メンタルを病んだ経験から

何度かメンタルを病んだ体験を持っている。一度目は、仕事上の問題と自分の価値観の低劣さから起きた気分障害である。課長職の昇格試験を受けた際、筆記試験はよく出来たという自信があった。第二次の面接試験があったが、どうせ形式的なものだろうと高をくくっていた。とこが、厳しい質問攻めにあって、まともな答を述べられなかったのである。きちんとした勉強をしていれば、何ともなく答えられた質問なのに、それがしどろもどろの答しか出来なかったのだから、相当に落ち込んでしまった。この団体職員として入職して以来、手前みそだが勤務評価も高く出世も誰よりも早くして、エリート意識が人一倍高かったので、自分自身がこんなにも無能だったと気付いて、自己否定感がマックスになってしまったのである。

 

結果として、課長職の昇格試験には合格したのであるが、自分の無能さや無学さを思い知らされたおかげで、自分自身が嫌になったのである。自分には組織に対する貢献価値はないし、生きる価値さえないと思い込んだのである。精神的な落ち込み度は、相当にひどいものがあり、無気力の状態になってしまった。なんとか出勤はしていて仕事はこなしていたが、働く意欲や積極性はまったく失ってしまっていた。毎夜、不眠にも悩まされた。寝付きはなんとかなったが、午前3時か4時になると目が覚めて、胃に重苦しい鈍痛が起きて、苦しんでいた。自分には生きる意味さえないと、かなり重いうつ状態に追い込まれてしまったのである。この状態は3ケ月くらい続いたが、これでは拙いと気付き、運動療法や自分自身による認知行動療法によって、幸運にも奇跡的な復活を遂げることができた。

 

2度目の気分障害は、その後10年くらい経過した時に起きた。その頃、NPO活動やボランティア活動など積極的に取り組んでいた。さらに、障がい者の方々やメンタルを病んだ方々、家族にひきこもりや不登校を抱えられた方々を支援していた。意欲的に、しかもやりがいを持ってNPO活動と市民活動に取り組んでいた時に、ラジオ番組であるエッセイの朗読をしていたのを聴いた。ボランティア活動なんて、所詮自己満足の世界であるという主張であった。その作者も、自分で身体障がい者へのボランティア活動を続けていたが、ある時自分のやっている活動は単なる自己満足の押し付けなのではないかと気付いたというのである。その言葉を聞いて、愕然とした。まるで、自分のことを言われたように感じたのである。そのことをきっかけに、ひどい気分障害に陥ってしまった。

 

3度目の気分障害も、同じような理由で起きた。やはり、偽善的な行為をしている自分が許せなかったのである。2度目と3度目の気分障害は、1ケ月もしないうちに幸いにも立ち直ることが出来た。これも医療機関にも行かず、カウンセラーのお世話にもならずに何とか復活できた。今まで経験してきた気分障害は、何かの大きなストレスやプレッシャーに押しつぶされたというよりは、自分自身に対する嫌悪感から起きたものである。強烈な自己否定感に襲われ、その自分に対する否定感情をもろに受け容れてしまったことによるものと思われる。メンタル不全は、他人からの強烈な自己否定でも起きるが、どちらかというと、自分自身によって自尊感情を損なった場合が多いような気がする。

 

3度の気分障害は、多くの学びを自分に与えてくれた。まずは、人間のメンタルは非常に脆いし弱いということである。いとも簡単に誰でも気分障害に陥るし、そのきっかけも他の人から見たらたいした重要でもないことでも起きるということにも気付いた。さらに、気分障害は重症でなければ、自分だけの上手な早めの処理対応によって上手く復活できるということである。重症化したうつ病やパニック障害、または双極性の障害のケースは、簡単には治らない。気分障害を放置しておいたりこじらせたりしないことが肝要だということである。だから、気分障害はなるべく早く処理したほうが良いという教訓になる。

 

さらに言えることは、人間として確固たる理念やミッションがないと、気分障害に陥りやすいということと、自己マスタリーを確立していないとやはりメンタルを損ないやすいということである。人間として、どのような価値観に基づいて生きるべきという宇宙の真理に基づいた信念を持ちえないと、迷いが生じるのである。または、マイナスの自己も含めたありのままの自分を認め受け容れ、まるごとの自己を慈しみ愛せないと、メンタル障害になりやすいという認識が必要なのである。ということは、真の自己を確立し、正しい価値観である思想哲学を獲得できたとしたら、気分障害にもなりにくいし、たとえ気分障害になったとしても容易に回復できるということだ。これが三度の気分障害を体験して、学んだ真実である。気分障害にならなければ、こんなにも素晴らしい価値観を学べなかったのだから、良い経験をさせてもらったものだと感謝している。

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