撃性が強く瞬発力が強いが持久力がなく、精神的にもめげやすくストレス耐性が低いと想像できる。草食系は、穏やかな性格なので対人関係で軋轢が少ないし、粘り強い性格でストレス耐性も強い。食生活の乱れは、心身の乱れに通じる。うつ病などの気分障害を起こしている方々は、食の嗜好が偏っていることが少なくない。

 

お寺に修行で入る若い僧たちは、概ね一汁一菜の粗食を摂る。何故なら、精神的な鍛練には粗食が必要だからである。貪り(むさぼり)の欲望に支配されていては、心が浄化されないからである。食欲は煩悩を燃え盛らせる。粗食を続けることにより、穏やかで何ものにも揺るがない精神を獲得するだけでなく、正しい心を持てるようになるのである。肉食や刺激物などを戒めたのは、心身共に不健康になると信じられてきたからだろう。厳しい修行や鍛練に応える為には、雑念を捨てることが必要である。菜食により、雑念からも遠ざかることが出来たに違いない。

 

誰でも経験していることと思うが、イライラしたり辛いことが続いたりすると、甘いものや炭酸飲料などを好んで食し、肉を食べたくなる。または刺激性の強い食べ物が欲しくなる。特に精神的に無理したり我慢したりした時に、そのような食の嗜好になりやすい。一方、心の豊かさを実感し周りの人々からの愛に満たされ、幸福感に浸れているような時には、野菜食や自然食でも満足し、優しい味の食事を好むようになる。ストレスが強い時に好む悪い食の嗜好は、時間の経過と共にさらに強くなり、なかなかそのような食習慣から抜け出せないことが多い。そして、ストレスを益々強く感じてしまい、怒りや憎しみの感情で満たされることになる。

 

ストレスフルな社会だからジャンクフードやファストフード、糖分の多い食事や炭酸水を好むし、肉食や刺激物を摂りたがるのも理解できる。ファストフード、肉食や刺激物の食事を止めて、野菜や果物、穀物などを中心としたスローフードの食事を続けると、穏やかな気持ちになれるし、心身の健康を得ることが可能となる。いきなり完全な菜食は無理にしても、ちょっとだけ我慢して、少しずつ野菜中心の食事にしてはどうだろうか。そうすれば、ストレスにも強い心も獲得できるに違いない。「イスキアの郷しらかわ」では、野菜中心の自然食を提供している。イスキアで何日間かこの食事を食べ続けると、デトックスされて穏やかでストレスに強い心を作ることになる。間違いなく心が癒されるので、是非とも試してみてほしい。

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